スポーティかつ個性的なデザインで大人の足元をアクティブに演出するナイキのスニーカー。エディターの小澤匡行さんも注目する6型の新作で周りと大きく差をつけよう。
01:NIKE SPORTSWEAR|NIKE CORTEZ TEXTILE
90年代のブームを象徴するモデルをアップデート
「なんだかんだで若者に人気のコルテッツ。僕が学生の頃にヴィンテージスニーカーに開眼するきっかけになったモデルでもあります。90年代はヴィンテージスニーカーの象徴として、ナイキで真っ先に手に入れなければいけないモデルというのが定説になっていました。だから僕ら世代にとっては、コルテッツは極めてナイキらしいスニーカーというイメージがあるんです。
だけど世の中的にはそこまでの定番じゃなくて、時代の流れに左右されてラインナップから外れたり戻ったりしています。4月に発売された一番新しいコルテッツ テキスタイルはつま先部分を広げて、硬めのサイドパネルを配してアップデートされています。型崩れ防止のためということですが、僕が熱狂したヴィンテージのシュッとしたシルエットとは違うルックス。
つまりコルテッツはキング・オブ・ベーシックではなく、実は時代の流れを受けるシーズンモデルだということを改めて思いました。とはいうものの、このブルー×イエローの配色は、当時、ヴィンテージのワッフルトレーナーで僕が一番欲しかった色。90年代の、あの懐かしい感じがこみ上げてきます。丸っこいフォルムも今のファッションに合わせたら、かわいく見えてよさそうな気がします」(小澤)
02:Jordan|AIR JORDAN 8 RETRO “AQUA“
NBAオールスターでジョーダンが履いたカラーウェイ
「エア ジョーダン 8は僕の2足めのエア ジョーダンで、中学3年生のとき父親にアメリカ出張で買ってきてもらった思い出のスニーカーです。僕が欲しかったのは7でしたが、父親は店でエア ジョーダンと言って出されたものを買ってくれただけなので、それがどのモデルかわかるわけもなく…受け取った僕は『これじゃなかったのにな』と思いながらも言えずに、ずっと愛用していました。
部活でジョーダンを履くのはカッコつけすぎな気がして、部活の後、友だちと運動公園でバスケをするときや、塾に行くときなどファッションとして履いていました。僕が持っていた8は今回の『アクア』ではなく、黒ヌバックに赤と白の『プレイオフ』。当時はチャンピオンのリンガー風スウェットやベンデイビスのシャツにカーハートのパンツと、そんな空気感でコーディネートしていた記憶があります。どこか甘酸っぱく、気恥ずかしい思い出の8ですが、今見るとクロスストラップのデザインも意外にかわいい。
大人になるとファッションも凝り固まってきて、自分に合うものだけを着るようになってしまいます。そんなマンネリを脱するにはこのエア ジョーダン 8のように、自分の引き出しから取り出してきたものと組み合わせてファッションを楽しむのがいいんじゃないかと。買って満足するのではなく、自分のものにできたらいいなと思います」(小澤)
03:Jordan|AIR JORDAN 5 RETRO OG “GRAPE“
オリジナルに忠実な「グレープ」の復刻モデル
「エア ジョーダン 5は1990年に登場しました。日本でエア ジョーダンの評価を上げたモデルとして、また『スラムダンク』で流川が履いていたバッシュとしても人気です。今回復刻された『グレープ』(パープルとグリーンのコンビ)は、90年代初期にナイキがランニングシューズやほかのバッシュにも採用していたカラーウェイで、個人的にはエア ジョーダン 1のシカゴカラー(ブルズのチームカラーの白・赤・黒の配色)と同じくらいエア ジョーダン 5、イコール『グレープ』というイメージもあります。
5は2006年、2013年と過去に何回か復刻されていますが、ヒールに発売当時と同じNIKE AIRの文字が入るのは『グレープ』としては今回が初めて。というのもジョーダンブランドが設立されてからは、エア ジョーダンの復刻モデルにもNIKEの文字をなかなか使わなくなったので、今回の復刻はヘッズにとってかなり喜ばしいニュースだと思います。
UOMO読者はエア ジョーダン 1が好きな人が多いと思います。もちろん僕もそのひとり。でも今回紹介する5のように青春の過程にあったエア ジョーダンを買わずにはいられません。1は何にでも合う無敵感がありますが、5はどうやって今の自分のファッションに取り入れるかを考えるのが楽しい。今なら落ち感のいいゆるいパンツにタメをつくりたいときには、ボリュームのある5を合わせたいかな」(小澤)
04:NIKE SPORTSWEAR|AQUA TURF
ネオンカラーのスリッポンを着こなしの外しに
「今年復刻されたアクア ターフの新色で、ネオングリーンが登場します。昔のランニングシューズっぽいこの配色がよくて、今回ピックアップしました。アクア ターフは1992年に登場したスリッポン。もともと80年代にアクア ソックがあって、その次世代として当時のACGから出た水陸両用シューズがアクア ターフです。
配色だけでなく、折りにふれ登場するナイキのスリッポンにも僕は弱くて、出ると常にチェックしています。エア ウーブンやエア プレストもそうですが、足を包み込む構造のナイキのスニーカーが好きで、このアクア ターフもナイキのフィッティングに対するひとつのアプローチだと思うんです。ネオプレンの使い方が、90年代のエア ハラチを彷彿とさせます。
水陸両用ではありますが、あくまでファッションとして取り入れるのがおすすめです。間違っても短パンに素足で合わせてはいけません。普段のコーディネートに合せれば、ネオンカラーのスリッポンが今っぽいスポーティなムードを添えてくれます。いつまでもこういうネオンカラーを外しで取り入れられる、カッコいい大人でいたいですね」(小澤)
05:NIKE|ZOOMX VAPORFLY 3
ファイヤーパターンが斬新な今年の“駅伝パック”
「ナイキが10年以上前から駅伝シーズンに合わせてリリースしている“駅伝パック(EKIDEN PACK)”が、今年も発売されました。毎回、箱根にインスパイアされたデザインを採用しているのが特徴で、今年は駅伝がスタートしたころに夜間区間を走るランナーの足元を照らしていた松明の炎がモチーフになっています。
とはいいつつ、2002年にナイキは駅伝選手の意見をもとにつくった『エア ストリーク スペクトラム プラス』でもファイヤーパターンを使っていて、2018年にはシュプリームがコラボをしているんですよね。だから見る人によっては、シュプリームが使った柄をアスリートが履いていると思うかもしれません。いずれにせよ、ストリートを彷彿とさせる柄を、限界に挑戦するようなシーンでアスリートが履くなんてことは、今までなかったことだから、僕はとてもワクワクしています。
“駅伝パック”はあらゆるランナーのレベルに合わせたモデル4モデルをラインナップしています。個人的にファイヤーパターンのバランスが一番いいと思うのはこの『ヴェイパーフライ 3』。上位モデルの『アルファフライ 3 プレミアム』も出ていますが、日常のランニングに頻度高く取り入れたいのなら『ズーム フライ 6 プレミアム』のスペックはおすすめです」(小澤)
06:NIKE × DOVER STREET MARKET|NIKE Zoom Vomero 5
DSMコラボならではの奥行のあるブラック
「2020年頃から注目されるようになったボメロ 5。ボメロは2000年代後半にエア マックスとは違う快適性を謳ったシューズとして登場しました。中でもこのボメロ 5はいろいろなコラボにY2K文脈で使われたりするのでファッションのイメージが付いていますが、パフォーマンスシューズとしては最新の17まで発売されていて、バージョンによってアッパーのデザインはかなり変わります。
ボメロはいつも時代に忠実なデザインで、最新のものもいいなと思って見たりしています。共通しているのはどれも履きやすいということ。アシックスのゲルカヤノ14とかニューバランスの1906みたいに、つい履いてしまうナイキって何だろう? と考えたとき、僕はボメロ 5だなと思います。
このトリプルブラックはオーバーレイにリフレクティブ素材を使用したドーバー ストリート マーケットとのコラボレーション。コム デ ギャルソン系のコラボスニーカーは、同じトリプルブラックでもインラインのものとは奥行が全然違います。ご存じの通り黒で何かを表現するのが得意なブランドなだけあって、素材の組み合わせ方などすべて意味のあるデザインになっているので、この“黒の幅”をぜひ楽しんでほしいです」(小澤)

「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
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