訪れる街に珍妙な個性を見いだし、漫画に描き続ける清野とおるさん。UOMOのウェブで始まった新連載『スペアタウン ~つくろう自分だけの予備の街~』では、自分のホームタウンに代わる街(=スペアタウン)を探し求めて、また新たな街を訪れる。今作での街歩きの流儀とは。


「スペアタウンでは、できれば1~2泊はしたいところですね。そしてなんでもないような、いたって普通の場所で過ごしてみる。その街に溶け込み、暮らしているかのように。どこにでもあるスポットほど『街の人となり』が見えてくる。例えばサイゼリヤはいいですね。新連載の第1話で訪れた多摩センターの店舗なら、混雑しすぎずわりといつでも入れて、なんといっても客層がいい。適度にガヤついていますが、全然耳障りではなく、むしろ心地よい。多摩センターはチェーンのスーパー銭湯にせよ、サウナブームと無縁で心穏やかに過ごせるし、若者たちも都心では遭遇しがちな“うぇ~い感”がなく、皆、節度があるような印象」


 新天地に求めるのは安らぎなのか。


「もちろん安寧ですよ。若い頃のように前のめりに事件を求めていませんから。見知らぬ街に出かけても、交通費と滞在費に見合った体験をしなければという逼迫感はなく、ただそこに住んでいる自分の姿を想像するだけです。北の赤羽に住んだので、南の蒲田、東の新小岩あたりは期待大ですね。添い遂げる気概で住んでいる赤羽は再開発が進み、かつて行きつけだったお店の8割はなくなってしまった。この先さらに開発が進んで高層マンションが立ち並びでもしたら、いよいよ自分の居場所だとは感じられなくなるかもしれません。それに人生、何があるかわからない。万が一にも自分の火の不始末で近所に火事を広げてしまったら…ある日突然、街を追われるかもしれないですし…」


清野とおる
1998年漫画家デビュー。『東京都北区赤羽』『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』『東京怪奇酒』『全っっっっっ然知らない街を歩いてみたものの』など、ドラマ化作品多数。自身が街を歩く中で体験した事柄を漫画に落とし込んだ作風は、シュールでありながら人情味のあるタッチが人気を集め続けている。


清野とおる最新作「スペアタウン 〜つくろう自分だけの予備の街〜」


Photo:Akira Yamada 
Interview&Text:Takako Nagai