2025.06.24
最終更新日:2025.06.24

【大人のハワイ旅・お買い物編】俳優・光石研の「ホノルル ヴィンテージショップ日和」

【大人のハワイ旅・お買い物編】俳優・光石の画像_1

俳優として数々の作品に出演する傍ら、プライベートでは古着・ヴィンテージ好きとして知られる光石研さん。ハワイには仕事やプライベートで何度も訪れており、「ハワイのヴィンテージって、なんか日本で見るのと全然違うんですよね。歴史が違うというか」と語る。今回は光石さんがハワイで必ず立ち寄る店と、前から気になっていた店を含む3軒を案内してもらった。

俳優
光石研

1961年生まれ、福岡県出身。高校在学中に曽根中生監督『博多っ子純情』(78) のオーディションを受け主演に抜擢される。以降、映画・ドラマを中心に様々な役柄を演じる。YouTubeドラマ『光石研の東京古着日和』(CCCメディアハウス)、著書のエッセイ集『SOUND TRACK』(パルコ出版)、『リバーサイドボーイズ』(三栄)などを通じて、近年は自身のファッションやライフスタイルのセンスも注目されている。

TIN CAN MAILMAN

チャイナタウンの文化的宝庫

【大人のハワイ旅・お買い物編】俳優・光石の画像_2

ダウンタウンのチャイナタウン地区に佇む小さな店舗。ぼーっと歩いていると看板を見落としそうになるほど控えめな佇まいだが、中は別世界が広がる。

「ここは僕のお気に入りなんです」と光石さん。店主のクリスは単なる古物商ではなく、ハワイの歴史に精通した文化的ガイドとして、各アイテムの背景を語ってくれる。

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床から天井まで、おもに1950-60年代のハワイ関連のヴィンテージアイテムで埋め尽くされた店内。まるでハワイ文化の博物館のような圧倒的な品揃え。

価格帯は決して安くない。ポストカードが5-20ドル、歴史的写真が200ドル、希少な広告は250ドル以上する。「でも、これらは投資価値を持つ文化的遺産なんです」とクリス。またヴィンテージのアロハやフラ人形など日本のコレクター雑誌にも頻繁に掲載される品々を、現地価格で入手できる貴重な機会がここにある。

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「僕はだいたいヴィンテージのフラ人形が一番のお目当て。いい子に出会ったら必ず買って帰るんです。自宅にあるフラ人形はほとんどここで買ったもの。1950-60年代くらいまでは日本製で、手作りの温かみがいい味出てる。顔も一人ひとり違ってて、かわいいでしょ?」

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戦後ハワイの観光黄金時代を物語る、本物のヴィンテージアロハシャツ。生地の質感、プリントの美しさ、すべてが現代のレプリカとは次元が違う。

「アロハシャツって見てると欲しくなっちゃいますよね。僕もハワイで買いがちです。さすがに1200ドル出すのはなかなか勇気がいるけど(笑)」

スペシャルなヴィンテージアロハだけでなく、レギュラーで35ドルくらいから程度の良いアロハシャツも取り揃えているのでご安心を。

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70‐80年代の航空会社のポスターやレアな映画のポスターなど、状態の良いものがずらり。

「この時代のポスターは見てるだけで楽しい。アナログレコード探してるときみたいな感じで掘りがいがあります」

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1940-60年代のハワイの歴史的写真や地図。観光地化される前のワイキキの姿など、貴重な記録が残されている。

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ファンク好きの光石さん。「わ! ジェームス・ブラウン。これはライブの告知ポスターかな。かっこいいですよね、こういうのも」

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アナログレコード好きの光石さんが思わず反応するレコードコーナー。マーティン・デニーなど、ハワイ音楽・ラウンジミュージック中心。店主のクリス曰く「盤質よりもジャケットのデザインと状態重視」のラインナップが楽しい。

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「ハワイっぽくないんだけど、気になっちゃって…」と、光石さん大好物のレタードのカーディガンを試着。70年代のプナホウ校(旧オアフ・カレッジ)オフィシャルのもの。250ドル。

【大人のハワイ旅・お買い物編】俳優・光石の画像_11

「今日はこれにします」と光石さん。1970年代にハワイのホテルやティキバーで実際に使われていたグラス(28ドル)をお買い上げ。グラスの裏にはマイ・タイのカクテルレシピが書かれている。

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「いつも絶対になにか欲しいものが見つかるから、ハワイに来たら外せないお店。店主のクリスさんは一見おっかなそうだけど(笑)、話すとすごく気さくなナイスガイです。僕は詳しくないから、『これはいつ頃のもの?』『なんで貴重なの?』っていろいろ聞くと教えてくれます」

TIN CAN MAILMAN

住所:1026 Nuuanu Ave, Honolulu, Hawaii 96817
TEL:808-524-3009
営業時間:火-金 11:00-17:00、土 12:00-16:00(日・月定休)
アクセス:ワイキキから車で約15分、チャイナタウン内
インスタグラム:@tincanmailman

ANTIQUE ALLEY

カカアコの宝探し空間

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カカアコ地区のクイーンストリートに位置する「アンティーク・アリー」。一見普通のアンティークショップだが、中に入ると圧倒的な物量に驚かされる。

「このお店は2018年にハワイに来たとき以来なので久しぶり。これという目的なく入って“お宝探し”ができるお店です」と光石さん。

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オーナーのパケ・ゼインは、ハワイ大学で社会学修士を取得後、10年間にわたる世界旅行を経験した人物。アメリカの人気鑑定番組「アンティークス・ロードショー」(日本でいう『なんでも鑑定団』のような番組)の公式鑑定士も務める専門家だ。

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狭い店内に山のように積まれた雑貨類。戦時中の遺物、エジプトのミイラビーズ、世界各地の民芸品まで、何でも揃う。価格設定は公正で、「他店より良価格でオリジナリティが高い」と評価されている。とくに戦前製造のハワイ製品など、真のハワイ文化を物語るアイテムが手頃な価格で入手可能だ。

カオス状態の店内を、じっくりと見て回る光石さん。

「こういうところ大好き! 前に来たときよりもさらにごちゃごちゃしてる気がします」

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パンアメリカン航空が飛行艇(Clipper)で世界中へ旅行できるという夢を売り込んでいた時代のポスター。1940〜60年代に多く見られたデザインで、コレクターズアイテムとしても人気。

「ヴィンテージなのに、雑にクリップ付きハンガーに吊るされてるところがこのお店っぽいですよね」

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プリモビールの戦前ボトルなど、ハワイの酒造史を物語る貴重なコレクションが店内の随所にディスプレイされている。ちなみにパケはヴィンテージボトルのコレクターでもある。

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ほとんどのアイテムに値札がついておらず、一見売り物なのかディスプレイなのか判然としないものが多数ある。ここにあるヴィンテージは、パケの「文化的リサイクル」哲学によって集められている。貴重な文化的遺産が廃棄される前に救出し、次世代に引き継ぐという崇高な目的があるのだ。

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インスタントコーヒーのパイオニア的存在だった、ジョージ・ワシントン・コーヒーの広告ポスター。第一次世界大戦後〜1930年代ごろに作られたものの復刻版。

「このポスターかわいいですね。いま自宅をプチリフォーム中なので、インテリアになるものが最近気になってるんです」

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1940年代〜1960年代、ミッドセンチュリー期の木製ヴィンテージハンガー。

「こういう昔のハンガーって、今なかなか手に入らないんじゃないですか? 天然の木の質感を活かしたデザインって雰囲気いい」

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パンアメリカン航空のアメニティバッグは60ドル。1960年代〜1980年代頃に飛行機の乗客に配られていたものと思われる。パンアメリカン航空は、1991年に倒産するまで、アメリカを代表する国際航空会社として知られていた。

「アメニティがこんなかわいいバッグに入ってるなんて、いい時代ですよね。僕、籠バッグよく使ってるから、バッグインバッグとして使いたいな」

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光石さんが購入を最後まで迷っていた、ベークライト製の黒い置き時計。1940年代〜1950年代に時計を製造していたアメリカのラックナー社のもの。

「文字盤のフォントもかわいいし、これが35ドルってお買い得。でも完動品じゃないからオーバーホールしなきゃいけないでしょ? 僕そういうの苦手なんですよねぇ…」

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もうひとりのオーナーであるジュリー・ラウスターさんと3人で。

「本当になんでもあるので全部を見るなんてことは到底無理だけど(笑)、じっくり見たいなら何時間でもいられるのんびりしたお店。一期一会の素敵な出会いがきっと見つかるはずです」

ANTIQUE ALLEY

住所:1030 Queen St, Honolulu, HI 96814 
TEL:808-941-8551
営業時間:月・火・木・金・土 12:30-17:30(水日定休)
アクセス:ワイキキから車で約10分、ホールフーズマーケット向かい

NUMBER 808

サーフカルチャーの洗練されたセレクト

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ホノルルからクルマで約1時間。オアフ島北部に位置するノースショアエリアの中心地ハレイワにある店舗「ナンバー 808」。サーフタウンらしいリラックスした雰囲気。しかし、商品セレクトは極めて洗練されている。ヴィンテージと現代ブランドを絶妙にミックスした「セレクトショップ」だ。

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オーナーのキャッピー・ツーは元スタイリスト。ニューヨークでハイエンドなライフスタイル誌『T Magazine』やファッションブランド「JACQUEMUS」のショーのスタイリングなどに携わっていたが、生まれ育った地元ハレイワに「ナンバー 808」を2015年にオープンした。念願叶ったこのお店は“自分の子供”のようだという。

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「前から気になってたお店なんですが、ノースショアってちょっと遠いからなかなかチャンスがなくて。今回やっと来ることができてうれしいです」と光石さん。店内に入った途端、隅々まで興味深そうに見て回る。

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レギュラー中心の古着に加え、「ナンバー808」オリジナルのブランドのTシャツやスウェット、「エンジニアドガーメンツ」「ワックスロンドン」など上質な現行ブランドのアパレルのほか、レコードや古本、雑貨が調和よく配置された店内。まるでライフスタイルマガジンのページをめくるような感覚で買い物を楽しめる。

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「ナンバー808」オリジナルのブランドのTシャツは40ドル、ロンTは60ドル。キャップやトートバッグは40ドルと買いやすい価格帯。

「プリントのデザインがいいですよね。日本にいるときにお店のインスタグラム見てて、欲しいのがいくつかありました。どれにしようかな」

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取材時、ヴィンテージのアパレルは4ラックほどのラインナップ。アロハシャツやプリントのシャツは160ドル〜、ストリートカルチャーを感じるラインナップのTシャツは70ドル〜と、こちらも買いやすい価格帯。

「古着のTシャツとか、旅先で偶然気に入ったのに出会うと、いい思い出になるから、日本で買う時よりちょっと特別な気分で選んでます」

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1960年代〜1980年代のヴィンテージのバッジ。反戦運動、政治・社会メッセージ系から、カウンターカルチャーやヒッピームーブメントの影響を感じるデザインに、企業やブランドのプロモーションのものなど。アメリカのサブカルチャー史を物語る貴重なアーカイブだ。1個平均5ドル前後〜。

「デザインがおもしろいから、一個一個ずっと見ちゃいました。だいたい10ドル以下で買えるし、お土産にもいいかも」

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アンティークトレイの上に散らばるのは、往年のハワイを切り取ったお土産用のポストカードたち。1960年代〜1980年代のハワイの風景が鮮やかに蘇る。

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「僕、これに決めました」と、黄色い花柄が印象的なNO.808オリジナルTシャツ(40ドル)を手にする光石さん。「シンプルなデザインだけど、懐かしくて新しい。どことなくハワイらしい色合いも気に入りました」

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さらにもう一着。ネイビーの生地に白いボックスロゴが映える、ナンバー 808のロンT(60ドル)も購入。背面には店舗の住所と電話番号がプリントされている。

「これで“ハワイ帰り”じゃなくて“ノース帰り”をアピールできます(笑)」

ちなみに「808」は、ハワイ州の電話番号。ローカルにとっては故郷への愛を、旅行者にとっては忘れられない思い出を象徴する特別なナンバーだ。

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「初めてお会いしましたが、キャッピーさんの国際的なセンスとローカルな感性のバランスが絶妙。遠くても来た価値がありました。アクセサリーとかヴィンテージの古着はレディースもあるので女性と一緒に来ても楽しめそう」

NUMBER 808

住所:66-165 Kamehameha Hwy, Haleiwa, North Shore
TEL:808 312 1579
営業時間:11:00〜17:00 年中無休
インスタグラム:@no.808

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3店舗を巡って改めて感じるのは、それぞれの個性が際立っていることだ。ティンカン・メールマンではアロハシャツや雑貨中心の宝探し体験を、アンティーク・アリーでは圧倒的な物量の中での思わぬ発見の喜びを、ナンバー808では洗練されたセレクトとの出会いを提供している。

光石研さんとともに巡った3店舗は、単なるショッピングを超えた文化的体験を与えてくれる。次回のハワイ旅行では、ビーチやグルメだけでなく、こうした個性豊かなヴィンテージショップを旅の選択肢に加えることで、きっと新しいハワイの魅力に出会えるはずだ。

次回は光石さんがチャレンジした「ハワイズハーフマラソン ハパルア2025」の様子をお届け。「大人のハワイ旅・マラソン編」を近日公開予定。お楽しみに。

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