2025.09.06
最終更新日:2025.09.06

「グランドセイコーは究極の実用時計です」小木“POGGY”基史【「日本のものづくり」を再編集する】

かつて小木“POGGY”基史さんは、海外とのネットワークを深めることで、新しいラグジュアリーとストリートの世界を自らのスタイルで表現してきた。でも、彼が今気になるのは日本人ならではのものづくり。そこには海外が憧れる日本の職人的な精神性やクリエイティブが詰まっていることを伝えたいという。

小木“POGGY”基史

ユナイテッドアローズから独立後、ファッションキュレーターとして活躍。自身のコレクションやスタイルを収めた『Poggy Style: Dressing for Work and Play』がリッツォーリ社より発売中。

グランドセイコーは究極の実用時計です

グランドセイコーの高い技術力、職人的なムーブメントはファッションとしての評価が高まっている。機械式時計を製造する岩手・雫石のスタジオは、世界に紹介したい日本の誇り。

SURIA|ヨガブロック
「信州 時の匠工房」で開発された異次元の高精度ムーブメントを搭載し、小型化と薄型化を実現。諏訪・霧ヶ峰高原の雪原に林立する樹氷の美しさを表現している。自動巻きスプリングドライブ。ブライトチタン。ケース径37㎜。「SLGB003」¥1,518,000/グランドセイコー(セイコーウオッチお客様相談室)

グランドセイコーとポルシェは
僕の中で似たポジション

「先日のパリのファッションウィークでオーラリーのショーを見て“ジャパニーズモダンフュージョン料理のフルコース”を堪能している気分になったんです。この約10年で、日本のファッションや飲食のプレゼンテーションの水準がすごく上がった。海外の人がシンプルなものの奥にある日本人の考えを理解するようになったと思います」

 これまでミニマルなファッションは欧州から発信され続けてきた。その中で日本らしいシンプルさとは何か。表層的なデザインではなく、作りのよさやクオリティが日常着に落とし込まれている、その心地よさに海外も癒やしを感じている、とPOGGYさん。時計の世界で言えば、日本製のグランドセイコーがそれにあたるそうだ。

「ポルシェ仲間の間でよく『911』を車以外のものにたとえると何か?って話で盛り上がるんです。ロレックスとかリーバイスとかいろいろな意見があるのですが、僕はグランドセイコー。その中でも今日つけている『スプリングドライブ U.F.A. SLGB003』というムーブメントが近いんじゃないかと。これは機械式とクオーツのいいとこどりのムーブメントで、今回さらに進加させて1年で20秒くらいしか誤差がないものになったそう。すごい技術が実用的に落とし込まれているのが、レースに使えて公道でも走れる「911」のGT3 RSみたいで。しかもその最高峰のムーブメントが、小さな37㎜のケースに入っている。ポルシェみたいなかわいさがあってファッション的にもつけやすい。世界に誇れる、究極の実用時計だと思います」

グランドセイコースタジオ 雫石
グランドセイコーの機械式時計を製造する施設「グランドセイコースタジオ 雫石」もPOGGYさんが訪れてみたい場所の一つ。豊かな自然に囲まれるスタジオは、建築家・隈研吾氏が設計。木々の美しさが調和している。
ガラス越しに熟練の技能士たちによる職人芸を見学することができる
このスタジオでは、ガラス越しに熟練の技能士たちによる職人芸を見学することができる。人の目と手によって作られる機械式時計は、海外とは違う時間への哲学が注がれていて、技術と同じくらい思想が評価されている。
SBGH347
毎秒10振動の高精度ムーブメントを搭載した「SBGH347」。岩手山で見られる厳冬期の「氷瀑」をイメージ。自動巻き。エバーブリリアントスチール。ケース径37㎜。¥946,000/グランドセイコー(セイコーウオッチお客様相談室)
SLGW003
レザーベルトがドレッシーな雰囲気の「SLGW003」は岩手県平庭高原に自生する荘厳な白樺林がモチーフ。手巻き。ブリリアントハードチタン。ケース径38.6㎜。¥1,529,000/グランドセイコー(セイコーウオッチお客様相談室)

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