かつて小木“POGGY”基史さんは、海外とのネットワークを深めることで、新しいラグジュアリーとストリートの世界を自らのスタイルで表現してきた。でも、彼が今気になるのは日本人ならではのものづくり。そこには海外が憧れる日本の職人的な精神性やクリエイティブが詰まっていることを伝えたいという。
ユナイテッドアローズから独立後、ファッションキュレーターとして活躍。自身のコレクションやスタイルを収めた『Poggy Style: Dressing for Work and Play』がリッツォーリ社より発売中。
グランドセイコーは究極の実用時計です
グランドセイコーの高い技術力、職人的なムーブメントはファッションとしての評価が高まっている。機械式時計を製造する岩手・雫石のスタジオは、世界に紹介したい日本の誇り。

グランドセイコーとポルシェは
僕の中で似たポジション
「先日のパリのファッションウィークでオーラリーのショーを見て“ジャパニーズモダンフュージョン料理のフルコース”を堪能している気分になったんです。この約10年で、日本のファッションや飲食のプレゼンテーションの水準がすごく上がった。海外の人がシンプルなものの奥にある日本人の考えを理解するようになったと思います」
これまでミニマルなファッションは欧州から発信され続けてきた。その中で日本らしいシンプルさとは何か。表層的なデザインではなく、作りのよさやクオリティが日常着に落とし込まれている、その心地よさに海外も癒やしを感じている、とPOGGYさん。時計の世界で言えば、日本製のグランドセイコーがそれにあたるそうだ。
「ポルシェ仲間の間でよく『911』を車以外のものにたとえると何か?って話で盛り上がるんです。ロレックスとかリーバイスとかいろいろな意見があるのですが、僕はグランドセイコー。その中でも今日つけている『スプリングドライブ U.F.A. SLGB003』というムーブメントが近いんじゃないかと。これは機械式とクオーツのいいとこどりのムーブメントで、今回さらに進加させて1年で20秒くらいしか誤差がないものになったそう。すごい技術が実用的に落とし込まれているのが、レースに使えて公道でも走れる「911」のGT3 RSみたいで。しかもその最高峰のムーブメントが、小さな37㎜のケースに入っている。ポルシェみたいなかわいさがあってファッション的にもつけやすい。世界に誇れる、究極の実用時計だと思います」



