愛犬と暮らす人物に焦点を当てる連載。UOMO世代のみならず、世間の憧れを集める男の日々の創作や生活に寄り添う、小さな家族との時間を語ってもらう。
第三回|やついいちろうとこぶし&こはだ
苦労を超える愛を知ったら
生きることが楽になった
「顔が大好き。完全なルッキズム」と語るやついいちろうさん。貫禄たっぷりのこぶし(右・13歳)と愛嬌抜群のこはだ(左・3歳)のパグ2匹と暮らす。
「奥さんが動物好きで、結婚して“エアー犬”のこぶしを僕たちの頭の中で飼っていたんです。ある日、六本木のペットショップに立ち寄ったら、頭の中にいたこぶしが生後数カ月の姿でリアルにいて。これは運命だと、そのまま連れて帰りました(笑)。それから10年がたち、奥さんが高齢のこぶしの今後と溺愛する僕にいつか訪れるペットロスを思って、こはだを家族に迎え入れてくれたんです。2匹のおかげで、車の免許も取ったし、犬の散歩のコントも作ったし、愛犬のエッセイも出版したし、僕の人生を充実させてくれました」
同時に人に対する意識に変化が起き、それが価値感の変化にもつながった。
「たまに『犬って散歩とか臭いとかお金とか、いろいろ大変じゃない?』って言われるんですけど、そのとおりなんです。大変なことしかない。でもそれらをすべて忘れるほどかわいいし、一緒にいて楽しい。ずっと相手の行動や趣味を理解できなかったら『何がいいの?』っていちいち否定していたけど、こぶしとこはだとの生活を経験してから、『自分が知らないだけで、特別な面白さがあるんだ』と考えるし、そういう人を応援しようと思える。僕自身、生きることが楽になったんです」
やついいちろう
お笑い芸人、DJ、俳優。1997年、今立進とお笑いコンビ、エレキコミックを結成。2022年、こぶしとの日々を綴ったエッセイ本『うちの犬がおじいちゃんになっちゃった 愛犬こぶし日記』を発売。