色や素材のバリエーションが増えたデザイナー家具を部屋の雰囲気や自分の好きなテイストに合わせて選ぶ楽しみも増えている。誰もが知っている名作をただ復刻で手に入れるだけじゃない、新しい選び方を、「ビルディング」オーナー 木村洋輔さんに聞く。
現代の生活様式に合わせた 名作のアップデートを選ぶ
世界中から良質なヴィンテージを探し集める木村さん。さぞ現代のデザイナー家具には興味などないと思っていたら、復刻や現行のプロダクトにはそれなりの楽しみ方があるという。それはちょっとマニアックな“モダナイズ”に注目すること。そもそも今回集められた7つの家具のオリジンは、1950〜’60年代に生まれた名作。状態のよいヴィンテージを買おうとしたら大変だし、専門店やオークションなどをチェックしても実際に出会える確率は少ないものばかりだ。
「現行品が充実し、憧れの名作も今の気分に合わせて色や素材が選べるようになりました。それこそ僕たちが若い頃のインテリアは一点豪華主義でしたが、今は全体の調和が重視されています。今回選んだ7点も、トータルのやわらかいつながりを意識しました。最近はオーク材やアッシュ材の家具を選ばれる人が増えています。明るくナチュラルな質感に、グレーやベージュといった優しい色のデザイナー家具を合わせると、部屋全体に統一感が生まれます。またガラスからアクリルに替わったり、LED光源に対応するなど、現代の生活様式にアップデートされたものは、この先の使用を考えても合理的。またマックス・ビルの時計の存在は知っていても、家具があることを知らない人も多い。知る人ぞ知るデザイナー家具って、実はたくさんあるんです。値段も（ヴィンテージに比べれば）手軽なものが多いので、おすすめですね」
「FRP（ファイバーグラス製）のヴィンテージを血眼で探した世代だと思いますが、今なら現行のポリプロピレン製がおすすめ。背もたれが程よくしなるため、FRP製より座り心地はいい。僕なら淡いグレージュに黒の脚を合わせたい」。チェア￥42,000〜／ハーマンミラー（ハーマンミラージャパン）
「バウハウス最後の巨匠マックス・ビルがデザインしたおにぎり形テーブル。とても稀少なオリジナルの天板はブラックのみですが、ヴォーンベダルフ社の現行はオリーブやブルーが選べるので、インテリアにも取り入れやすい」。φ825㎜×H330㎜ テーブル￥330,000／ヴォーンベダルフ（メトロクス）
「アルネ・ヤコブセンの名作、『AJテーブル』ライトを佐藤オオキ氏が率いるnendoがリデザイン。機能的にアップデートしているので使うシーンも広がります。ミニマリストならではの“未来の余白”を感じるデザインはデスクライトの新しいスタンダードです」。ランプ￥57,000／ルイスポールセン
「リフレクターをのせた大きなガラスボウルを光源の上に置く、非常にユニークなテーブルランプ。オリジナルより直径をスケールダウンさせ、LED光源に対応し、ベースカラーも選べるように。モダンにもミッドセンチュリーにも相性がいいです」。ランプ（φ373㎜）￥128,000／フロス（日本フロス）
「デンマーク最古の工房といわれるルド・ラスムッセンが製作していたブックケースの生産をカール・ハンセン社が引き継いでおり、今もオーダーが可能。収納を増やしたい人に」。縦760㎜×横760㎜。本棚￥204,000〜／カール・ハンセン＆サン（カール・ハンセン＆サン フラッグシップ・ストア東京）
「アメリカを代表するポール・マッコブのプランナーシリーズをフリッツ・ハンセン社が復刻したことで、独特の野暮ったさが抜けた、洗練されたデザインに。クリーム色の大理石の天板が気分」。H400㎜×W800㎜×D800㎜。テーブル￥179,000〜／フリッツ・ハンセン（フリッツ・ハンセン青山本店）
「SASロイヤルホテルの客室用にヤコブセンが設計したチェア。200脚のみ生産されたオリジナルはオークションでも高額です。2014年に復刻されたプラスチック製はカラフルでプライスもお手頃。座り心地もなかなか快適です」。チェア￥38,000／フリッツ・ハンセン（フリッツ・ハンセン青山本店）
日本フロス TEL:03-3582-1468
ハーマンミラージャパン TEL:03-3201-1836
フリッツ・ハンセン青山本店 TEL:03-3400-3107
メトロクス TEL:03-5777-5866
ルイスポールセン TEL:03-3586-5341
