ソロキャンプは究極の引きこもり。

椅子もテーブルもない。最小限の装備で過ごすのが阿諏訪さん流のキャンプスタイルだ。芸能界屈指のソロキャンプ集団「焚火会」のメンバーでもあり、特に焚き火には並々ならぬ愛情とこだわりをもっている。焚き火台は、薄くて軽くて携帯性に優れたスイス生まれの「ピコグリル398」を愛用。


気を遣わなくていいし、好きなことをやっていい

キャンプ好きを公言する芸人は多いが、その中でもガチ中のガチとして知られるのが「うしろシティ」の阿諏訪さんだ。阿諏訪さんがキャンプに目覚めたのは22歳のとき。芸人仲間と公園でBBQをしたのがきっかけだった。

「火を囲みながら、外でお酒を飲んで、ご飯を食べることが震えるぐらい楽しかったんです。そのときは夏だったんですけど、夏が終わるとみんなはキャンプに行かなくなって、でも僕は秋になっても行きたいし、冬になっても行きたい。気づくと一人で行くようになって、場所も設備の整ったキャンプ場ではなく、できるだけ人がいなくて、自然のままの野ざらし状態のところを探すようになりました(笑)」

 阿諏訪さんの現在のキャンプスタイルは、ブッシュクラフトと呼ばれる。必要最小限の道具だけ持参して、あとは自然のものを利用して過ごす上級キャンパー向けのスタイルだ。

「基本、荷物はバックパック一つです。テントは持たず、タープを張ってハンモックで寝ます。その辺にある枝や石を使って、いかに寛げる空間をつくるかがブッシュクラフトの目指すところなので、今回もタープを張るときに使うペグやランタンスタンドは落ちている木の枝を削って自作しました。中にはお皿やカトラリーまで作っちゃう人もいて、僕もやったことがありますけど、そこは自分が考える快適さとのバランスだと思っています」

いちばん好きな時間は、ご飯を食べ終わって、お酒を飲みながら、焚き火の火をいじっているときだという。

「ソロキャンプって究極の引きこもりだと思うんです。家に一人でいても、隣の部屋の生活音だったり、クルマの走る音だったり、何かしら人の気配を感じるじゃないですか。やっぱり対人関係って少なからずストレスになっていると思うんですよ。でも、一人で山奥に行けば、そういうものがほとんどない。気を遣わなくていいし、好きなことをやっていい。心身ともに緩められるんです。そこがソロキャンプの最大の魅力だと思います」


荷物は全部、この中に入っちゃいます
ソロキャンプの装備は、基本的にこのバックパックにすべて収納可能。バックパックは、スウェーデンのアウトドアブランド「フェールラーベン」の48ℓモデル。別売りのサイドポケットやギアホルダーをつけてカスタマイズしている。

キャンプチェアは持たず、サーマレストのマットレス「Zライトソル」を地面に置いて使用。その上に敷いたカーキ色の袋は、軍用のランドリーバッグ。急に雨が降ってきて慌てて撤収しなければいけないときは、とりあえずこの中に荷物を突っ込む。


作れるものは可能な限り自作する。今回はペグやランタンスタンド、蚊取り線香スタンドを制作。ナイフはフィンランドのナイフメーカー「ケラム」のもの。


携帯用のミニ浄水器で水をくむ阿諏訪さん。川の水は一見きれいに見えても、雑菌がいたりするので、調理などで必要なときは必ず浄水してから使うようにしているという。


ハンモックはイギリスの「DDハンモック」を使用。「薄くて軽いハンモックはほかにもあるんですけど、そのぶんどうしても作りが弱くなってしまいます。DDハンモックはとにかく堅牢だし、アースカラーの色合いも好み。あと、寝心地は想像以上に快適で、僕はテントで寝袋を使って寝るよりも熟睡できます」。


調理道具は機能よりも愛着
調理道具や食器類には特にこだわらず、愛着のあるものを使っている。「以前はキャンプ用のもので揃えていたこともあったんですけど、いかにもキャンプっぽいのがイヤになって(笑)。それよりも家で使っているものをそのまま持ってきました、みたいなほうがいいなと思って、今はこんな感じです。ちなみに、スパイスを入れているレザーケースは自分で作りました」。


阿諏訪泰義さん/芸人
1983年生まれ。2009年にお笑いコンビ「うしろシティ」を結成。YouTubeチャンネル「野あすわ」でキャンプや釣り、レザークラフトの動画を配信。


Photos:Takahiro Idenoshita
Composition&Text:Masayuki Sawada