デーヴィッド・マークスさんW. DAVID MARX
41歳/ライター
東京都三鷹市 192.13㎡ 夫婦+子ども2人
1978年米国生まれ。2001年にハーバード大学東洋学部卒業。’06年に慶應義塾大学商学研究科修士課程修了。ファッションを中心に、音楽やアートなど、さまざまな分野で執筆している。

どこにいても
庭を感じられるところが好き

中2階のリビング。天井高は約4mあり、庭に面した開口部からたっぷりと入る光を漆喰塗りの壁がやわらかく反射する。オットマン付きのイージーチェアはハンス・J・ウェグナーのもの。


アメリカントラッドというスタイルが、どのように日本にもたらされ、独自の進化を遂げたのかを多角的にまとめた名著『アメトラ:日本がアメリカンスタイルを救った物語』。その著者であるデーヴィッドさんは、今から約1年前、井の頭公園に程近い閑静な住宅地に家を建てた。

「10年以上この辺りに住んでいて、家を建てるなら同じエリアがいいなと思っていました。僕自身、日本家屋が好きで、そういうテイストの家にしたかったので、知り合いの建築家に相談したところ、手嶋保さんがいいよって勧められて。作品を見ると、本当に素晴らしかったから、土地探しを含めて手嶋さんにお願いすることにしました」

そうして完成したのが、中庭をもつコートハウス型の建物。地上2階と地下1階からなり、各部屋はいずれも廊下から数段を上下するスキップフロアでつながれ、家全体を立体的に回遊することができるつくりとなっている。

「僕からは、大まかな要望として、中庭が欲しいとか、音楽室が欲しいとか、外壁は焼き杉にしたいと伝えたぐらいで、基本的に手嶋さんにすべてお任せしました。オーダーでスーツをつくるときもそうですが、こちらがあれこれ頼みすぎると失敗することが多い。専門家を信頼して任せたほうがいいんです。実際、想像以上の素晴らしい家ができました」

お気に入りは、中2階に位置する開放的なリビング。

「天井が高くて、大きな開口部からは庭の緑と空が見えます。ここでソファに座って音楽を聴きながら本を読むのが好きなんです。すごく贅沢な時間だなと思います」


半地下にある音楽室。ピアノは100年近く前のYAHAMA製。ほかに、ギターやシンセサイザーが置いてある。音楽室をつくることは、家族みんなの希望だったという。中庭にはドライエリアを介してアクセス可能。

リビングから1階のダイニングを見る。テーブルと椅子はオリジナル。テーブルの横には開口部があり、BBQコーナーを備えた庭に出ることができる。

デーヴィッドさんの書斎。壁一面の本棚に書籍や雑誌などが並ぶ。「原稿を書いたりする仕事部屋なので、結局、ここにいちばん長くいますね」。壁にかかっているレトロなVANのポスターは、最近手に入れた。

和室も用意。ゲストルームとしてつくったが、いつかは茶道を習おうと思っているため、将来的には茶室として使うことも想定しているという。

中庭の風景。焼き杉の外壁は、デーヴィッドさんの希望。「日本の伝統的な家屋といえば焼き杉のイメージがあったのと、経年変化も魅力的だなと思って」。


Photos:Shota Matsumoto
Composition&Text:Masayuki Sawada