
立山連峰に富山湾というダイナミックな自然に囲まれ、美食家たちに愛される街として注目を集める富山。ニューヨーク・タイムズ紙の「2025年に行くべき52カ所」にも選出。世界遺産、民藝、アート…と見所は尽きないがオーストラリア出身で、日本食が大好きなイラストレーター、エイドリアン・ホーガンが巡ったのはあくまで地元に根づくローカル美食だ。
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オーストラリア・メルボルン出身。2013年に来日し、青森を経て東京に移住。雑誌、広告、書籍、壁画、絵コンテなどでイラストレーター・画家として幅広く活躍。2018年、スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京のウォールアートを手がけ、一躍有名に。Tarzan Webで「ヨガと気づき」を連載中。富山の旅中には風景や食事をさらりとスケッチ。
05|大喜 根塚店


唯一無二のパンチ力にしびれる
「富山ブラックラーメンのルーツを聞き、食べて納得。チャーシューが圧巻で、頭にも身体にもガツンとくる。クセになりそうです」。終戦直後、スタミナをつけたい肉体労働者のために考案された大盛りのチャーシューに濃い味つけという秘伝の味を50年以上作り続ける。濃厚なラーメン(¥800)をおかずに白米を食べるという頼み方がデフォルト。
大喜 根塚店
富山県富山市根塚町4-2-8
TEL:076-491-2929
営業時間:11時~20時
定休日:水曜
06|ザイカ・カレーハウス


現地?と錯覚するカレーを貪る
「住宅街に突如現れ、店内では現地語のテレビ放送が流れ、見慣れぬメニューが豊富すぎて…いろいろとあぜん。チキンカレー、チキンティッカとシシカバブ、ビリヤニ、ナン…と欲張ったセット(¥1,550※ラッシー付き)を注文しました」。実は富山市と高岡市に隣接する射水市は在日パキスタン人のコミュニティが存在する街。メニュー数が多く初心者から上級者まで満足必至だ。
ザイカ・カレーハウス
富山県高岡市中曽根260-3
TEL:0766-54-5574
営業時間:11時~15時、17時~22時 無休
07|糸庄 本店


締めにふさわしい富山人のソウルフード
「不思議とするする食べられる。ニンニクがききながらホッとする味で、プルプルのもつはけっして脂っぽくない。なんだか幸せな気持ちです」。創業昭和47年、行列が絶えない糸庄の定番のもつ煮込みうどん(¥1,250)。 手延べ・手打ちの氷見うどんを煮込んだもっちりした麺に、柔らかいもつ、えび天ものって、笑顔になれる締めの一杯。
糸庄 本店
富山県富山市太郎丸本町1-7-6
TEL:076-425-5581
営業時間:11時~15時30分、17時~22時30分、土・日曜11時~22時30分
定休日:火曜
08|飛弾


新感覚のペアリングに出会う
「素敵なカウンターで、おでんとナチュラルワインにいい音楽。もう帰りたくありません」。面白いお店が集まる上本町駅近辺で、しっぽり飲むなら飛弾が最高。豆腐(¥500)、こんにゃく(¥200)などすべて店主の手作りで特にハンペン(¥700)は必食。珍しいセルビアのナチュラルワインをいただきあっという間に夜が更ける。
飛弾
富山県富山市上本町4-7
TEL:080-8726-056
営業時間:17時~24時
定休日:火曜
富山の“ウマい”を持ち帰るなら?
大塚屋の「三角どら焼き」

古い町並みが話題の岩瀬にある和菓子店の人気商品。日本海の荒波を模した三角形のどら焼きは薄い皮に餡がずっしり。
とやま鮨の「昆布ガリ」

富山の名産でもある昆布と白ごまを混ぜたガリ。普段のおかずにはもちろん、酒のつまみにもうってつけ。
五郎丸屋の「薄氷」

北陸の冬の朝、水たまりや水田に薄氷が張る様子を投影した銘菓。富山の米を使った繊細な煎餅に和三盆が刷毛塗りされている。
つりやの「ほたるいか沖漬け」

150年以上続く「釣屋魚問屋」が作る保存食がどれも絶品。中でもぜひ土産にしたいのは名産のほたるいかの沖漬け。
鱒寿司はタイプ違いを食べ比べたい


まつ川の鱒寿司は厚みのあるレアさが人気。まるで生の寿司を食べているようだが臭みはなし。前日までの予約がおすすめ。
元祖せきの屋


富山の郷土料理、鱒寿司の店は富山に約30店舗も。おのおの特徴があるが、こちらは程よい硬さのあるバランスのよい鱒がポイント。

「自然の豊かさ、職人気質でいて温かい県民性。そういうものを日常生活の中にある“メシ”を通して知った旅。若い頃のように博物館や美術館を前のめりに巡るより、脇道のお店を訪ね、ここに住む自分を想像するのが心地よい。」
by Adrian Hogan