ユニクロには社食が2つある!


編集部員が展示会やプレスルームに赴き新作をチェックする恒例の潜入取材ルポ、今回は洋服”じゃないほう”の変化球として「社員食堂」へ突撃する第二弾をお届け。UOMOブランド統括の山崎(左)と副編集長の薬師神(右)に北條と穂上を加えた4名が、日本が誇るグローバルブランドである「UNIQLO(ユニクロ)」の会社機能が集約された有明本部にお邪魔した。


山崎前編で掲載した5階に続き、6階の社員食堂へ。両方ともメディア初登場ってことでよい?


薬師神:厳密には、5階の社食は前編で初登場。6階の社食は今回の取材で初登場になるかと。





穂上:6階の社食もオーシャンビュー。


北條:芝刈り機が空閑遊真(漫画「ワールドトリガー」)のお目付け役、レプリカに似てる…。


UNIQLO担当者:5階でお話しした内容の繰り返しになりますが、ファーストリテイリング有明本部は2017年2月に完成し、ここ6階の社員食堂も同時期にオープンしました。2年7ヵ月後の2019年9月にオープンした5階の社食と合わせまして、有明本部で勤務するファーストリテイリング社員とそのグループブランド社員、合わせて約2,000名の昼の胃袋を11時から14時までの営業時間内でカバーしております。





北條:5階の社食と比べると、6階はオーソドックスなつくり。ファミレスとファスト蕎麦屋が一緒になったような座席配置に安心感を抱きました。


薬師神:いかにも。独り席もあるね。


北條:壁と会話しながらランチしているお疲れ気味のユニクロ社員を見てみたいものです。


穂上:6階には「COSTA COFFEE(コスタコーヒー)」があるんですね。5階にはスタバでした。




発券機前に集合。左から、薬師神(おしゃれ)、山崎(早食い)、穂上(おしゃれ2号)、北條(大食い)の取材陣は30分ほど前に5階でランチを完食したばかり。ファーストリテイリング有明本部6階のユニクロ社員食堂「DAYLY SPECIAL」にて、本日の5つのメインメニューから2食目のランチを吟味中。


薬師神:ちょっぴり軽めのランチを…。


北條:5階ではカレー、6階では麺かしら?


山崎:誰も突っ込まないが、Y神・H條・H上さんの本名が丸出しになっている。


穂上:なにか吹っ切れたようです。







イカ天そば(425kcal)
¥400





薬師神:ランチする時間すら取れなさそうなユニクロ社員さんには消化のよい「かけうどん」が人気だと5階では聞いたけど、お蕎麦もよいと思うの。


文化系男子の薬師神は「イカ天そば」をオーダー。元祖・渋谷系のバンドマン(ドラム担当)だった彼の脳裏には、同郷の仲間と毎週楽しみに視聴していたというTBSの名番組「三宅裕司のいかすバンド天国」(1989年2月~1990年12月)が去来していたという。


薬師神:関東風の醤油味でした。





ミラノ風チキンカツ~とろーりチーズソース~(554kcal)
ごはん・味噌汁・漬物付き
¥550(※ごはん大盛無料)





5階で天ぷらトッピングの「かけうどん」を食し、6階では和洋折衷の「ミラノ風チキンカツ~とろーりチーズソース~」をオーダーした山崎。海外出張やコレクション取材で世界各国の主要料理を20数年のうちに網羅、加えて大御所プレスや各界重鎮との食事会で鍛えられた胃袋はなんでもござれ。懐が広い。


山崎:味噌汁と漬物付きに注目。ミラノ風とありつつも、日本人の勤労意識の象徴である社員食堂のプライドを感じさせる。とろーりチーズソースと合うかどうかは食べてみないとわからない。




中華丼(424kcal)
味噌汁・漬物付き
¥500(※ごはん大盛無料)





後ろの穂上は「中華丼」。熱々を調理師がその場でよそってくれる醍醐味も社食ならでは。


穂上:最後にちょこんと乗せてくれるうずらの卵が嬉しい。これがない中華丼は画竜点睛を欠く状態だと思うのです。イメージ通りの料理が提供されるって、実は素晴らしいことなのではないかと。


山崎:よい視点。ワードローブのスタンダードであるユニクロは、食のスタンダードもきっちりと押さえているということか。余計なストレスがない。


北條:さんま、秋刀魚、サンマのラーメン!


山崎:む。北條君、どうした?





横浜サンマーメン(797kcal)
¥400





メニューを吟味する時点ですでに口の中が麺類ベースだった北條は「横浜サンマーメン」を注文。だが、テーブルに着席してもいぶかし気な表情だ。


北條:サ、サンマがいない…。


穂上:サンマーメンって具が野菜炒めのあんかけラーメンですから。広東語で「生馬麺(サンマーメン)」と書き、「生(サン)=新鮮な」+「馬(マー)=上に乗せる」麺という意味です。ちなみに横浜発祥。


北條:イメージと違ったけど美味しい。野菜は苦手というか面倒でなので積極的に食べることはないけども、サンマーメンなら知らないうちに摂取できそうで栄養バランスもよさげ。サンマを入れてもいいかも。



ウェブ記事上ではツーショットがありそうでなかなかないUOMOブランド統括の山崎(左)と副編集長の薬師神(右)。この構図はまるで、共演したアル・パチーノとロバート・デ・ニーロがツーショットで1つの画面に収まっているカットが劇中にワンシーンも存在せず、仲の悪さを邪推された映画『ヒート』(1995年)を彷彿とさせる。


山崎:レストランのテーブルで対面で会話するシーンか。メイキングで見たけど、実はマイケル・マン監督はツーショットを撮っていたんだよね。


薬師神:横並びのツーショットを使わない選択なんて、監督の編集意図を考えちゃう。


北條:そこはわかりやすく使うべきだっだと私は思うであります。マン監督は、敵対する者同士が静かに口撃を交わす中で僅かに揺れ動く表情筋と視線を尊重するがあまり、ツーショットや俯瞰カットよりも顔寄りの正面バストショットを優先しました。ですが、やっぱりファンが期待する構図は別と言いますか…。




北條:アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの共演ですし、大衆が望むわかりやすい絵は撮らないといけないと思うであります。ユニクロの社食のように、スタンダードに徹してみんなにとってわかりやすいメニューを提案する方向性は、誰もがその恩恵を享受できる。但しサンマーメンにはサンマは入っていない。


山崎:とりあえず北條君、あとひとつ、食べていないメインメニューがあったよね?


北條:ハイ喜んで!




鯖の塩焼き定食(371kcal)
ごはん・味噌汁・漬物付き
¥550(※ごはん大盛無料)





6階の社員食堂「DAYLY SPECIAL」には日替わりのメインメニューが5つ。残りの1つである「鯖(さば)の塩焼き定食」を食し、5階の社食「FOODHALL」を含め、両社食のメインメニューを完食した。


UNIQLO担当:サンマは旬の秋に定食になればよいですね。またいらっしゃってください。




締めに入った穂上、「コスタコーヒー」のホットを手に合流。オーシャンビューを背に話も弾む。


穂上:こぢんまりとした6階と大所帯の5階の社食、双方によさがありますね。もし私がここで勤務しているならば、食後のコーヒーがコスタ(6階)とスタバ(5階)のどっちの気分かで階数を決めるかも。




(※前編参照)有明カレー ¥350
417kcal
※大盛無料





山崎:思い起こせば、ユニクロ社員食堂のいわゆる“名物”みたいなメニューは、前編で北條君が食した5階の「有明カレー」だったと思う。


北條:また食べたいです。


穂上:カレーに有明の名称が付いただけですが、確かに6階に有明カレーはなかったですね。




フルーツ盛り
¥1.8(1g)





その頃、薬師神はフルーツコーナーでにてオレンジ、ぶどう、グレープフルーツ、パイナップルを物色中。量り売りで盛り付けは自由。コロナ5類に移行はしたもののビニル手袋は置かれている。


薬師神:衛生観念もしっかりしとる。北條くんも食後のデザートにフルーツはどう?


北條:サイドメニューの茶色いものを…。


薬師神:まだいくんかい。





カニクリームコロッケ
¥1.8(1g)





その茶色いものとは、サイドメニューで用意されていたカニクリームコロッケ。他にも魅力的な食材が並んでおり、ついつい食べ過ぎてしまいそう。


北條:最後の最後で好物に出くわしてしまうとは。コロッケはおかずだから白飯も欲しいところではある。なんとかドギーバックできないものか…。


UNIQLO担当:またいらっしゃってください!



この日2食目のランチも全員完食。UOMOブランド統括の山崎が、ファーストリテイリング有明本部にある2つのユニクロ社員食堂、5階の「FOODHALL」と6階の「DAILY SPECIAL」を振り返る。


山崎:取材する側の礼儀として完食がマストであるとはいえ、昼休憩の短時間にランチを各人2セットとはエキサイティングな闘いだったと思う。先に訪れた5階でショートケーキまで食したが勇み足だったかもしれず、カロリー表の数字が今になって胃袋と心に重くのしかかってきている。とはいえ、ユニクロの企業努力は物づくりから社員食堂まで一気通貫しているという事実は大変にリスペクトするものであった。


薬師神:繰り返しになりますが、「有明にいるしユニクロの社食でランチでも食べようぜ!」と思っても部外者はビル自体に入れませんので誤解なきよう。ゲストパスや商談があれば社食まで入れますけども。


山崎:うむ。ファーストリテイリングに迷惑はかけないように。あとは社外とはいえ、たまに編集部の皆と仕事以外の話をしながらランチするのもいいかもしれないと思った。お疲れ。


薬師神・北條・穂上:ごちそうさまでした!!!








せっかくなので、食後に6階の社食周辺を案内してもらった。受付付近にはヒストリーホールと呼ばれるスペースがあり、ユニクロのグローバルブランドアンバサダーを務める(左から)アダム・スコット(プロゴルファー)、錦織圭(プロテニスプレイヤー)、国枝慎吾(プロ車いすテニスプレイヤー)、ゴードン・リード(元プロ車いすテニスプレイヤー)らのポートレートがずらりと並ぶ。


薬師神:奥のほうにグローバルブランドアンバサダーの平野歩夢(プロスノーボーダー)さんもいたよ。あと、綾瀬はるかさんもいた。


北條:最新コレクションヴィジュアルや世界のユニクロ旗艦店の写真、数々のコラボデザイナーのポートレートも飾られていますね。


山崎:このたびは滅多に見られない社員食堂の取材を快諾していただきありがとうございました。つきましては、他にも「メディア初登場」の社員食堂関連施設があるならば見学させていただきたいのですが。


UNIQLO担当:それでは特別に。


薬師神&北條:(マジか…!?)



極秘裏に6階の奥まった場所まで通された取材陣。その先にはセキュリティーキーで施錠されたVIP来賓用の完全個室があった。カーペットが敷かれた空間には、インテリアとして米国建築界の巨匠であるフランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright / 1867年~1959年)設計のテーブルライトや九谷焼の大皿も飾られるなど、社員食堂といえど厳かな空間だ。


山崎:方行屋根をデザインに取り入れた照明はフランク・ロイド・ライトのタリアセン(TALIESIN)か。VIPゲストの接待部屋までリーズナブルな社員食堂と繋げている一貫性を評価したい。


薬師神:重要会議用かしら?


北條:ウーバーも呼べそう。




ちなみに、個室に飾られている九谷焼じゃないほうの波佐見(はさみ)焼は、「ユニクロ」では「UT」小物としてマメザラやソバチョコなどが販売されている。


北條:ここでジル・サンダーさんも食事を?


UNIQLO担当:ノーコメントで!




以上でユニクロ社員食堂の取材は終了。消化も早い山崎以外、みなグロッキー状態だ。とくに北條は5階で「有明カレー」と薬師神オーダーの「六白黒ぶた丼定食」の半分、6階で「横浜サンマーメン」と穂上オーダーの「中華丼」のうずらの卵、加えて好物の「カニクリームコロッケ」を食べている。


山崎:はいもしもし…えっ!? まだ食べていないお勧めメニューがあった!?


薬師神&北條:もうお腹いっぱいです!


洋服“じゃないほう”のユニクロ取材ルポ、薬師神と北條の闘いはまだ始まったばかりだ。





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Photos: Hiroaki Horiguchi
Text: Takafumi Hojoh