最近、玄人たちがこぞってスラックスをパターンオーダーしているという、フェンダール。生地の選び方で大きく印象が変わる唯一無二のストレートは、なぜ人気を集めているのか?
計算し尽くされたシルエットを自分だけの一本に仕上げる

テーラーの技術を落とし込んだ、美しいシルエットで人気を集めるフェンダール。こちらは3型あるスラックスのうち、ノータックのワイドストレートモデルである「モデレート」。腰はピタッとしながら、ヒップのトップからまっすぐ落ちるシルエットを楽しむことができる。生地にはオリジナルで開発した尾州の葛利毛織のものを使用。

南青山にあるアポイント制のショップでは、年に2回オーダー会を開催。そこでは老舗メーカーの生地や中野さんが海外で買い付けてきた’60~’90年代のヴィンテージ生地を選ぶことができる。次回は10月に開催予定で、詳細はアンスナムのブログ(https://ansnam.blogspot.com/)をチェック。不定期で地方のショップで受注会を行うことも。


テーラードからカジュアルウェアまで、さまざまなアイテムのオーダーメイドを行ってきたブランド、アンスナム。そのデザイナーの中野靖さんが、パリ在住のモデリストと意気投合して始めたのがフェンダールだ。その美しいシルエットの秘密は、どこにあるのだろうか。
「ブランドスタート当初から、テーパードがきつくない、ストレートから微フレアくらいのシルエットにこだわってきました。現在スラックスは、ノータック、ワンタック、ノータックワイド(モデレート)の3型があり、すべて股上が浅く、ヒップハングとはいかないまでも腰骨に引っかけるはき方をするようなデザインにしています。そうすることで、お尻のトップからストンと落ちる、きれいなラインが生まれるんです。また、腰のすわりを安定させているので、腿から下はドレープがきれいに出るのもポイント。そのうえで、普通であればワンクッションくらいのところを、1.5~2クッションくらいたっぷりと入れることを推奨しています。それによってテーパード感を払拭し、重心が下にくるようなシルエットを実現しました。そして、豊富な生地から選べるパターンオーダーも大きな特徴。尾州のオリジナル生地から、老舗メーカー、海外のヴィンテージまであって、全国のセレクトショップに卸しているスラックスには、それぞれの個性が出ています。生地次第でドレスシューズはもちろん、ニューバランスのようなスニーカーにも合う万能さも強みです。年2回、個人オーダー会も開催しているので気になる方はぜひお越しください。生地の種類が膨大なため、理想の一本を手に入れるのに悩むこと間違いなしですが(笑)」
全国各地のセレクトショップが注目!
大阪|TALE COCOON

自然な微フレアで知的な雰囲気を演出
「今季は最もフェンダールらしいノータックモデルを選択。実際に広がっているわけではないのですが、ブーツカットのように見えるシルエットが魅力ですね。生地はオリジナルのシャークスキンにしました」(バイヤー/小柴佑介さん)
京都|PARK

ジャストなヒップとウエストに惹かれて
「ノータックのストイックなデザインは、一度はくとほかのパンツに浮気できないくらい素晴らしい。こちらは程よく光沢のある定番のブラックウールを使っており、さまざまなシーズンに活躍してくれます」(バイヤー/丸山高男さん)
川越|TWELVE

エレガントなのにデニム感覚ではける
「すっきりとした腰まわりと、わたりから裾までストンと落ちるモデレートでオーダー。このシルエットは、デニムパンツのような感覚で合わせることができるカジュアルさも兼ね備えているのが魅力です」(スタッフ/清水雄也さん)
FENDART
アンスナムを手がける中野靖さんとパリ在住のモデリストが、2019年にスタートしたパンツ専業ブランド。現在はデニムやカーゴパンツも展開。