「買い物は人生の道標」と語るのは、UOMOでもお馴染みのファッションディレクター、金子恵治さん。金子さんの買い物は目的があるように見えて、実は衝動買いの連鎖。「常に最愛のモノを追い求めているけど、心が揺れる衝動買いにロマンを感じ、その感動が自分の仕事の糧になっています」そんな金子さんの、5カ月にわたる衝動買いの「声」に耳を傾ければ、あらためて服の楽しさは出会いにあることに気づかされる!

レショップのバイヤー、コンセプターを経て独立。現在は複数のブランドディレクション、PR業を行うほか、青山で自身のショップ「BOUTIQUE」も営む。
4/27 Sun|SEVEN BY SEVEN ハーフジップシャツ

ただ古く見えるだけでは刺さらない
暑さが続く最近の日本では、長く使える麻混のシャツが重宝する。ちょうどこの日、ふらっと訪れた代々木上原のセブン バイ セブンで、麻混のチェック柄に目が留まり、佇まいに惹かれた。ブルー×ブルーの美しいチェック柄で、クラシカルな匂いがするけれど、ヴィンテージにはまずない配色。古着屋にあったとしても、きっと現行品だと気づくだろう。そんな自分好みの生地に惹かれながら形に目をやると、かなり古いワークシャツを踏襲したハーフジップシャツだった。あまり直球でヴィンテージを踏襲しないデザイナーの川上さんにしては珍しいなと思ったが、生地とのバランスを考えると、ああ、やっぱり川上さんらしい服だと思った。
人それぞれバランスのとり方があって、足し引きもさまざまだ。ヴィンテージを踏襲し、あまりパターンをいじらないものが好きな自分には、この服は直球で刺さった。同時に購入したシルクのオープンカラーシャツも、同じようなバランス感覚で作られたものだった。自分の琴線に触れるポイントは限りなく狭い。けれど、ちょうどハマったこの二着は、とにかくバランスが好みだった。形は古いのに、けっして古く見えない。古着屋で古着に混ざっていたとしても、見抜ける自信がある。古いものも好きだが、やはり今っぽいものが好きだ。どんなものを選ぶにしても、そこだけはこだわっている。