綾瀬はるか、メンズ服を着る、語る

「私服でメンズのアイテムを着ることも多いんです」。そう語ったのは、俳優・綾瀬はるか。遊び心のあるモヘアニット、ドレスなジャケパン、トラックスーツ、武骨なレザー。オールメンズ服で挑んだファッションシュートからは、いつもと少し異なる表情が垣間見える。年齢を重ねてたどり着いた、ファッションや人生観の「現在地」についても聞いてみた。

ずっと大好きなモヘア。今、色とデザインで少し遊んでみたい

やわらかな印象のモヘアニットは、綾瀬さんが昔から変わらず好きなアイテムだ。ミントグリーンからダークカラーへのグラデーションで、小気味よくエッジのきいた一着。初挑戦だと言うレザーのパンツと組み合わせることで、優しいモヘアが程よくハードな印象に。

慣れ親しんだ色を、新鮮に魅せる「ドレスなダークトーン」

ダークカラーの服は愛用しているが、基本カジュアル派。だからこそアイテムがジャケパンになるだけで色の印象がガラリと変わったそう。凜とした色だからこそ、変形ジャケットも、どこか上品。

潔いトラックスーツにこそ、メンズ服のよさが詰まってる

シンプルなトラックスーツを、飾りすぎずに着るのも、メンズ服らしい楽しみ方。余計なデザインがないことで、リラックス感のあるアイテムに大人らしさが加わる。ジャケットに配されたロゴでラフさの中に小さなラグジュアリーを。

注目しているレザーのアウターは、ビッグサイズを平常心で

ここ数年、レザージャケットを探していて、最近ようやく理想の形のものを見つけたそう。今回着用した、コモリはプライベートでも愛用しているブランドのひとつ。メンズサイズのシルエットで、レザーの武骨さにどこか緩やかなムードを取り入れてみるのも楽しい。

　メンズ服を着てメンズ誌の撮影をすることはこれまでほとんどなかったので、この企画は私自身もすごく新鮮でした。ただ、プライベートでは、メンズのアイテムや、メンズライクな洋服が実は好き。ちなみに小さい頃からパーカばかり着ていました。親はもうちょっとかわいらしい服を用意してくれていたのに、私は自主的にパーカと短パン（笑）。ずっと男性が着ている服がかわいいと思っていて、それは子どものときから変わらない。というように、私は好きなものがずっと続くタイプ。だから洋服も、同じものを長く愛用したり、似たようなアイテムがクロゼットを占めたりしています。20年間大切にしているニットがあるほど。

　でも、今、ファッションの気分が少しずつ変化していってる気がするんです。例えば色の話だと、これまでは本当に毎年黒やネイビーのようなダークカラーばかり着ていたのですが、30代の後半くらいから、ちょっとずつカラフルなものの割合を増やしていこうという気持ちになり、実行中。今回だとジルサンダーのニットのような軽やかな色と重めの色のグラデーションがすごく好みでした。もともと、シンプルな服をシンプルに着こなすのがマイ・ルール的なものだった。けれども年齢を重ねるとどこかに華やかさが欲しくなってきて。そういった意味でこれまでトライしてこなかった色や柄をコーディネートに取り入れたくなっているのかもしれません。

　ファッション以外の考え方でも同じようなところが。昔から、初めてのことやものに接するのを少し怖いと思っていたんです。ビビリに加えて面倒くさがりなところもあるので。でも、これも2～3年前から、新しいことにチャレンジしたいなという気持ちが芽生えてきています。例えば、板前修業してみようかな、とか。もちろんまだ実践はしていませんが（笑）。私くらいの年だと、何か始めるのには手遅れなんじゃないかと思うことって少なくないですよね。けれども、60代～70代の大先輩の活躍を目にしていると、挑戦するのに遅いなんてことは全然ないなと感じたんです。あとは、年齢的に気持ちの余裕が生まれてきて。肩の力を抜くことと、ちょっとした楽しみを自分に与えることが自然とできるようになった。だから新たなことに思いを馳せる余白が生まれるのかな。そういった意味で、今の綾瀬はるかをひと言で表すとするならば、「軽やか」がしっくりくるように思います。