プロジェクトをともにする仕事関係、共通の趣味をもつ知人、古くからの友など、さまざまな理由でつながったセンスのいい大人たちをスナップ。仕事、趣味、ファッションなど、40歳男子がいま気になる話題にざっくばらんに答えてもらいました。仲間たちの前だけで見せる本音や素顔も必見。
師弟|店主とお客の関係から始まった
ユナイテッドアローズ、ランドスケーププロダクツを経て、独立。来春から、ヘンリーネック デパートメントが始動。
1997年、ランドスケーププロダクツを創業。プレイマウンテン、タスヤード、フォー スリーツーワンも運営。

中原:ウチから独立して何年?
郷古:15年です。
中原:もうそんなに! 出会った頃は、お互い20代だったのにね。
郷古:イームズに興味をもち始めた約30年前はネットもなく、情報を得られるのは中原さんの店くらいで。
中原:その常連客が、後に部下になり、ここまで立派になるとはね。
郷古:ほんとに恐縮です。
40歳男子の学びはここにあり! センスのいい大人に、近況から哲学まで聞いてみた
Q:どんなシャツが好みですか?
中原:カチッとしたシャツよりは、楽に着られるもの。ただ見た目はきちんとしたものを選んでいます。振り返ると、大学生の頃のアルバイト先だった鹿児島のアンティーク家具屋が喫茶店を併設していて、働くときは必ずシャツを着なければならなくて。それがきっかけでシャツを身近に感じるようになって、現職になってさらに着る機会が増えました。
郷古:夏はヘンリーネックシャツ一択です。インドコットンを使ったマドラスチェック柄の’60sのシャツをほぼ毎日着ています。海上がりに濡れた身体のまま着るのが本来の用途だったシャツなので、どこかスモックみたく、ファッションと道具の中間みたいな雰囲気があります。そして何より、見た目がかわいい。約40枚所有するうちスタメンは10枚ほど。好きが高じて、来春からヘンリーネックシャツに特化したブランド、ヘンリーネック デパートメントを南(貴之)くんと一緒に始めることになりました。今日は中原さんにもサンプルを着ていただきました(笑)。
Q:いま気になる、新しいもの、古いものは?
中原:新しいものといえば、デンマークとエジプトをバックグラウンドにもつサレム・シャラビが造る家具がすごくいい。コペンハーゲンの伝統的な家具づくりと、エジプトのマテリアルが共存していて、久々に“新鮮”と思えるものに出会いました。古いものは、ずっとミッドセンチュリーが好き。あとは、四代目に引き継がれたカール・オーボック。ちょうどウィーンを訪れる機会があったので、工房を見てきましたが、代替わりしてから活気にあふれていて。何か日本で企画展ができないか画策中です。
郷古:日本民藝の次世代として、陶芸家の三宅(康太)くんに注目しています。日本を代表する森山窯で修業を積み、昨年に倉敷青木窯を開窯しました。作風も幅広くセンスあふれる器ばかりです。古いものを一つ挙げるのは難しいですが、インターネットの普及でデザイナーズの情報は出尽くしている時代なので、アノニマスでまだスポットライトを浴びていないものを常に探しています。
Q:「未来に残したい」と思うものは?
中原:もう、たくさん。仕事柄、昔から家業を営んでいる方にお会いする機会が多いのですが、口を揃えたように「継ぎ手がいない」という話になるんです。日本は、良質なものや匠な技がたくさんあるから、それを途絶えさせないために自分は何ができるか、いつも考えています。
郷古:やはりアノニマスな民藝品。放っておいても持ち主を替えて継承され続けていくデザイナーズと違うので、魅力あるものを掘り起こし、しっかりと世間に伝え、注目も集め、後世に残したい。