愛着をもって使われてきたバッグは、佇まいがより味わい深いものになる。対照的な二つのブランドが取り組むアップサイクルプロジェクトを紹介しよう。
アーカイブにも出会える? 土屋鞄のCRAFTCRAFTS

今年で創業60周年を迎える土屋鞄製造所は、2021年からアップサイクルの「クラフトクラフツ」を本格的に始めている。見た目も味わい深く、新品の定価の40〜75%に抑えられているとあって、定期的に開かれるポップアップは大盛況だ。

「バッグを回収→修繕→販売するというサイクルを年に2~3回行っており、近年では年間500個ほどを仕上げています。限定品や過去のモデルも対象となるので、そうしたレアアイテムを求めてくるお客様も多いですね」(広報担当者)

回収時に持ち主から手紙が添えられているケースも多いという。仕事や休日をともにした大切なバッグが、このように次の人に渡ることが一般的になれば、より気持ちよく手放せそうだ。
もはやアート!なリモワのRE-CRAFTED

リモワは、2023年からアップサイクルプロジェクト「リクラフテッド」を始めた。クリエイティブオフィスを経営するS SAUCEの鎌田慎也さんが購入したスーツケースは、リクラフテッドとの出会いを表す究極形の一つといえる。
「公式のメルマガで知って、スーツケースを探していたわけではなかったけど即決しました。12万円ほどだったと思います。もちろん決め手は見た目のインパクトですが、ステッカーの趣味が自分と似ていたんですよね。クラフトビール、ラジオ番組、ストリートブランド…自分と縁のないステッカーばかりだったら買わなかったと思います(笑)」
出張で使うことを想定していたが、普段は存在感のある収納としてオフィスで活躍している。

リクラフテッドは、4万円分のバウチャーと引き換えにスーツケースを引き取ってもらえるシステム。前所有者のヒストリーはそのままに、持ち手やタイヤなどを必要に応じて交換して、ECで販売。鎌田さんの個体は内張りが張り替えられている。2年保証付き。