2025.09.01
最終更新日:2025.09.01

【ジョンロブのローファー「ロペス」】足に合わない? けどまた買ってしまう|ファッションディレクター金子恵治の衝動買い日記

「買い物は人生の道標」と語るのは、UOMOでもお馴染みのファッションディレクター、金子恵治さん。金子さんの買い物は目的があるように見えて、実は衝動買いの連鎖。「常に最愛のモノを追い求めているけど、心が揺れる衝動買いにロマンを感じ、その感動が自分の仕事の糧になっています」そんな金子さんの、5カ月にわたる衝動買いの「声」に耳を傾ければ、あらためて服の楽しさは出会いにあることに気づかされる!

金子恵治プロフィール画像
ファッションディレクター
金子恵治

レショップのバイヤー、コンセプターを経て独立。現在は複数のブランドディレクション、PR業を行うほか、青山で自身のショップ「BOUTIQUE」も営む。

2/16 Sun|JOHN LOBB “Lopez”

JOHN LOBB “Lopez”

足に合わない? けどまた買ってしまう

 休日の丸の内の仲通りが好きだ。平日は都会のオフィスワーカーでごった返すこのエリアは、週末になると、木に囲まれてゆったりとブランドを見て歩けるショッピングストリートと化す。この日は久しぶりにジョン ロブの旗艦店に入ってみた。ローファーの“ロペス”を試してみたくなったのだ。

 ちなみに、ロペスは僕の足には合わない。これは何度か購入しているから知っている。けれど、最後にもう一度チャレンジしてみたかった。お店に入って開口一番、「足に合わないのはわかっていて買いに来ました」と伝える。すると店員さんも「私も合わないです」と(笑)。そっか、やっぱりそういう靴だよなと思い、なんだか安心した。愛用していますという人たちは、きっとみんな無理しているんだと確信した。けれど、これほど美しいフォルムのローファーはないと思う。足の合いにくさとフォルムの美しさの関連性が気になってくる。どこかの記事で「足型に合わせてビスポークで作る靴が美しいとは限らない」と読んだことがある。まさにロペスは、既製靴であるからこそ成し得た、フォルム優先のラストなのではないか。するととてもスペシャルな靴に思えてきた。

 履き続けて数カ月、あれから思いのほか出番が多く、痛みを感じながらも頑張ってたくさん履いた。最近になって気づいたのは、あれ? いつの間にか痛みがない…ということ。一生合わないと覚悟していたのに、いつの間にか僕の足に馴染み、履きやすくさえ感じる靴になっていた。愛用しているという人たちへの疑いはすっかり晴れた。これから試す人たちには、じっくり履き込めば自分のものになるよとお伝えしたい。そういえばヘリルの大島裕幸さんは、最初からめちゃくちゃ履きやすいと言っていたな。僕の体験談は、話半分で聞いておいたほうがいいかもしれません。

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