世界有数のスペシャリティストアとして知られるバーニーズ ニューヨーク。2004年にオープンしたバーニーズ ニューヨーク銀座本店が、今年9月にリニューアルされてから「とにかく楽しい!」とファッション好きの間で評判に。ブランドを象徴するドレスクロージングの充実したラインナップやドメスティックブランドの豊富な品揃えに加え、メンズ向けヴィンテージジュエリーコーナーやギフトコーナー、カフェも新設し、まさに「大人のワンダーランド」へと進化した。
バーニーズ ニューヨークに定期的に足を運ぶサンカッケー・デザイナーの尾崎雄飛さんと、今回が初訪問となるモデルの黒澤怜慈さんが、チェックすべきセクションとその魅力をたっぷりとレポート!
SECTION1_B1 オリジナル
バーニーズ ニューヨークらしいラグジュアリーな別注に注目
この日はバーニーズ ニューヨークマーケティングチームマネージャーの重冨希典さん(写真左)が、リニューアルしたバーニーズ ニューヨーク銀座本店を案内してくれた。
重冨:まずはバーニーズ ニューヨークのオリジナルアイテムからご紹介させてください。近年はオリジナルにも力を入れておりまして、バーニーズ ニューヨークらしいラグジュアリーな視点の別注企画も増えています。
尾崎(写真右):バーニーズ ニューヨークのオリジナルは大人っぽくて、クオリティが高いですよね。
黒澤(写真中央):ひと目見ただけでも、気になるアイテムが並んでいます。
ペンドルトン別注のカシミヤストール
重冨:今季の推しはペンドルトンの別注です。代表的なハーディング柄のストールは大人の男性にまとっていただきたいと思って、素材にこだわりカシミヤ100%で別注しました。
尾崎:カシミヤ100%のペンドルトンとは、見たことがないですね!
尾崎さんが驚くハイエンドな別注を、黒澤さんが試着してみることに。
黒澤:とても気持ちがいいです。肌ざわりがなめらかで、あたたかくて…。やわらかなブラウン系の配色はベージュとの相性も抜群ですね。
重冨:もうひとつのおすすめは、カシミヤ混のジップカーディガンです。今季提案したいコーディネートがあるので、試着していただけますか?
ペンドルトン別注のカシミヤ混ジップカーディガン
B1階の奥にある広々としたフィッティングルームで、オリジナルアイテムを取り入れたおすすめコーディネートに着替えた黒澤さん。
黒澤:このぐらいボリュームのあるカーディガンだと、アウターとしても着られますね。カシミヤ混のおかげで、とてもあたたかいです。デニムジャケットをインナーに着てTシャツを下からのぞかせる、丈感のバランスも絶妙だと思いました。
重冨:デニムジャケットはフェードのかかった明るめの黒を選んで、モノトーンのレイヤードに立体感をつけました。アメカジベースですが、ボトムはゆったりとしたスラックスとレザーのサービスシューズで、カジュアルになりすぎないようにスタイリングしています。
尾崎:モノトーンは質感の違うアイテムを合わせると洗練されますよね。デニムジャケット、Tシャツ、ニットの3段階バランス、僕も好きです。
ちなみにオリジナルのデニムジャケットは、海外のラグジュアリーブランドのデニムを手がけるファクトリーに依頼した自信作。シューズはダナーとのコラボレーションで、このために開発されたグレインレザーを採用しているのが最大の特徴。クリーンなルックスで、ジャケパンスタイルにも合わせやすい。
オリジナルのヴァルスタータイプブルゾン
オリジナルの中から尾崎さんがピックアップしたのは、スタンドカラーのリブ襟が目を引くボタンフロントのウールブルゾン。イタリアの高級ブランド、ヴァルスター(Valstar)の名品がベースになっていることから「ヴァルスタータイプ」と呼ばれているデザインだ。
尾崎:「ヴァルスタータイプ」はスエードやレザーでつくられることが多いのですが、これはドレススタイルにも取り入れやすいウールですね。仕立ても本格的で、価格も良心的です。このレベルをオリジナルでつくられるとデザイナーとしては困りますね(笑)。
オリジナルのリバーシブルブルゾン
黒澤さんはミリタリーとアウトドアを融合したようなデザインのジップブルゾンを手に取った。ナイロンの表地に保温性抜群のボア裏地が付いたリバーシブル仕様。
黒澤:昔着ていた、軍モノのブルゾンを思い出しました。ボアもボリュームがちょうどよくて、軽くてとても着やすい。このぐらいあたたかさがあれば東京の冬は十分ですね。
重冨:アームがすっきりとした大人っぽいシルエットで、スラックスにも合わせやすいミニマルなデザインに仕上げています。ドレッシーにもストリートライクにも着こなせる一着です。
SECTION2_B1 スーツ・テーラリング
一流のスーツ・テーラリングアイテムが一堂に
スーツやジャケット、ドレスシャツなどの充実ぶりに定評のあるバーニーズ ニューヨーク。中でも国内随一の品ぞろえを誇るのが、イタリアのスーツファクトリーの中でも最高峰に位置するベルヴェストだ。
尾崎:バーニーズ ニューヨークといえばベルヴェストだと思ったので、今日は春のオーダー会で注文したスーツを着てきました。バーニーズ ニューヨークで年に2回開催されるオーダー会は、好みの型と生地などの副資材を組み合わせて自分だけの一着を作ることができる貴重な機会ということもあって、毎シーズン楽しみにしています。
重冨:さすがです! ベルヴェストはバーニーズ ニューヨークが世界に先駆けて紹介したブランドで、今も大切にお客様へご紹介しています。今シーズンおすすめしたいのは、このネイビーのシャドーストライプのスーツです。ベルヴェストらしい構築的なシルエットで、実際に袖を通していただくと身体に自然にフィットして、その着心地のよさに感動されると思います。
黒澤:普段スーツに縁がないんですが、これから年齢的にも友人の結婚式など、スーツを着る機会が増えそうなので…。
将来を見据えて、イチ推しのジャケットを試着した黒澤さん。尾崎さんもジャケットをさわって、つくりや素材を確かめる。
尾崎:これは肩パッドをほとんど入れずに仕立てた、やわらかくて着やすいタイプですね? 僕のはしっかりと肩バッド入りですが。
重冨:おっしゃる通り、構築的な見た目ですが、ジャケットというよりも、カーディガンのようなリラックスした着用感が特徴のタイプです。サイズもぴったりですね。
黒澤:ジャストサイズで身体にフィットしているのに、窮屈な感じがまったくしません。こんなに軽くてラクな着心地だとは…。きれいめなスタイルが好きだから、これにタートルネックニットなんかを合わせてもよさそうです。スーツとして、少しかっちり着たいときには、どんなコーディネートがよいですか?
ベルヴェストのシャドーストライプスーツ
重冨:ラペルが少し太めの段返り3つボタンジャケットですので、フライのセミワイドカラーのシャツが好相性です。同系色のブルーのシャツにより深いネイビーのアットヴァンヌッチのタイを合わせればモダンな印象になります。さりげなく、タイが花柄になっているという遊び心も入れました。
フライは誰もが認めるエレガントなイタリアシャツの王道ブランド、アットヴァンヌッチはイタリア・フィレンツェに工房を構えるブランドで、伝統と現代的な感性がほどよく融合している。
尾崎:それぞれが専業ブランドで、しかも格がそろった素敵なコーディネートです。ベルベストはヴェネツィアに近いパドヴァのブランドだから、フラワーホールにヴェネツィアン・グラスの花モチーフのピンが付いているんですよね。
「洋服の愉しさ」を伝えるYouTuberとしての一面も持つ尾崎さんが解説を添え、スーツ談義に花が咲いた。
その後、黒澤さんはしばしメンズドレスコーナーを回遊。
黒澤:スーツだけでなくタイもシャツもこんなにバリエーション豊富にそろっているとは、心強いですね。同じフロアでまとまっているのはもちろん、広々と見通しがよくて、ディスプレイもとても見やすい。スーツが必要になったときは、ここに来ようと思いました。
サルトリオのチェックジャケット
尾崎さんは大好物のジャケットコーナーを物色。手に取ったのはクラシックスタイルをベースにしながらも、時代に合わせてアップデートされたテーラリングを提案するサルトリオのチェックジャケットだった。
尾崎:これは僕の好きなタイプ。いわゆるナポリスタイルのジャケットです。肩パッドが入っていないアンコンスタイルですが、仕立てがよくシルエットがきれいなんです。ウエストが絞られていない寸胴なタイプなので、カジュアルなボトムとも合わせやすいんですよね。
テーラードジャケットを着慣れた尾崎さんらしく、鏡に全身を映し、サイド、後ろ姿まで360度チェックして、シワの出方などを細かくチェックしていた。
SECTION3_B1 デザイナーズブランド
気鋭の国内ブランドを積極的にラインナップ
続いては、豊富なブランドラインナップのデザイナーズブランドセクションへ。
重冨:バーニーズ ニューヨークというと、インポートのデザイナーズやラグジュアリーブランドのイメージが強いかもしれませんが、最近は国内のブランドの取り扱いも大幅に増えました。中でもアンセルム、シュタイン、ヨーク、ヴジャデといった、注目度の高いブランドを積極的にピックアップして、別注にも力を入れています。
尾崎:同業者ということもあって、国内デザイナーズは見ないようにしていたので (笑)、こんなに充実していたとは知りませんでした。
アンセルムの別注デニムシャツ&ロングスリーブTシャツ
重冨:こちらが今季推している、アンセルムの別注アイテムです。カラーレスデニムシャツ(右)は、アーカイヴを復刻してサイズ感やダメージディテールをアップデートしました。日常づかいで付いたようなリアルなペイント加工を入れているのも、別注ならではのポイントです。人気アイテムのダメージワッフルクルーロングスリーブTシャツも、同様のペイントを飛ばした別注をつくりました。
黒澤:重冨さんが着ているインナーは、色違いですか? ブルゾンの裾からダメージTシャツがのぞいているのが、お会いしたときからカッコいいなと思って見ていました。
尾崎:古着っぽいと大人が選びやすくなるので、この別注は着眼点がいいと思います。
重冨さんが着ていたホワイトは、今シーズンのインラインアイテム。裾にデザインが施されたトップスはコーディネートに変化がつけやすく、1枚持っていると重宝する。
ヨークのレザージャケット
尾崎さんが気になったのは、今季大ブレイク中のレザージャケット。試着するとまるでこの日、着てきたかのようになじんだ。
尾崎:シンプルでいいなと思って見たら、意外にもヨークでした。どこか70年代のムードが漂っていて、ラフなディテールもほどよく効いています。サイズもちょうどいいし、価格もこなれています。
「ファッション プライズ オブ トウキョウ 2026」のグランプリに輝いたことも話題のヨーク。シボ感のあるカウレザーを使用したカージャケットは、縫製部分をカットオフ仕様で仕上げたこだわりのデザイン。フロントボタン留めのクラシックなスタイルが、今また新鮮だ。
ヴジャデの別注ワークジャケット
黒澤さんはヴィンテージの名品を彷彿とさせる、ヴジャデのデニムジャケットに目を留めた。
黒澤:あせたような黒に惹かれました。普段から古着をよく着るので、こういう色みに弱いんです。自分のワードローブにも合わせやすそうです。
ヴジャデ(Vuja Dé)は2018年に東京でスタートした、ベーシックな衣服を日本製で展開する気鋭のブランド。こちらは襟の素材をシボ革に替えたバーニーズ ニューヨークの別注で、異素材使いが映えるハイブリッドな仕上がり。レトロワークな一着が、こなれ感をさり気なく演出してくれる。
SECTION4_1F メンズジュエリー
目利きが選んだヴィンテージジュエリーがズラリ
地下のメンズアパレルを堪能した後は、リニューアルで新たに加わった1階のメンズジュエリーセクションへ。
重冨:今までメンズジュエリーでヴィンテージジュエリーの常設での扱いはなかったんですが、今回新たにラインナップしました。ヨーロッパ在住の日本人オーナーが主宰する、ラ グラス ヴィンテージ(LA GRÂCE VINTAGE)を展開しています。
尾崎:目利きが選んだものが最初から並んでいるというのは、とても心強いですよね。値段も思っていたよりもずっと身近な設定で、何かを我慢すれば買えます(笑)。
尾崎さんはケースをのぞくなり「ブラッドストーンのリングを」と、さっそくお気に入りを見つけた。
重冨:これは1897年のUKのゴールドの指輪です。
尾崎:イギリスの金を使ったジュエリーは、ホールマークが刻印されているから年代がきちんとわかるんですよね。僕はこの、獣の毛のような装飾が施された指輪に目がないんです。
黒澤さんは鱗を重ねたようなパーツのシルバーとゴールドのブレスレットを選んだ。
黒澤:普段はシルバーよりゴールドよりのアクセサリーを選ぶことが多いんですが、これはいろんな色が入っていてカジュアルにも合わせやすそうだと思いました。ヴィンテージだとピカピカしすぎていなくて、着けやすいですね。
重冨:黒澤さんが選んだような、現行のジュエリーではなかなか見かけないデザインに出会えるのが、ヴィンテージのいちばんの魅力だと思います。
ヴィンテージブレスレット
尾崎さんが気になったのは、60年代のフランスのシルバーIDブレスレット(右)。プレート部分に名前を彫って、戦時中に兵士がIDにしたのが由来だが、これはプレート部分に留め具が付いたユニークなデザインが目を引いた。
ヴィンテージリング
黒澤さんはもう1点、シンプルな80年代のフランスのシルバーオーバルリング(左)をピックアップ。ジュエリーはヨーロッパのものが好みとのことで、「小指に着けるのもいいですね」と試していた。時を超えたジュエリーのストーリーにも、思いを馳せるひと時となった。
SECTION5_1F ギフト
別注クッキーやイニシャルアイテムが話題
リニューアルで1階の正面玄関のすぐそばに登場したのが、このギフトコーナー。
重冨:1階はレイアウトが大きく変わり、エントランスをポップアップスペースにして、そのすぐ隣にギフトコーナーとカフェを新設しました。ここにくれば、どんなシーンにもぴったりのギフトが見つけられるように、ファッションからホームアクセサリー、食品まで、ジャンルも幅広くそろえています。
バーニーズ ニューヨークのおすすめと、尾崎さん、黒澤さんが選んだベスト・ギフトはこちら。
ラ・メゾン・ド・ビィの別注クッキー缶
重冨:リニューアルオープンを記念して、銀座の「ラ・メゾン・ド・ビィ(LA MAISON DE B)」にバーニーズ ニューヨーク限定のクッキー缶をつくっていただきました。バーニーズ ニューヨークのコーポレートカラーである黒を、缶の外装だけでなくクッキーにも採用しています。
白砂糖を使わず、厳選された有機素材をベースに、麻炭で黒を表現。さらに白味噌やパルメザンチーズなど発酵食品を取り入れたギルトフリースイーツは、甘さひかえめで、大人の男性にも喜ばれる一品。
オリジナルのイニシャル入りハンカチ
尾崎:紳士の必需品であるハンカチは、イニシャル入りがいいなと思って海外に行くたびに探しています。ヴィンテージでたまに見つけても、僕の名前、雄飛(Yuhi)のYは欧米の名前には少ないので、なかなか出会えませんでした。このコーナーでは、この通り「Y」もバリエーションがあって、ギフトにも最高ですね。
今後定番として展開していくインシャル刺繍入りのハンカチは、男女を問わず使いやすいデザイン。イニシャルアイテムとしてはほかにマグマップもそろえる。
セラミチのハンドメイドカップ
黒澤:以前僕が買ったこともあるセラミチのカップが並んでいて、思わずうれしくなりました。見る角度によって色が変わるマーブル調のシリーズで、ハンドメイドだから同じものがふたつとありません。オブジェのような存在感があり、さまざまな用途に使える点もギフトに向いていると思います。
日本人アーティスト、ミチコ セキによるアートなセラミチ。一点もののカップのほか、ユニークなフォルムのプレートもラインナップする。
SECTION6_1F カフェ
ラグジュアリーなコーヒータイムを堪能
最後は、新設されたカフェ「バーニーズ カフェ バイ クラウドロースター」で、コーヒーブレイク。ここではコーヒープラットフォーム「クラウデッド ロースター(CROWD ROASTER)」のバリスタがハンドドリップで提供するこだわりのコーヒーと、オリジナルのサンドイッチやスイーツが楽しめる。
ハートマン ミ フィンキータ ゲイシャ コールド ファーメンテーションのコーヒー
世界で最も高価なコーヒーとして知られるゲイシャコーヒーの限定コレクションを、ボトルキープできるのもこのカフェならでは。香りを楽しみながら、ワイングラスでコーヒーを味わうのが「バーニーズ カフェ バイ クラウドロースター」のスタイルだ。
宮崎県の牧草牛の熟成ビーフを使用したサンドイッチと、麻炭でマーブル模様を表現したチーズケーキ。どちらもヘルシーで上品、それでいてしっかりとした満足感がある。
尾崎:思わず乾杯したくなるグラスだね。きょうは、どうでしたか?
黒澤:楽しかったです。敷居が高いイメージがありましたが、国内ブランドが豊富にあったり、オリジナルアイテムが充実していたり。カフェもあるので、今度は友だちを誘って来たいと思いました。
尾崎:リニューアルしてから来たのは初めてでしたが、それぞれのコーナーが一層パワーアップしていると感じました。ヴィンテージのジュエリーがこれだけ集められているのもよかったし、単純に、モノを選ぶ楽しさが倍増しましたね。クオリティが担保されているから、心置きなく“好き”を選べる。幸せな場所です。
カジュアルも、ドレスも、モードも、ギフトも。バーニーズ ニューヨーク銀座本店で心躍るショッピング体験を、ぜひ楽しんでほしい。
SHOP DATA
バーニーズ ニューヨーク銀座本店
東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル
TEL:050-3615-0333
営業時間:[日曜日~木曜日] 11:00~20:00 ※祝日前日の日曜日のみ20:30まで営業。
【金曜日・土曜日】11:00~20:30
※2025年10月27日(月)から2025年12月27日(土)まで上記営業時間で営業。