名誉と仲間のために戦う。そんなゴルフの世界イベントが「ライダーカップ」だ。夏の暑さが残る9月のニューヨーク。ラグジュアリーメゾン、ロロ・ピアーナの手がけるユニフォームに身を包むヨーロッパ代表の選手たち。勝利の行方は? 「ライダーカップ 2025」を現地で観戦したUOMOエディターがリポートする。
ライダーカップって何?
ライダーカップは隔年開催のゴルフ欧州ツアーvs.米国ツアー代表による対抗戦。野球のオールスター戦、サッカーのワールドカップのように選手たちのプライド、国の威信が懸かる特別な大会だ。日程は3日間。2日目までは2対2のチーム戦によるフォアサムとフォアボールで競い、最終日は個人戦マッチプレーとなる。2025年はニューヨーク州ロングアイランドにあるベスページブラック・コースが舞台となった。ちなみに綴りは「RIDER」ではなく「RYDER」。英国と米国の対抗戦を提唱し、1927年にそのトロフィーを寄贈したイギリスの富豪サミュエル・ライダーの名を冠している。2023年はヨーロッパチームが勝利(写真上)。さて今回のライダーカップの行方は、どちらの大陸に?
ライダーカップは 「普通」じゃなかった!
そう、普通ではなかったのである。国内のPGA大会なども観戦したことがあったが、ライダーカップ現地観戦はもちろん人生初。欧州とアメリカの対抗戦で、選手たちは賞金ではなく名誉のためにプレーするなど事前に知っていたものの、なぜライダーカップが特別視されるのか、生で観てわかった。
戦いの舞台はニューヨーク州ロングアイランドのベスページブラック・コース。入り口に「ハイスキルゴルファー以外お断り」の看板あり。フェアウェイバンカーがやたらと多い。コースも長くピン位置も意地悪。普通じゃない。とはいえコース内に設置された快適なロロ・ピアーナ専用ラウンジをベースにしつつ観戦スタート。
初日午前のフォアサムの結果はヨーロッパ優勢。ここで午後のスタート前にトランプ大統領が1番ホール・ティーグラウンドに登場! 国歌斉唱の後に選手を鼓舞するというマンガのような展開。まさに国を挙げての戦いである。まったくもって普通じゃない。
選手たちの高度なプレーを間近で目にして思わず声が上がる。だが感嘆だけではない。国同士の戦いに選手だけでなく観客も興奮し、応援や歓声、そして時にゴルフでは珍しいブーイングまで巻き起こる。アウェイとなるヨーロッパ側へのプレッシャーは想像以上に激しい。やはり実感した。ライダーカップは普通じゃないのだと。
ゴルフを愛するロロ・ピアーナ
スポーツと深い関係をもつブランドは数多いが、中でもロロ・ピアーナは際立っている。冬のスキーから夏のセーリング、さらにクラシックカーなど幅広くサポートするが、ゴルフへの愛情も並々ならぬもの。メゾンが誇る最高品質の天然繊維と職人技、さらにストームシステム®などに代表されるテクノロジーは、芝の上でも最大限に発揮されているのだ。ロロ・ピアーナは2016年からライダーカップ ヨーロッパチームのオフィシャル・サプライヤーに。この晴れ舞台はまさに「オープンエアの実験室」でもある。気象条件の変化、選手たちのパフォーマンスによって最先端のファブリックがテストされ、メゾンの次のクリエイションへとフィードバックされるのだ。
公式ユニフォームは、ポロシャツ以外にもウィッシュ®ウールを使用した長袖ジップアップやVネックベストも。クンメルカラーのニットを着るのは、2大会連続で欧州チームのキャプテンを務めたルーク・ドナルド。
ユニフォームは日替わりで
欧州チームのためにロロ・ピアーナが用意したユニフォームは、日替わりカラーで3パターン。初日となる金曜日はスカイブルー。その爽やかなトーンから一転し、土曜日は温かみのあるシックな茶、メゾンを象徴する色であるクンメルに。最終日は白ベースで欧州旗のブルーと星のイエローをアクセントのラインに配した。気温の高かった今年のニューヨークで選手の着用率が高かったのは半袖のイーグルポロシャツ。通気性、速乾性のある独自のストレッチ素材、繊維には銀を配合して消臭効果も高めている。
色により毎日イメージを変えつつ、機能性でも欧州チームのゲームをサポートしたわけだ。いっぽうアメリカチームは、3日間を通じて紺×赤×白の星条旗をベースとしたユニフォームにこだわりをもっていたのが対照的。
ロロ・ピアーナがユニフォームに込めたもの。
2日にわたるチーム戦は終始ヨーロッパがリードした。試合を眺めていて、ふと気づく。グリーン上に二人組で並ぶ選手たちの絵面が妙に美しいのだ。通常、プロゴルファーは個々に着たいものを着る。色もスタイルもさまざま、スポンサーロゴが大きく描かれていたりして。同じ格好の選手と一緒に回ることはほぼなく、服もバラバラが当然。だが団体戦であるライダーカップのウェアにはそんな視覚的ノイズがない。
ロロ・ピアーナのユニフォームは、異なる色とデザインの3タイプ。どれも芝の上に映える色、高い機能性、そしてラグジュアリーメゾンとしての気品を備える。激しいプレーの最中、身にまとうことで心も安らぐ。ファッションも選手のサポーターなのだ。
大量リードを保ち勝利目前の最終日、選手たちはホワイトのユニフォームで戦いに赴く。この日はヨーロッパとアメリカ選手各人が1対1でラウンドするマッチプレーだ。猛烈な追い上げを見せるアメリカ。あわや逆転されるかと冷や冷やしたものの、欧州チームは粘り強く守り抜き、最後にはアウェイの地でトロフィーを高々と掲げた。
お揃いのウェアを着たチームメイト同士、抱き合って互いの健闘を称え涙する。ユニフォームは仲間たちとの絆のためにもあった。こんな感動的なシーン、ライダーカップでしか見られないかも。やはり普通じゃない。
ロロ・ピアーナ ジャパン
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