50歳近くの服好き、スタイル好きの野郎であれば、昔ティファニー×ロレックスのダブルネームにみなめちゃくちゃ憧れたし、ダブルネームという言葉自体をそこで知った。ですが、当時は時計自体にそこまで興味があるわけでもなく…。そもそも高価なもの、ロレックスを買えるお金はない(今はもっと高価になっていますが)。どちらかというと自分的にはGショックのアナログタイプとか、通称「スティングモデル」と言われる逆輸入盤、はたまたタッチスクリーンのデータバンクといった、ストリートでカジュアルな日本的な感覚でいうウォッチ的なモノに反応するぐらいであった。そんな’90年代の学生時代を経て、今から数年前にまさか自分がロレックスを真剣に購入しようと思うときが来るとは。そのきっかけは、ある友人の言葉。「入社記念に親父からロレックスを譲り受けたんだよね」。ヤバい、かなりヤバい。うらやましい気持ち以上に、自分もそんなことをサラッとできる親父になりたい。しゃれてる…実にしゃれてる。

そこからは、いつもの流れ。古本屋でロレックス特集などの雑誌を買いあさり、適当に頭に知識をぶち込んでから、新橋周辺からスタートして、中野、上野への市場調査。ロレックス購入は、大きく分けて二つの選択肢がある。現行かヴィンテージ(中古)か…。サラッと現行を買うのも非常にスマートですが、ファッション、ウンチク好きは、過去の仕様、プラスチック風防やトリチウムなどの現行との違いを切り取り、個体差、レアだ、なんだで、ヴィンテージモデルに手を出し気味。自分はというと、ヴィンテージやなんかよりも、リーズナブルな中古に、とにかくプライス的に手の届きやすいモノが、絶対にいいと思っていた。それは息子が二人いるから。さすがに、一気に二つはかなり厳しい。ということで、最初にエクスプローラーを買って、2年後にサブマリーナーを買った。それから2年たち、やっぱり二人ともサブマリーナーがいいのではないかと思い、兄弟ゲンカしないように、かなり無理して2本目のサブマリーナーを手に入れた。われながら頑張った。

そんな頑張った話は、今から8年前。全体的に物価高。当時は「今がいちばん、ロレックスが高い時期だから、少し待ったほうがいい」みたいなことを言っていた人も多かったけど、自分にとっては、しゃれた大人になるための、イケた親父の背中というか、親父の腕を見せてやるみたいな気持ちがあった。

携帯電話を常に持ち歩く現代社会において、もはや腕時計は昔以上に時計というよりブレスレット(アップルウォッチみたいな時計以外の機能があれば別ですが)。ロレックスを無理して購入した自分について、周りの人は「加藤っポクない」と言ったりしてきたが、ポクないことをするのも楽しい。オシャレやイケてるコトに、ギャップはつきものなのだ。まったくまとまってないが、自分とロレックスの話はこんなところになる。


写真・文/加藤忠幸(SSZディレクター)
BEAMS SSZディレクター、BROCHUREディレクター、野菜農家、服好き、仕事好き、サーフィン好き、サブカル好きではあるものの、実は何よりも愛しているのは家族だろう。いつか息子たちが大人になったら渡すつもりで買ったロレックス。そうしながらも、彼らに渡すまでは自分でも楽しむところが加藤さんの素敵なところ。