考える習慣があるからこそ発揮できる瞬発力

加賀美さんが身体を張って披露してくれた「介抱」に、一同爆笑。その場にあるものを即興でアート作品に変える。

長谷川 これ何なの?(笑)

加賀美 これ? セーフティーマンつって、家を空けるときに防犯で置く人形。こうやってやると面白いでしょ。酔っぱらってるやつみたいで(笑)。結構これで忘年会ごっことかやってね(笑)。「なあ、飲みすぎなんだよおまえ。ちょっタクシー呼んで! タクシー!!」。とかね。

長谷川 あはははは(笑)。タイトルとかあるの?

加賀美 タイトル? 酔っぱらった人を世話することをなんて言うんだっけあれ、介護? あ、介抱? じゃあ「介抱」かなあ。あと2体あって、一つ1万円くらいだったの。結構前よ、メルカリで。まあでもそんな10年も前じゃないけど。

長谷川 結構前だね。インスタに出てたよね。

加賀美 友達に言ったら「たっけぇ…普通そんなお金あったら飲みに行かないですか?」って。そこの感覚も面白くて。この前も「デカい壊れた防犯カメラ3000円だったんだよ」って言ったら「たっけぇ」って。安いでしょ? たけぇか(笑)。ハハハハハハ!!

長谷川 (笑)。結局は自分の視点で買ってるから、それを世間がどう思うかとかは関係ないんだよね。

加賀美 うんうん。そういうこと考えてないよね。みんなは違うのか。

長谷川 自分の価値というより世間の価値でモノを買っているのかもね。

加賀美 うんうん。今のは表紙に載る言葉だね(笑)。

長谷川 カガミくんは本当にファッションの人だなあって思う。やっぱどこかスタイリストっぽいんだよ。既存のものを自分のセンスでアレンジして新しい価値を生むというか。この人形にだって服を着せたんでしょ? 

加賀美 そうそう。初めはシャツとチノパンを着ていたのがダサすぎて捨てて(笑)。スウェット上下に着替えさせて。

長谷川 服に興味がない人なら、派手なダサい服とか着せると思うんだよね。

加賀美 結局やっぱファッションとアートって切り離せなくてさ。まあ僕のは毎回とんちですよ、とんち(笑)。

長谷川 カガミくんのアートって、美しいとか、アート然としてないから、結構困惑するものもあるよね。でも、そういうところもアートなんだろうなって。常日頃、考える習慣があるからこそ出せる、瞬発力があるんじゃないの。なんにもない人がいきなりできないと思うんだよね。

加賀美 なんだろうな。すごく時間をかけたからとか、手をかけたからとか、上手に描けたからとか、あまり美術ってそこが重要じゃなかったりするよね。美大はテストでデッサンきれいに描けないと受からないとかあるけど、デッサン描けなくてもものすごく面白い子がいる可能性だってあるわけでしょ。そういう感じで作りました、すぐに。チャッ!って(笑)。

加賀美健(現代美術作家)
独自の手書き文字や自身を使った即興作品が有名。若い頃はスタイリスト馬場圭介氏のアシスタントをしていたことも。自宅の隣に仕事部屋を借りていて、巨大なぬいぐるみや着ぐるみ、変わり種の怪しいオブジェなど、見つけてきたネタがアートになるのを待っている。Instagram:@kenkagamiでも日々作品を発信している。