安土桃山時代に渡ってきた古染付

「こんなオーダーとがりすぎですわ」

前田隆汎(ANTIQUE belle 店主)
古道具「ANTIQUE belle」、飲食店「にこみ鈴や」「ニューオーモン」の店主。ニューオーモンの存在を知ったとき、とんでもなくヤバい店が京都にはあるんだなと思った。みんなが気になるだろう感性をうまく突いている。それは買い付けの際の駆け引きで培われたものなのかも。京都の飲食シーンを盛り上げている人物。


「骨董の世界って終わりがないんですよ。もともと自分は10代の頃に古着が好きになって古着屋で働いていたんですけど、ヴィンテージデニムは本を読んだらいろいろ勉強できる。でも骨董は無限やし、資料も揃ってない。学生の頃から好きになって、今では焼き物を見れば土の色で産地がわかります。上の二つのお皿(写真上)は、17世紀前後の明から清時代に中国で作られていたもの。安土桃山時代の茶人たちが、それをむちゃくちゃええなと感じて、より素朴に枯れた雰囲気で作ってくれって注文したんが、この葉っぱと蝶々の器(写真下)です。古染付(こそめつけ)と呼ばれる、明時代の中国が輸出用に作っていた器ですね。上の二つが薄いのに対して、この日本発注のやつは分厚いでしょ。これは詫び寂びの美意識であえて薄くせず厚くし、素朴な感じにしてくれ、と注文したという。新しい技術があるにもかかわらず、意図的にきれいに表現していないのが面白い。それこそ1600年代初めにジーパンのダメージ加工をあえてやるみたいな。400年前の日本人はヤバいですよ、発想がむちゃくちゃ先いっていますよね」。

明時代に焼かれた日本向けの輸出用染付磁器。民窯ゆえの粗雑さや自由な絵付けが詫び寂びを感じさせると安土桃山・江戸時代の茶人から人気を博した。安土桃山時代に渡ってきた古染付/私物

「これは葉っぱ型という変形やし、すごく小さいのに脚がついている。たぶん懐石料理用などに作られたであろう、贅沢品だと思います」