ほんの小さなことを大事にしろ。その積み重ねがいい結果をつくる。それは大師匠からの教え。だから僕は仕事相手に少しのことを細かく指摘することがある。たぶん、みんな、こいつ頭おかしいなって思っているだろう。でもそれが大きなミスを生むこともあるから伝えるようにしている。例えば、普段シュートがまともに入らないバスケットボール選手が試合でそれ以上の成果を出せるだろうか? 1回や2回はできたとしても長い時間で見たときには無理だろう。日々の積み重ねが大事だ。人によってはいい結果をつくるために誰よりも長く練習する必要がある。そのためには毎日早起きしなければいけないこともあるだろう。あるいは食事が大事だろう。何も気にかけず、いい結果はつくれない。だからそのうち、言葉を交わさずとも気づくのだ。ホンモノとニセモノの違いに。
これは、NYに住む友人、デヴォン・ターンブルがブルックリン・ウイリアムズバーグのネイビーヤードにある彼のファクトリーで作っているOJASのスピーカー。いつもよく見かける鉄のような質感の彼のスピーカーは、実はペイントしていて、元はこのようにウッドでできている。そして、その中には100%ウールの綿を仕込んでいるという。やっぱり天然素材がいい効果を生むの?と聞くと、「うん、僕はそう思うんだ」とデヴォン。彼がそう言うのなら、間違いない。彼のひと手間がそこにはある。大事なのはこだわりだ。
文/長谷川昭雄
OJASのスピーカー。作っている人がどんな人物かが大事。ブランドとは作り手そのもののこと。