中学生のころ、古着屋で最初のラコステを手に入れた。当時の文脈はヒップホップだ。オーバーサイズのポロシャツに憧れた中学生は、「上品なものをどう自分流に崩すか」を問い続けた。気づけば、それが彼のスタイルになっていた。俳優として、アーティストとして、デザイナーとして——いくつもの顔を持ちながら、その哲学はぶれていない。春の原宿エリアを舞台に、上杉柊平がラコステの定番ポロシャツ「L.12.12」を着て歩いた。この街が彼に与えたものは、ファッションだけじゃなかった。
原宿エリアとの付き合い方は、年齢ごとに形を変えてきたと上杉さんは言う。
きっかけはヒップホップだった。サブスクもYouTubeもない時代、ミックスCDを買い、かっこいいファッションの先輩たちが行き交うのを追いかけた。音楽とファッションの街であり、当時はストリートの匂いが濃かった。
「近くの大学に通っていたこともあって、代々木公園には何をするでもなく行ってましたね。渋谷、原宿をウロウロしてて、お金ないからカフェにも入れなくて。芝生とか噴水のあたりに友達とよく集まってずっと喋ってました」
とはいえ代々木公園は、ただの暇つぶしの場所ではない。音楽とは違うベクトルのカルチャーと出会い、古着のセンスを磨き、スタイルの輪郭を繋いできた場所だ。
「最近は頻繁に来ることはなくなったけど、今も昔もいろんなカルチャーがミックスされて、共存してるイメージです。自分もいろんなことを、ここで自然に吸収していった場所なんで。ルーツはここにあるかなって気はします」
ラコステの「L.12.12」は、当時も今も、この街によく似合う。
1933年の誕生以来、形を変えず進化してきたこの定番ポロシャツは、重ねるものを変えるだけで、まったく異なる表情を見せる。防風撥水のハリントンジャケットのインに、「L.12.12」を素直に合わせる。シルエットにゆとりを持たせたジャケットの下で、ポロシャツの襟が静かに主張。裾はタックインして今っぽいシルエットに。それだけのことが、着こなしに鮮度をもたらしてくれる。
ポロシャツ¥17,600・ジャケット ¥36,300・Tシャツ ¥9,900[5月発売予定]・デニムパンツ ¥22,000・スニーカー¥15,950/すべてラコステ(ラコステお客様センター) その他/スタイリスト私物
神宮前交差点、東急プラザ表参道の中のレコードショップ「Jazzy Sport Omotesando」。棚からレコードを1枚ずつ楽しげに抜き取る指先に、音楽と上杉さんとの親密な時間が滲む。
中学生のころは、ヒップホップアーティストがオーバーサイズで着こなすポロシャツに憧れた。古着屋で手に入れたベージュと薄いピンクのラコステのポロシャツが、スタイルの原点だ。
「当時から上品なものが好きでした。その中で上品なものをどう自分流に崩すか、みたいな着こなしの考え方がありました。今もそれは変わってないかもしれない」
上杉さんは音楽がファッションを動かしてきた歴史を肌で知っている。
「ヒップホップが好きでラッパーを追っかけてる人は、同じ服を着たくなるんですよ。カニエ・ウェストの服が売れるのも、トラヴィス・スコットが手掛けた服が売れるのも、そういうことで。ファッションと一番近いジャンルだから、すごく影響を受けてきましたね」
ヒップホップがファッションを動かしてきた。その歴史の延長線上に、今の上杉さんがいる。
左胸に「L」イニシャル入りのバッジが入った、ネイビーのレトロなジャケットと、ダブルフェイスのスウェットパンツは、ラコステのアーカイブを今の文法で引き直したセットアップ。差し色に「L.12.12」の爽やかなライムグリーンを重ねれば、どちらも主張しすぎず、互いを立ててくれる。カジュアルになりすぎない。大人のスウェットスタイルのひとつの答えだ。
ジャケット¥31,900・ポロシャツ¥17,600・Tシャツ¥9,900・スウェットパンツ¥24,200/すべてラコステ(ラコステお客様センター)
コーヒー好きの上杉さんが立ち寄った、裏原宿の「STREAMER COFFEE」。カップを手に取る、その合間に「余裕」という話になった。かっこいい大人の条件として、繰り返し語られる言葉だが、その実態は曖昧なままだ。
上杉さんにとっての「余裕」は、どこにあるのか。
「余裕があるふうに見せようとはしていますけど、正直、余裕がなくて切羽詰まっていることの方が多いです。全然納得いってないことの方が多いし。それを見せないようにしているだけかもしれない」
言葉は淡々としているが、どこか現実的だ。整っているように見える人ほど、内側では試行錯誤を繰り返しているのかもしれない。
「誰かに相談しても解決してくれないし、見せない方がかっこいいと思っています」
余裕は、持っているものではなく、引き受け方の問題。その見せ方ひとつで、佇まいは変わる。
ラコステの「L.12.12」も同じだ。過剰に飾らずとも、ただそこにあるだけで成立する。整えすぎない余白が、結果として品を生み出す。
トラッカージャケットとデニムパンツを同素材で揃えた、濃いインディゴのワントーン。その中心に置かれた「L.12.12」は、今季の新色ブラウン。スタイリング全体を落ち着かせてくれる万能色だ。デニム素材のセットアップは、ともすると重々しく見える。そこにこのブラウンを入れることで、スタイルに深みが出る。抜けではなく、余白をつくってくれる一枚。コーヒーを待つ時間。都会の日常に静かに馴染む。削ぎ落とした配色とバランスで成立する、力みのない大人のデニムスタイルだ。
ジャケット¥39,600・ポロシャツ¥17,600・パンツ¥18,700・サングラス¥28,600/すべてラコステ(ラコステお客様センター)
最後に訪れたのは、原宿の喧騒から少し離れた場所にあるラコステ原宿店。壁には様々なポロシャツやアーカイブがアートのようにディスプレイされており、定番の「L.12.12」のラインナップをはじめ、最新のコレクション、さらには原宿店限定のアイテムまでが揃う。定期的に音楽やアートのイベントを開催。単にショップというだけでなく、ブランドの伝統と現代の原宿カルチャーが融合した、クリエイティブな発信拠点となっている。
膨大なアーカイブと最新コレクションを背に、上杉さんはこう締めくくった。
「最近は高くても長く着れるものを選ぼうと思っています。30年、40年先も着られるようなもの。昔からタイムレスなものが好きで。昔はそこに手を出す余裕がなかったけど、今は少し無理すれば本物が買えるかもしれない、みたいな年齢になってきたのかなって」
本物志向。シンプルで素材がよく、ストーリーのあるもの——上杉さんのリストに、ラコステの「L.12.12」はずいぶん前から入っている。
鹿の子のポロシャツは「おじさん見え」と隣り合わせの難題だが、あえて振り切ってみるのはどうだろう。目を引く鮮やかなレッドの「L.12.12」を主役に、グリーンを掛け合わせる。その潔さが、むしろ大人の余裕。テニスコートモチーフのジャカードニットセーターを肩がけして、インナーに「L.12.12」をベースにしたガゼット付きの鹿の子Tシャツを忍ばせる。ポロと同じ文脈の素材感が、レイヤードに一貫性をつくる。ボトムはカラーデニムパンツで馴染ませ、主張のあるトップスを受け止めつつ、全体をフラットに整える役割だ。
ポロシャツ¥17,600・鹿の子地Tシャツ ¥14,300[5月発売予定]・セーター ¥27,500・カラーデニムパンツ ¥22,000・スニーカー¥20,900/すべてラコステ(ラコステお客様センター)
ラコステ原宿店で、上杉柊平トークショーを開催
2026年5月15日(金)、ラコステ 原宿店2Fにて、上杉柊平さんを迎えたスペシャルトークショーの開催が決定。この記事で語ってくれたラコステとの関係、ファッションや音楽への偏愛——その続きを、ぜひ生で。
POLO FACTORY EVENT|上杉柊平トークショー
2026年5月15日(金)
16:30 開場
17:00-17:30 トークショー
17:30-18:30 歓談&ショッピングタイム
会場:ラコステ 原宿店 2F
住所:東京都渋谷区神宮前4丁目32-5
フィンガーフード&ドリンク(アルコールあり)をご用意。
定員:50名
▼ 参加ご応募は「TEAM LACOSTE APP」QRコードをスキャンして会員登録、またはログインしていただくと、イベントのご案内が届きますので、そちらよりお申込みください。

上杉柊平
1993年生まれ、東京都出身。俳優。14歳で単身オーストラリアへ留学後、帰国してモデル活動を経て俳優デビュー。東京・世田谷発のヒップホップクルー「KANDYTOWN」のMC "Holly Q" としても活動し、2023年3月に日本武道館でのラストライブをもってクルーの活動に幕を下ろした。自身のファッションブランド「FEELS.」を主宰するほか、DIY・車・インテリアをテーマにしたYouTubeチャンネル「上杉柊平の3rdPlace」を運営。