壷田和宏・亜矢の炭化焼きしめの器

「どうなるかわからない。偶然の美しさに惹かれます」

椹木知佳子(Kit 店主)
有瀬くんに紹介されて知った京都の雑貨店「Kit」。ここは仕入れた物を売っているというよりは、椹木さんの感覚と哲学を紹介し、販売しているのだ。そんな店を開発した椹木さんは面白い。こうした粘土のような質感の器をオーダーするセンスに、椹木さんらしさを感じる。


こちらは宮崎県の高千穂を拠点に活動している陶芸作家、壷田和宏・亜矢夫妻の作品。雑貨店「Kit」オーナーの椹木さんによると、この器には「炭化焼きしめ」と呼ばれる技法が使われているという。

「私は作家さんに何か新しい作品をお願いするとき、実際に見てみないとわからないタイプなんです。例えばアトリエなどにお邪魔すると、失敗作とかが転がっていたりするんですが、それを見て面白いかもと思って話が膨らむので、最初からこういうのを作ってください、というオファーはしません。この作品についても高千穂の工房まで直接行き、お話をする中でB品の器を鋳型にして作る方法を聞いたんです。粘土を精製するときに、偶然B品の鉢に膜が張ったそうで、そのフォルムを焼き物にしようというところからできた器。焼き方はかなり難易度の高い、炭化焼きしめという技法で作られています。通常の3倍近い量の薪をくべて、窯の中を圧力鍋のような状態にして、酸素を完全に奪い取るんです。そうすると石みたいに引き締まった焼き物ができる。さらに面白いのは使っている原土。もともとは真っ白い粉みたいな土なんですが、焼き上がるとこういうグレーのグラデーションになったり、温度によってはピンクになったりもする。そうやって、偶然できたフォルムや、炭化焼きしめゆえに表現できる土の変化がものすごく好きで。そこに美があるんですよね」。

壷田和宏・亜矢の炭化焼きしめの器¥33,000/Kit