大滝郁美のロゼット織りのハンカチ

東京で織物を勉強した後、3年間スウェーデンのダーラナ地方の手工芸学校に留学して、伝統的な織物技法を学んだ大滝郁美さん。スウェーデン手工芸協会認定の手織り職人の資格(gesällbrev)も持っており、北欧の風土や手工芸から得たインスピレーションをもとに、糸から染めてテキスタイルを制作している。こちらはスウェーデン製のコットン糸を使って織ったハンカチ。たて糸とよこ糸の一部を浮かせる、ロゼット織りという技法で織られていて、表と裏で模様の出方が違っている。これまで作ってきたハンカチはすべて配色を変えており、今回撮影したハンカチは、以前長谷川が京都の雑貨店「Kit」で購入したもの。使い込むうちに風合いがでてくるのも魅力だ。

ロゼット織りのハンカチ¥5,280/itori


文/大滝郁美(染織作家)

小さな1枚の布の中にどう遊びを入れていくか――それはハンカチを織る時のテーマのひとつだ。ストールやマフラーなどの大きなテキスタイルとは違って、ハンカチは年中ポケットに入れて持ち運べる。とりわけ手織りのハンカチは、織物の面白さをぎゅっと詰め込んだものにしたい。例えば少し凝った技法であったり、素材や色使いであったり、あえて模様をずらしてみたり。均一であることを求めず、手で織る意味を探りながら小さな実験を繰り返すように制作している。その中でも色を使う楽しみは私にとってとても大きい。たて糸とよこ糸の色が織り重なり、新たに現れる色に感嘆する。糸を染色することも楽しいが、糸の重なりから生まれる色はいつも予想を超えて驚きを与えてくれる。  

織りたい何かが浮かぶ時、そこには色のイメージが先にある。できる限り自然に還る素材を選び、そのイメージに近い色を染める。染める時には、草木染めも化学染料も分け隔てなく使う。化学染料のパキッとした色も、植物で染めたゆらぎのある色もどちらも魅力的だからだ。時には草木染めした上に、化学染料を染 め重ねることもある。そうすると色に奥行きが出るだけではなく、二度と同じ色に染まらないのが面白い。

ロゼット織りのハンカチにはスウェーデン製の糸を使っている。色のバリエーションが豊富でクオリティも高いので、自分で染めることはせず、たてとよこの色合わせを楽しみながら織っている。これまで100枚以上織ってきたけれど、全て配色を変えているので、手にとってくれる方が自身の感覚で好きな色合いを選んでくれたら嬉しい。ハンカチ本体も、仕上げに端を縫った時の手縫い糸もコットン100%なので、もしどこかに落としてしまってもやがて土に還ってくれる。そんな安心感を持ちながらも、長く使ってもらえたらもっと嬉しい。