食べやすい工夫を凝らした、進化し続ける焼き鳥

長谷川 基本的にはコースなんですっけ?

西畑 ショートコースはありますが、アラカルトでも大丈夫です。食堂ルインズって「食堂」を謳ってるんで、定食感覚で頼んでもらいたいなって。

長谷川 でも、大変ですよね? 焼き鳥も一日に何回も何回も焼いたり?

西畑 そうですね。フライドポテトだけの人もいますし。

長谷川 どういう気分なんですか、そういうのって?

西畑 もともとレストランで働いてきたので、決められたコースとか、決められた時間とか、そういう人たちしか来られない場所に飽きてしまって。レストランのクオリティだけどカジュアルに来てほしいなって。

長谷川 ああ。僕もそういう店は行かないですね。

西畑 焼き鳥というメニューは、フランス料理でいったら、「プーレ・ロティ」みたいなもんなんですけど。それをフランス語で書いてもちょっとわかりにくいんで「焼き鳥」にしています。それやったら、フランス料理を知らない人でも幅広く食べてもらえるなという気持ちはありますね。

長谷川 焼き鳥、今日もすごくおいしいです。

西畑 ありがとうございます! このソースの取り方は、まさにフランス料理ですね。焼き鳥屋では食べることができないと思います。うちは特別に高い鶏肉とかを使ってなくて、本当に味つけは塩胡椒のみで。ちょっと多めの油で揚げ焼きみたいにしている。最後に強火で皮をパリパリに焼くっていう。

長谷川 へえ。このパリパリとスパイスがいいんですよね。

西畑 そうなんです。だから、出来たてを食べてほしいんですよね。一秒でも早く。スタッフにはいつもお客さんの状況を共有してもらうようにしていて。手が空いたら、自分でもお客さんのほうを見るようにしてます。

長谷川 そうなんですね。お寿司屋さんも早く食べてほしいっていいますよね。

西畑 ええ。自分は不器用なほうなので回数。何でも回数やと思います。お客さんを見る回数を重ねて、次はどうしよか考えたり。この焼き鳥も最初はこういう形じゃなくて、丸ごと串に刺していたんです。それじゃ、やっぱ食べにくいし、いろんな人が食べやすいようにするならカットしてお出しするのがいいなと。

長谷川 お客さんが食べづらそうなのが見えて?

西畑 そうですね。最初は丸ごとがおいしいと思ってたけど、食べにくかったら、いくらおいしくても意味ないしって。だから、小さいお子さんが来たらもっと細かめにひと口で食えるようにカットとか。お客さんによって切り分けも変えるようにしてますかね。あんまりわかってもらいにくいところではありますけど。

食堂として、どうやったらフランス料理を楽しんでもらえるかを考えている西畑さん。とにかく一品一品が丁寧。

西畑仁(食堂ルインズ 店主)
フレンチレストランで経験を積んだ西畑さんがシェフを務める、京都のビストロ「食堂ルインズ」。食べやすい工夫が凝らされた「焼き鳥」(¥700)は長谷川のまわりの友人たちが大絶賛するほど人気のメニュー。ソースは鶏や鹿肉の切れ端などを焼いたものを、仔牛の骨とともに5、6時間煮ている。自家製の七味がアクセントに。これにコンソメスープがあったら完璧だ。