山本一賢さんのPRISON BLUESのデニムのセットアップ

今の時代は、スピードが速くて忙しい。そう話すとたいてい、AIを使ったほうがいいと言われる。でも手仕事がどうのこうの言ってるヤツの原稿がAIで書かれていたら皆、どう思うのだろうか? 寿司屋がロボットを雇うようなものだ。もういっそのことiPhoneもガラケーに変えたほうがいいのかな…と思っていたら、先に変えたヤツがいた。それが彼。役者の山本くん。彼が着ているのは5年くらい前に、この連載用に購入したオレゴンの刑務所で作られているPRISON BLUESのデニムのセットアップ。上野のジャラーナで購入したものだ。彼のサイズで裾上げをしたため、「味出ししてほしい」とお願いし、撮影後、彼に預けてあった。というのも、数年後に色落ちした状態を撮りたかったから。白洲次郎はツイードジャケットを3年くらい、軒下につるして雨ざらしにしてから着てたなんて話もあるが、デニムこそ味出しが必要なアイテム。山本くんが毎日のように着てくれたおかげで、いい感じに色落ちした。でも毎日のように同じデニムをはき続けるのは地味に大変だし、さすがに飽きただろう。時間を要する味出し。一方で、それを短縮し、お金で買うのが“味出し加工”ともいえる。だからこのデニムには価値がある。簡単そうで、意外とできない。彼は畑をもって地方に住むという。お金を無駄に稼がず、使わずに楽しく生きていく。都会にいてお金を稼いだところで税金でもっていかれてしまうだけ。これからは田舎暮らしがカッコいい。のんびり暮らしてデニムの味出しをさらに楽しむ。お金のかからない遊びだ。そんな余裕のある生活がいい。それにきっと、何でも調べなくてはいけない田舎でこそ、AIを使ったほうが便利なときがあるだろうから。

山本一賢のPRISON BLUESのデニムのセットアップ・その他/私物