
パタゴニアの2025年秋冬アイテムが店頭に勢ぞろいする9月。UOMO編集部:薬師神(身長165cm)とスタイリスト:瓜坂(身長175cm)が、展示会であれこれ試着したレポートをお届けしよう。前編ではスノーやアルパインなどのパフォーマンス・カテゴリーとエクイップメントを紹介する。
※試着したサンプルはすべてサイズM。
Season Topic|ヘルシー・ウォーターズが静かに地球を守っていることを知ってほしい
今シーズンもパタゴニア マーケティングの内野宗一郎さんが、UOMOチームを笑顔で迎えてくれた。まずは「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」という理念を掲げるパタゴニアが、今季フォーカスするトピックについて。

内野:「ヘルシー・ウォーターズ」とは、健全な川と水とは何なんのか? 改めて考えるきっかけをつくるキャンペーンです。水は、フィッシングを楽しむ人だけでなく、私たちすべての暮らしに関わる大切な存在です。パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードは、「日本ほど川に恵まれている国はない」と語っていますが、近年では人間の活動がもたらす無数の脅威にさらされ、かつての豊かさを失った川も少なくありません。それでも、私たちが行動を起こせば自然の健全性を取り戻すことは可能です。

キャンペーンでは、北海道 道南の朱太川水系、仙台の広瀬川、熊本の球磨川(くまがわ)と3つの地域の取り組みを紹介。行政、NPO法人、地域団体と住民が協力し合うことで「健全な川」を取り戻している具体例を、ブランドカテゴリーマーケターの奥谷陽子さんが解説してくれた。
奥谷:すべての生命は相互に関係しあう互恵関係であること、そして地球とそこに住むあらゆる生物の幸福に、ヘルシー・ウォーターズは大きく影響を与えます。これをきっかけに皆さんが、自分が住んでいる地域、あるいは地元の川はどうなっているのだろう? と、川の健全さについて考えてくれたらうれしいです。
二人とも深くうなずいた。身近なところから、「ヘルシー・ウォーターズ」について考え、できることからアクションを起こしていきたい。
さて、ここからは気になる今季の新製品のトピックを紹介していこう。
Snow|「ナノエア」や「DAS」シリーズの新製品が加わった「パウスレイヤー」キットに注目!
今回展示会場へ足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのが、スキー&スノーボードウェアのトルソーの間に置かれた「パウスレイヤー」という立て看板。「パウスレイヤー」は、パタゴニアのスノー・スポーツ向けのハイエンドなシェルウェアシリーズの名称だ。

内野:今シーズンはバックカントリーでのフリーライドに打ち込むための完成されたキットとして「パウスレイヤー」をご紹介します。
瓜坂:僕はスノボやるんで、楽しみです!
内野:それは心強い。バックカントリーは、自然のままの雪山を自らの力で登り、滑るアクティビティです。そんな過酷な状況においても高い信頼を集めるパタゴニアの製品が、今シーズンアップデートされました。まずはこのスキー&スノーボード用の「パウスレイヤー・ジャケット」。機能面と環境への配慮を両立させたGORE ePE Proシェルで再登場します。
01. メンズ・パウスレイヤー・ジャケット ¥116,600

瓜坂:スノボ用だから着丈が長めですね。軽くて着やすいし、フードのフィット感が高い気がします。
内野:そうなんですよ。GORE ePE Proで生まれ変わった「パウスレイヤー」は軽量で耐久性があるんです。フード部分にはヘルメットをかぶったときもしっかりフィットするように、隠しストレッチパネルが付きました。襟を口元まで完全に閉めた状態でもヘルメットがかぶれます。

瓜坂:パウダースカートもしっかり付いてます。
内野:パウダースカートを使用しないときは、フラットに収納できます。このジャケットは滑るとき用なので、登っているとき、通常はバッグにしまっておきます。山を登るときは寒い中でもあたたかくて、汗をかいたときに蒸れない通気性があって、しかも動きやすいジャケットを着ます。そこでスノー専用ミッドレイヤーとして新たに加わったのが「ナノエア・ウルトラライト・フリーライド・ジャケット」です。
02. メンズ・ナノエア・ウルトラライト・フリーライド・ジャケット 各¥47,300【NEW】

薬師神:僕も着ました! これ、すごく着心地がいいですね。
内野:アルパインカテゴリーのジャケットに比べると少しゆったりしたフィットになっています。このジャケットの特徴はボディ部分に化繊綿(20グラムのフルレンジ®インサレーション)が入っているのであたたかく、ダウンのように汗を吸って重くなることもなく、色の切り替わった上半身の素材は耐候性があるから雪や風も弾いてくれます。
瓜坂:これを着て登って、滑るときはさっきの「パウスレイヤー・ジャケット」を上から着ればいいということですね?
内野:はい。「ナノエア・ウルトラライト・フリーライド・ジャケット」は、プロテクションと通気性のバランスが抜群にいいので、この組み合わせをおすすめします。
薬師神:このジャケットは普通に街で着てもよさそうですね。
03. メンズ・DAS ライト・フーディ ¥49,500

内野:バックカントリーでは登りと滑りとで、モードチェンジをしなければいけないんです。このモードチェンジの際には山の稜線で風に吹かれるなど体温が奪われるので、そういうときは「DAS ライト・フーディ」をシェルの上に着たりします。
瓜坂:名品と名高い「DAS・パーカ」のライト版ですよね?
「DAS ライト・フーディ」は、超軽量なビレイ用フーディとして2020年に登場。ダウンのようでありながら耐水性を備えた化繊のプルマフィル・インサレーションを耐水性シェルと組み合わせている。
04. メンズ・DAS ライト・ショーツ ¥28,600【NEW】

内野:瓜坂さん、よくご存じで。今年はDASシリーズから、ちょっと面白い新製品が出ました。このショーツなんですが、靴を脱がずに立った状態ではけるんです。ちょっとコツがいるんですが…。
薬師神:ちょっとはいてみます。サイドのデュアルジッパーが全開するんですね。これはめちゃくちゃあったかい! キャンプにもよさそう。

内野:お上手ですね! これはかさばるスノーパンツの上からもサッとはけて、濡れてもあたたかさをキープするのでおすすめです。
女子用には「ウィメンズ・DAS ライト・スカート」が新製品でラインナップされている。こちらは1箇所のジッパーでより簡単にはけるので、レイヤードアイテムとしてチェックしておきたい。
05. メンズ・パウダー・タウン・ジャケット ¥50,500

スキー・スノーボードのエントリーモデルとして高い人気を誇る「パウダー・タウン・ジャケット」も今シーズン、アップデートされた。ゲレンデにも街にもなじむ防水ジャケットとして、パタゴニアが開発したH2No®を採用している。
内野:シェルの生地が75デニールから150デニールへと変わりました。触っていただくとわかるんですが肉厚になって、スキー、スノー用ウェアとしては安心感が増しました。

瓜坂:去年のよりサイズもちょっと大きめになっていますか?
内野:フィット感に変更はないんですが、生地を厚くした分少しゆったりつくっています。
Active Essentials&Alpine|「R1 エア」に新型登場! パフアウターとのセット使いが最強
続いてはパタゴニアのベースレイヤーとしておなじみの「R1 エア」コーナーへ。
内野:ジグザグ構造のフリースとしておなじみの「R1 エア」は、パタゴニアでも非常に人気の高い製品です。今季から新製品としてジャケットが加わります。
06. メンズ・R1 エア・クルー ¥16,500/07. メンズ・R1 エア・ジャケット ¥23,100【NEW】

薬師神:あれ? 今までなかった?
瓜坂:フード付きはありましたよね?
内野:今までフルオープンタイプはフード付きしかなかったんですよ。それで今シーズン、待望のフルジップジャケットが新登場します。既存のモデルもフィットをより着やすく改良しました。

薬師神:茶色着ちゃったけど、グリーンはいい色ですね。今年はグリーンが買いでは?
瓜坂:軽いし着やすいし、普段着にもよさそう。オールマイティなアイテムですね。最近は冬もそんなに寒くないから、これ1枚で秋冬のかなりの期間、しのげますね。

内野:こうして透かしていただくとわかるんですが、中空糸を使ったジグザグ部分があたたかさを提供し、透けている部分は湿気を逃がすので、汗をかいても快適に着られるんです。様々なスポーツに対応する多用途型のフリースとなっています。
クルーなど既存のモデルもフィットが改良され、着心地が向上している。
08. メンズ・ナノ・パフ・ジャケット ¥33,550

薬師神:さっきの「R1 エア・ジャケット」とこの「ナノ・パフ・ジャケット」、2つ持っていれば、東京の秋冬は過ごせますよね。
内野:機能的でシンプルなものが結局一番使用頻度も高くなるんですよね。これはもう2011年に登場して以来のベストセラーで、僕も10年以上愛用しています。今季はフィットが見直され、ライナーと袖口もアップデートされました。

瓜坂:去年のよりもシルエットがよくなった気がします。裏地もすべりがいいし、袖口のフィット感も確かに変わった。ずっと改良し続けているから、ベストセラーでいられるんでしょうね…。

天候の変化に対応し、濡れても暖かさを保つ軽量インサレーションとして誕生した「ナノ・パフ・ジャケット」。何シーズンにもわたって着用できるタフさも備え、信頼される中間着として定着した。ポケット部分にコンパクトに収納できるポケッタブル仕様も相まって、パタゴニアファンの間では「魔法のジャケット」と呼ばれている。
09. メンズ・ハイロフト・ナノ・パフ・フーディ ¥46,750【NEW】

内野:「ナノ・パフ」シリーズは新製品で「ハイロフト・ナノ・パフ・フーディ」が加わりました。
薬師神:この色、好きです。中綿モノってすごくハイテクなデザインもたくさん出ていますが、こういうクラシックなデザインが街でも着やすくていいですよね。(着てみて)これはもう全然いい。東京の冬には、これで十分です。体にフィットする感じもキモチイイ…。
内野:このジャケットはザックを背負ったとき、干渉しないように肩部分はステッチなし、ボディ部分はステッチありと切り替えになっています。
薬師神:化繊綿のよさは分かったんですが、ダウンの新作情報はなんかありませんか? 今年もダウンのシーズンコンテンツを企画しているので…。
10. グレード VII・ダウン・パーカ ¥148,500

内野:新作ではないんですが、「グレード VII・ダウン・パーカ」がアップデートされました。ダウンは着た瞬間からあたたかさを感じるので、やはり寒冷なコンディションで行うアクティビティには欠かせません。
フィットは変わらず、ファブリックが10デニールPertex® Quantum ProシェルとPertex® Quantumライナーの組み合わせに変更され、900フィルパワーの100% Responsible Down Standardをたっぷり詰めた。

瓜坂:包み込まれるようなあたたかです! 前立て部分にもたっぷりとダウンが詰まっていて…。
内野:日常生活にはオーバースペックですが、過酷な状況でビレイ、ビバークするときなんかは、ここからあたたかさが逃げるんですよね。これだけハイロフトでも収納するときはナノ・パフレベルにコンパクトになるのもダウンの魅力です。
Equipment|「ブラックホール」MLCラインの新作と今までなかったサコッシュが目玉
前編最後は、新製品が目白押しの「エクイップメント」。シンプルなデザインとタフな設計で愛されるパタゴニアのトラベルギア、「ブラックホール」シリーズのMLCラインに、2つの新製品が加わった。
11. ブラックホール・マイクロ・MLC 22L ¥22,000【NEW】

内野:まずはこちら。MLCは Maximum Legal Carry-on(最大許容機内持ち込みサイズ) の略で、今までは「ブラックホール・ミニ・MLC 30L」というのが一番小さかったんですが、さらに小さい、座席の下に収納できてしまうようなマイクロサイズが出ました。
薬師神:その色はSmolder Blueですね? 好きな色です。
バックパック、ショルダーバッグ/クロスボディバッグ、ブリーフケースと3通りの持ち方が可能で、必要なストラップがすべて収納されているスマートなデザイン。

内野: これは収納もすばらしくて、パッド入りのラップトップ用ポケットやアクセサリーを収納する専用スペースがあって、メインコンパートメントには着替えなどを入れるのに十分なスペースがあります。今までのミニでも、旅の日数によってはまだ大きかったので、このマイクロは本当にいいです。ぜひ背負ってみてください。

薬師神:サイズ感も色もすごくいいです! ストラップも背負いやすくて最高です。
12. ブラックホール・MLC ウィーリー 34L ¥51,700

内野:「ブラックホール」のウィール付きダッフルにも、機内持ち込みサイズの34Lが出ました。
薬師神:マジですか?

内野:はい。階段などでは背負って、平坦な道路ではハンドルを出して引いて持ち歩くことができて、機内持ち込みできます。あとこれのいいところは、片側にボトルホルダーが付いていること。これがけっこう便利なんですよ。
薬師神:こっちが本命でした…。
内野:以前にもお伝えしている通り、フレーム内に予備のシャフト(車軸)が保管されているので、旅先で万が一壊れたときも、その場で修理できます。
真剣に買おうかどうか、ディテールを念入りに見る薬師神。しかしながら内野さんが次なる新製品「テラヴィア・サコッシュ 3L」を紹介すると、たちまち心を奪われた。
13. テラヴィア・サコッシュ 3L ¥7,260【NEW】

薬師神:これは!
内野:リクエストの多かったサコッシュが出ました。今までパタゴニアになかったんですよ。フロントにはステトレッチメッシュのポケットも付いていて、パッカブルになります。
薬師神:サイズ感もすごくいいし、シュルダーストラップの肩にかかる部分が太くなっているのも気がきいています。出たら買います!
瓜坂:僕も手ぶらで外出しない派なので、コレ、欲しいです。
14. アトム・デイパック 24L 各¥14,300

内野:もうひとつ新製品があります。この「アトム・デイパック」は、小型のパックです。最近大人でも小さいバックパックを好む方も増えましたし、小柄な方やお子さんにも持っていただけるサイズです。
取り外し可能なパッド入りラップトップスリーブは13インチまでのノートパソコンに対応。アクセリサリーの収納ポケットも備え、仕事バッグとしてもおすすめだ。
パタゴニアの根幹でもあるパフォーマンス製品は、やはり魅力的なものにあふれていた。後編では日常に寄り添うライフスタイル・アウトドアカテゴリーを紹介する。
パタゴニア日本支社 カスタマーサービス TEL:0800-8887-447