1月下旬に開催されたパタゴニアの「PRESS PREVIEW 2026年春夏」を編集部が試着レポート。後編では、パタゴニアの真骨頂ともいえるテクニカル カテゴリーにフォーカス。今回もスタイリスト:瓜坂拓海(身長175cm)が注目アイテムを徹底的に試着。展示会にギリギリで滑り込んだUOMO編集部:薬師神(身長165cm)も、ライフスタイル カテゴリーをおさらい。
★試着したサンプルはすべてMサイズ。
※本記事では、パタゴニアの製品カテゴリーを「Technical(テクニカル)」と「Lifestyle(ライフスタイル)」の二大区分で表記し、Technical内は「Alpine/Mountain/Trail Running/Climbing/Snow」としています。
Alpine/Climbing|プロテクションとリカバリーを軸にした次世代の高機能クライミングキット
会場の入り口に位置するアルパイン/クライミング。「Free Wall Kit」の立て看板とともに、最新作を着用したトルソーが並び、会場内でも目立っている。テクニカル カテゴリーは、パタゴニア日本支社マーケティングの八木康裕さんが説明を担当。
八木:クライミング/アルパインは、シーズンごとにテーマとなるキャンペーンがあります。今シーズンはマルチピッチという、大きな岩壁を2人1組で登るクライミングを想定したキット(コレクション)になっています。
瓜坂:マルチピッチ…初めて聞く言葉です。
八木:このキットは「プロテクションとリカバリーを優先することでクライマーがパファーマンスに集中できるように」というコンセプトでつくられています。パタゴニアのアンバサダーとフォージ ドリブン デザイン(Forge-Driven Design)プロジェクト(開発チーム)がタッグを組んで、フィールドでのテストを重ね、製品化しました。打ち出すアイテムの構成はジャケット、ダウン、バックパックなど…。
01.メンズ・デュラブル・ダウン・パーカ ¥79,200
瓜坂:春夏シーズンでもダウンがあるんですね。
八木:クライミングでは、登っている最中は体温が上がりますが、ビレイ(クライマーが落下しないようロープを操作し安全を確保する役割)中は静止するため、急激に体が冷えます。そのため春でもダウンを着るシーンが多いんです。今回のデュラブル・ダウン・パーカは、表地にワークウェアに使用しているウルトラPE・リップストップを取り入れ、耐久性を高めました。
瓜坂:ハイロフトでも驚くほど軽いです。ダウンは800フィルパワーぐらいですか?
八木:はい。800フィルパワーのダウンを詰めていますが、熱がこもりやすい部分は封入量を調整して動きやすさを高め、腕まわりも通常のダウンに比べて細くなっています。
瓜坂:確かに。着てみるとその違いに感動しますね。めっちゃ動きやすいです。
八木:裏地はより軽量な素材で、内側にはグローブなどが入る大きめのメッシュポケットも備えています。本体は左側のハンドウォーマーポケットに収納できるパッカブル仕様です。
長時間に及ぶ過酷なマルチピッチのルートを想定して開発されたこのダウンは、限られた休息時間でも体温を効率よく回復させ、次の行動へのコンディションを支えてくれる。
02. メンズ・フーディニ・ロック・ジャケット ¥28,600
03. フーディニ・ロック・パンツ ¥18,700
八木:登るときのウェアとしては、パタゴニアを象徴するフーディニ・ジャケットをロック・クライミング仕様にしたフーディニ・ロック・ジャケットと、同じ発想でつくられたフーディニ・ロック・パンツが新製品です。
瓜坂:フーディニということは、どちらもポケットに収納できるパッカブル?
八木:できます。パンツは風が強まったときや悪天候で待機する場面でも、靴を履いたままでスムーズに着脱できるように工夫しています。
瓜坂:裾の斜めファスナー部分は足元が広がるマチになっているんですね。
どちらも羽のように軽いリサイクル・ナイロン100%のリップストップ素材を使用し、小雨程度なら弾くDWR(耐久性撥水)加工を施している(PFASを意図的に添加せずに製造)。
04. メンズ・R1 ウルトラライト・フーディ ¥27,280
八木:もうひとつの新製品が、このR1 ウルトラライト・フーディです。
瓜坂:R1ということはフリース素材?
八木:R1というとグリッド状のフリースを思い浮かべる方も多いと思いますが、実際にはさまざまなバリエーションがあります。今私が着ている波状のものもR1製品のひとつです。R1 ウルトラライト・フーディは、表面に耐摩耗性を備え、裏面を起毛したダブルニットを使用しています。
瓜坂:裏面はふんわりとやわらくて…気持ちいいですね。
テクニカル製品はいずれも、体の動きに追従するスリムなシルエット。ハーネス着用時の快適性を考慮したディテールが随所に盛り込まれている。
Active Essentials|軽量で速乾性に優れた「ウルトラ」と紫外線をカットする「サン」が新登場
続いては酷暑シーズンの必需品であるキャプリーン・クールのコーナーへ。
キャプリーンはパタゴニアが独自に開発した、吸湿発散性、速乾性、通気性に優れた高機能ベースレイヤーシリーズ。1985年の誕生以来、改良を重ねながら進化してきた。酷暑の夏の日常着として愛用するファンも多い。
八木:キャプリーン・クールは夏用のベースレイヤーです。今季はデイリーとトレイルの2タイプに加えて、今シーズン、新たにウルトラとサンが登場しました。それぞれに機能的な特徴があります。
瓜坂:サンはサン・プロテクション機能がついたタイプだと予想できますが、ウルトラというのは?
05. メンズ・キャプリーン・クール・ウルトラ・シャツ ¥8,030
八木:ウルトラランニングのようなエンデュランススポーツにも対応するキャプリーン・クールです。ウルトラは生地をハニカム構造にすることで通気性を高め、汗を大量にかいても素早く拡散します。着ているのを忘れてしまうくらい軽くて肌ざわりもよく、幅広いアクティビティに対応するレギュラーフィットです。
瓜坂:ハニカム構造というのが画期的ですね。
八木:先シーズンまでキャプリーン・クール・ライトウェイトと、リッジ・フロー・シャツというジャカードのベースレイヤーが出ていましたが、今シーズン、キャプリーン・クール・ウルトラに集約されました。
凹凸のあるハニカム構造が空気の流れを促し、熱と湿気を効率よく発散。発汗量の多い場面でもドライな着心地を維持してくれる。ハイキュ・ミント防臭加工を施したリサイクル・ポリエステルを100%使用している。
06. メンズ・キャプリーン・クール・サン・フーディ ¥12,320
八木:こちらはサン・プロテクションがついたキャプリーン・クールです。UPF(紫外線防止)加工は一般的に、生地にコーティングを施すものが多く、それだと洗濯を繰り返すうちに効果が薄れてしまいます。パタゴニアでは日焼け止めクリームなどに配合されている酸化チタンを糸に練り込むことで、紫外線防止の効果が長く続くようにしています。
瓜坂:環境にもそのほうがいいわけですよね?
八木:はい。汗を外に逃がしつつ、しっかり日除けはするという、機能的なバランスでジャージー素材に織り上げて製品化しました。
UPF(紫外線防止指数)40+のUVプロテクションを備えながら、吸湿発散性と速乾性を両立するシングルニット構造のフーディ。フロントにはファスナーポケットを備え、実用性も高い。キャプリーン・クール・サンはグラフィック入りのバリエーションも展開する。
07. メンズ・キャプリーン・クール・デイリー・シャツ(グレート・ウェーブス) ¥7,920
参考までにキャプリーン・クール・デイリーはポリエステル100%によるシルキーな肌ざわり、キャプリーン・クール・トレイルはテンセル・リヨセルの混紡でコットンのような風合いを備えるなど、それぞれ着心地が違う。デイリーはグラフィックバージョンが豊富で選び買いがあり、日常使いにも最適だ。今季の新グラフィック、「グレート・ウェーブス」もラインナップされている。
最後に八木さんから「アクティブ エッセンシャルズ(Active Essentials)」キャンペーンについて一言。
八木:「アクティブ エッセンシャルズ」はアウトドアスポーツの土台となる製品の総称です。キャプリーンやR1などベースレイヤーのほかに、今季からバギーズもこのカテゴリーに加わりました。パタゴニアの多用途に使える製品群を象徴するカテゴリーで、日常生活からアウトドアまで幅広く対応します。いわばブランドの“オールスター”ともいえる存在に今シーズンは注力し、打ち出していきます。
ここからはスタイリスト瓜坂がテクニカル カテゴリーのサーフ、フィッシング、マウンテンバイクを独自の視点でチェックしていく。
Surf|レトロなムードを取り入れたいときはナチュラルカラーのコーデュロイショーツで
サーフィンだけでなく、カヤックやサップ(SUP/スタンドアップパドルボード)など、海にまつわる多彩なアクティビティを楽しむため人々のために、水中でも陸上でも活躍する「ウォーター・ピープル」コレクションを「サーフ」として提案している。
08. メンズ・コーデュロイ・バレー・ショーツ ¥13,200
その中から瓜坂がピックアップしたのがコーデュロイ・バレー・ショーツ。
瓜坂:こんなシンプルなコーデュロイショーツが! 個人的にも今年の夏、はきたいです。
パタゴニアの前身であるシュイナード・イクイップメントのロゴを想起させる、菱形の中にPの文字を配したアイコンを採用。クラシックな意匠がレトロな雰囲気を引き立てる。オーガニックコットン100%のコーデュロイを使用した、ナチュラルな風合いも魅力。
Fishing|UVプロテクション付きのフーディシャツはフェスや子どもとの外遊びにも便利
09. メンズ・リバー・ランブラー・ハイブリッド・サン・フーディ ¥17,600
フィシングでは、ロングセラーを誇るフード付きのストレッチシャツを試着。
瓜坂:毛鉤ケースが入るようにポケットは大容量です。ストレッチがきいているから、すっきりしたシルエットでも動きやすい。フロントはドットボタンで、軽い羽織りとしても使いやすそうです。
UPF(紫外線防止指数)40+のUVプロテクションと吸湿発散性を備え、フードはドットボタンで取り外しも可能。フィッシングはもちろん、フェスや子どもとの公園遊びなど、幅広いアウトドアシーンで重宝する一着だ。
Mountain Bike|人気のバイク用ジャケットをマルチ仕様にアレンジした新作に注目
10. メンズ・トレイル・クラフト・ジャケット ¥35,750
趣味でオフロードバイクにも乗る瓜坂。マウンテンバイク用のジャケットは「真剣に欲しい!」とディテールを細かく確認していると、ライフスタイル カテゴリーを案内してくれたパタゴニア日本支社 マーケティングの本橋大地さんが、製品の解説に加わった。
本橋:トレイル・クラフト・ジャケットは、パタゴニアで人気の高かったテックアウター、ダート・ローマー・ジャケットの後継モデルとして登場した新製品です。バイク仕様のスリムフィットですが、ニット素材だから伸縮性があって走行中も風によるバタつきを抑えます。ソフトなニットの裏打ちによって吸湿発散性も大きく向上しました。バイクに限らず、さまざまなアクティビティで使えます。
瓜坂:デザインもシンプルでいいですね。ブラウン系のDried Vanillaも好みの色です。
Men’s Lifestyle Essentials|天然素材の新作ロングパンツと同色ロゴのアウターが今の気分にマッチ
PRESS PREVIEWも終了間際のタイミングで、薬師神が滑り込みで合流。瓜坂がライフスタイルの新作情報を伝え始めると、本橋さんがライフスタイルの新作パンツを説明するため、二人の前に舞い戻った。
11. メンズ・ライトウェイト・オールウェア・ギ・パンツ[左] ¥19,800
12. メンズ・ライトウェイト・オールウェア・ギ・ショーツ 9インチ [右] ¥14,850
本橋:ライフスタイル カテゴリーのパンツで、ひとつ紹介しそびれた新製品があります。天然素材を使用したシリーズのフルレングスモデル、ライトウェイト・オールウェア・ギ・パンツです。
薬師神:ギ・パンツ? 全体的にゆとりのあるシルエットですね。
本橋:はい。ウエストや腰まわりはレギュラーフィットで、脚部にゆとりをもたせたデザインです。
薬師神:股部分にはガセットが…。
本橋:これは柔道着の仕様を取り入れています。柔道着も股にガセットがあり、「ギ」は柔道着の「着」に由来しています。ウエストはウェビングベルト仕様で、生地はオーガニックコットンとヘンプの混紡に、2%だけポリウレタンを加えたストレッチ・リップストップ素材です。天然素材の風合いと伸縮性を両立した、珍しいファブリックです。
薬師神:見た目以上に軽やかで、夏場も快適にはけそうです。
ここからは薬師神(身長165cm)が気になったアイテムを試着していく。
13. メンズ・イスマス・アンラインド・ジャケット ¥25,850
新作アウターの中でもトラッドなムードをまとうイスマス・ジャケットは、Ink Blackを試着。
薬師神:イスマスってこんなにシュッとしていましたっけ? 裏地がないタイプはすっきりしていていいですね。ドリズラースタイルで、この価格はかなりリーズナブル。
14. メンズ・ゴー・トゥ・ウエスタン・シャツ 各¥13,750
新作シャツは、ドットボタンで着やすいゴー・トゥ・ウエスタン・シャツをチョイス。オーガニックコットンとリサイクル・ポリエステルの混紡素材で、試着カラーはLowlands: Natural。
薬師神:ウエスタン・シャツはちょっと気恥ずかしいですね(笑)。ヴィンテージ感のあるスナップボタンが素敵で、柄もキライじゃないですが、街でこれを着ている自分が想像できない(笑)。
15. メンズ・ウインドスウィープ・ジャケット ¥30,250
フーディニ・ジャケットをオーガニックコットン100%で再構築したウインドスウィープ・ジャケット。ボディと同色のロゴが主張しすぎず、都会的な印象。試着カラーはAquatic Blue。
薬師神:このブルー、好きです。春夏らしい色ですが明るすぎず、落ち着いた品のよさがあります。街で着るならコットン素材のナチュラルな質感がしっくりきます。
Logo|ウィメンズのグラフィックをトートバッグで取り入れたい
ロゴで薬師神が選んだ「デザート・グロー(Dessert Glow)」は、1980年代のシュイナード・イクイップメントのアーカイブに残る砂漠の風景をモチーフに、現代的にアップデートしたグラフィック。
16. ウィメンズ・デザート・グロー・オーバーサイズ・Tシャツ ¥6,930
17. リサイクル・マーケット・トート ¥ 6,930
本橋:そちらはオーバーサイズ仕様ですが、ウィメンズのグラフィックになっています。同柄のトートバッグも展開しているので、いかがですか?
薬師神:80年代のシティ・ポップが聞こえてきそうなグラフィック! ウィメンズでもXLサイズまで展開があるからシレッと着られそうですが、トートバッグもかわいいですね。
18. バケツ・ハット ¥7,150
帽子のコーナーでは、新作の真っ白な新作バケツ・ハットを迷わず試着。オーガニックコットン100%で、カラーによってロゴや柄が異なるシリーズ。着用カラーはText Logo: Birch White。
瓜坂:さっき僕も試着したんですが、サンプルのS/Mが小さくて断念しました…。
薬師神:白字にエンジ色の刺繍ロゴだけ。ここまでシンプルなバケットハットって探すと意外にないので、これはいいです! …確かにちょっと小さめ。実際に買うならL/XLがよさそうです。
Equipment|レフュジオ・デイパックの新サイズはレトロなデザインにも惹かれる
イクイップメントのコーナーでも「僕はこの色がいいです!」と、レフュジオ・デイパック 32LのWeathered Stoneを即座に手に取った。
19. レフュジオ・デイパック 32L ¥21,450
この日着ていたヘザーグレーのスウェットとも好相性。
薬師神:ペールトーンに惹かれました。フロントの縦型ポケットや、デイジーチェーンを配したレトロなデザインが今また新鮮です。
複数のポケットと優れた収納設計を備えた新型レフュジオ・デイパックは、日常使いから週末の旅行、アウトドア・アクティビティまで、これひとつでこなせる万能なバックパックだ。
最後はパタゴニアの社会的な活動について。
あなたがこのジャケットを買うと、私たちは……
パタゴニアは「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」という理念を掲げ、フェアトレードやリサイクル素材の開発、導入などにいち早く取り組んだ企業だ。2022年には「地球が私たちの唯一の株主」であると宣言し、利益の一部を環境危機と闘うための資金として提供してきた(過去3年間で1億8000万ドル。日本円にして約250億円)。会場にはその活動を可視化したパネルが設置され、これまでの取り組みがわかりやすく紹介されていた。
この活動をまとめたレポートは「地球は甘いボスじゃない。」というタイトルで、パタゴニアのサイト内でも閲覧可能で、店頭でも小冊子が配られている。ぜひ一度目を通してみてほしい。
そして、パタゴニアが現在力を入れているのが、リジェネラティブ・オーガニック。地球環境の再生を目的とした農業のことだ。
「新しいジャケットは5年か10年に一度しか買わない人も、一日三度の食事をする。
我々が本気で地球を守りたいのなら、それを始めるのは食べ物だ」
――パタゴニア創業者イヴォン・シュイナード
会場には「人類の生存は、リジェネラティブ・オーガニックにかかっている」というイヴォン・シュイナードのメッセージとともに、日本での活動が報告されていた。
20. やまもり2025 リジェネラティブ・オーガニック認証(仁井田本家)720ml ¥3,300
21. やまもり2025 リジェネラティブ・オーガニック認証(仁井田本家)150ml ¥900
ということで、最後の試食コーナーは、日本で初めてリジェネラティブ・オーガニック認証を取得したパタゴニア プロビジョンズのオリジナル日本酒にフォーカス。
「やまもり」は全量生酛(きもと/自然由来の乳酸菌を取り込む手間と時間のかかる伝統製法)で、農薬や化学肥料不使用の米で仁井田本家が醸造した。自然酒ならではの繊細かつ複雑で奥行きのある味わいは、一度口にすれば忘れがたい。
薬師神:お酒は強くないんですがパタゴニアの日本酒は飲みやすくて、家でときどき飲んでいます。僕のお気に入りは「やまもり」かな。
瓜坂:僕は今日は車なんで、家に帰ってお土産で楽しみます!
忙しかった1日を忘れさせてくれる、心ほどけるひとときを味わった。パタゴニア プロビジョンズの製品は味はもちろん、洗練されたパッケージのデザインも魅力的で、ギフトとしても人気が高い。今回も楽しく多くの学びに満ちたPRESS PREVIEWとなった。
★パタゴニアの2026年春夏製品はEC、ストアで展開中。
パタゴニア日本支社 カスタマーサービス TEL:0800-8887-447