ジョルジオ・アルマーニ50年の美学とその軌跡をたどる「ARMANI / Archivio」展が銀座で開催中【GIORGIO ARMANI】

50年にわたり、一貫した美学を貫くブランド

2025年10月27日（月）〜11月16日（日）、ブランド創立50周年を記念し、GIORGIO ARMANI（ジョルジオ・アルマーニ）の軌跡をたどるアーカイブプロジェクト「ARMANI / Archivio（アルマーニ／アルキビオ）」の特別展がアルマーニ／銀座タワーで開催中だ。

ジョルジオ・アルマーニは、1975年のブランド設立から現在に至るまで、一貫した美学と哲学を守り続けてきた。最新のウィメンズ2026年春夏コレクションにおいても、その姿勢は変わらない。丹念に仕立てられた一着一着には、明快なビジョンと確固たる信念が宿る。アルマーニが築いた価値は、衣服という枠を超え、世界のファッション史そのものに影響を与えてきた。軽やかで非構築的なジャケット、ジェンダーを超えたミニマルなエレガンス、そして象徴的なグレージュ。いずれも、彼が打ち立てた新しい美の基準を示している。

本プロジェクトは、アルマーニの創作活動を体系的に保存・再解釈するためのアーカイブ構想だ。衣服やスケッチ、ルックブック、広告ビジュアルなどをデジタル化し、時代やテーマを横断的に閲覧できる“生きた知識体系”として構築されている。

アーカイブ対象の中心はランウェイピースであり、選定には「テクニカル」「文化的」「文脈的」という3つの観点が設けられている。技法や素材への革新、社会に影響を与えた造形、そしてアルマーニらしいコードを示す造形的特徴。これらを基準に選ばれた作品群は、派手さよりも静かな強さを備え、ブランドの本質を浮かび上がらせている。

「色」「フォルム」「素材」でたどるアルマーニの精神

今回の特別展は、2000年にニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催された回顧展に着想を得て構成。時系列ではなく、「色」「フォルム」「素材」という3つの要素を軸に、90年代から2000年代初期を中心とした約30体のルックを展示する。

「色」はグレージュを基調とした繊細なニュアンス、「フォルム」はアイコンの継承を通じた反復、「素材」は重ねによる深みを象徴。年代を追うのではなく、コンセプトのつながりで構成することで、アルマーニが半世紀にわたり描いてきた“変わらない美”を浮かび上がらせている。

メンズでは柔らかなジャケット、ウィメンズでは精緻な刺繍が印象的だ。それぞれ異なる要素を持ちながら、シルエットの美しさとバランスの取れた比率が全体を調和させる。そこにあるのは、装飾ではなく構築、誇張ではなく静謐を選ぶアルマーニの精神である。

会場壁面には、衣服の内部構造を可視化したX線写真を用いたムードボードも設置。創造と保存、その両輪でブランドを支える姿勢を象徴している。