アーカイブに着想を得たアイテムが揃う最新コレクション

2025年6月27日(現地時間)、DIOR(ディオール)が2026年サマー コレクションをパリで発表した。新たにクリエイティブ ディレクターに就任したジョナサン・アンダーソンが手掛けるファーストコレクションで、テーマは「歴史と豊かさ」。これまでメゾンが築いてきた“言語”を読み解き、再構築された新しいスタイルが揃う。
豪華セレブリティも来場し、盛り上がりを見せたショーの中でも、サヴォワールフェールが光るアイテムを取り入れた6つのルックに注目したい。
18世紀の革命期に着用されたものを再現した3つのウエストコート

フォーマルな装いの中に遊び心を加え、再解釈されたスタイルが目立つ今回のコレクション。まず最初に紹介するルック。ここに使われた花柄刺繍のウエストコートに焦点を当てたい。



3つの異なる色調のグリーンに染められた糸を使用した葉の刺繍。そして花の刺繍には金属糸を使用した伝統的な技法である「ザルドジ」刺繍を施した。先端には、それぞれメタリックパールがあしらわれており、控えめながらも特別な輝きを放つ。ベスト地のモアレ素材と刺繍が対比された絶妙なバランスもたまらない。

次に注目すべきは、上述のものと同じく花柄だが、全く印象の異なるウエストコート。絹糸をサテンステッチで丹念に施す、アトリエの職人による針仕事が用いられている。伝統的なこのエンブロイダリーは、糸をきつく均等に並べることで、シルクのような光沢と光を生み出す。平らなサテンステッチは、正確さとボリュームで花のシルエットを表現しており、生地の歪みを防ぐためには高い技術を必要とするものだ。継承されてきた技術によって洗練されたテキスタイルに仕上がっているのは言うまでもない。

鮮やかな色味が目を惹くウエストコートもサヴォワールフェールが光る逸品。この刺繍も印象的だ。太い糸やコードを使ってプログラムされたステッチを使うことで、ボリュームある風合いに。これらのステッチはハンドメイドの結び目のようで、規則的な十字を形成。また、太い糸で高密度に縫い重ねられているため、極厚の浮き上がるような表面を作り出してくれる。
ちなみに紹介した3つののウエストコートは、18世紀の革命期に着用されていたものを再現している。
12人の職人が34日間かけて作り上げたチェスターフィールドコート

続いて紹介するのはシンプルなデザインながらも、きらびやかな輝きを放つコート。なんと製作に3271時間がかけられ、12人の刺繍職人の34日間が費やされた。伝統的な技法である「ムケシュ」刺繍を用いたこのコートは、「バルダー」金属糸を折り畳み、千鳥格子柄に沿うように注意深くウール生地の表側にあしらわれている。
ブランデンブルク装飾を施したウエストコートとシャツ


最後に紹介するのはメゾンの歴史的なデザイン要素であるブランデンブルクを採用した2つのルック。このブランデンブルクは「パス・プラット」刺繍ステッチで作られ、ボリュームと輪郭をよりはっきりと際立たせているのが魅力だ。またメタリックな装飾要素は、控えめでありながら丈夫な糸を使い、針でさりげなく取り付けられている。
豪華セレブリティのファッションをチェック!
クリスチャン ディオール TEL:0120-02-1947