ファッションの現場で働くおしゃれな大人たちが、私的愛用品をレビュー。今回はスタイリストの片貝俊さんが、数年前に出会って以来、静かに集め続けているLevi’s(リーバイス)の「560」。90年代らしい太さと強いテーパードが生む、独特のシルエットが今の気分にしっくりくるという。
雑誌やカタログ、広告など幅広いメディアから引っ張りだこ。手に入らなくなることを極端に恐れ、気に入ったものはまとめ買いしがち。
「こんな形ある?」と惹かれた90sテーパード
「560を知ったのは数年前です。古着屋で見かけて、“なんだこの形?”と直感的に惹かれました。ヒップ周りはしっかり太くて、そこから裾に向かって一気に細くなる。ここまで極端なテーパードは、ほかではなかなか見ないと思います。
もともとテーパードしたパンツが好きなんですが、560のバランスはかなり特殊。いま履いているのは別ブランドですが、つい似たようなシルエットを選んでしまうくらい、この形が自分の中で基準になっています。
90年代のモデルなので、もちろん現行では作られていません。だからこそ、見つけたときの感覚が強く残っているんだと思います」
メルカリ経由で増加中
「最初に買ったあと、しばらく履いていない時期もありました。でも去年あたりにふと穿いてみたら、“あ、やっぱりいいな”と思って。そこから一気に出番が増えました。
そうなると、僕の性格が出てきます。気に入ったものがなくなるのが、とにかく嫌なんです。560も現行では手に入らないので、“今のうちに押さえておこう”と思って、メルカリで状態のいいものを少しずつ買い足しています」
「同じ32インチでも、ウエストの出方や太さが全然違う。個体差がかなりあって、そこも古着ならではのおもしろさですね。きれいに揃えたいというより、そのばらつきも含めて楽しんでいます」
力が抜けた雰囲気が、今の年齢に合う
「560はシルエットに特徴があるので、穿くだけで雰囲気が出ます。だから合わせるものはシンプルでいい。白Tを合わせることが多いですし、足元も特別なことはしません。
ブラックデニムでも、真っ黒ではなく少しフェードしている。その表情も一本一本違っていて、穿くたびに違う印象になる。完璧じゃないところが、逆にいいなと思っています」
「40代になって感じるのは、きれいにまとめすぎないほうが、むしろ落ち着くということ。少し力が抜けたくらいがちょうどいい。560が持っている、あの独特の余白は、今の自分にはすごくしっくりきています」