2021.11.07

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.89 ランバン コレクションのジャケット|2021年11月号

ランバン コレクションをリブランディングせよ。ジョイックス社から素敵な依頼が舞い込んだ。よーし、頑張るぞ! がぜんやる気が湧いてきた。最高のランバン コレクションを完成させるのだ! 1世紀以上の長い歴史をもつランバン。パリモードの歴史とともに歩んできたランバン。先人の残したクリエーションに思いを馳せつつ、新生ランバン コレクションメンズを始動します。

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ランバンといえば、僕の中では先日亡くなったアルベール・エルバスの顔が最初に浮かんでくる。同時期にメンズを担当していたルカ・オッセンドライバー氏とは、コレクションの翌日にランチをするのが恒例となっていた。そんなこともあり、ランバンのメンズコレクションが立ち上がった2005年頃から6年ほどのコレクションは、今もマイ・アーカイブとして大切に保管してある。

一昨年の暮れ、そんな僕に、高橋幸宏さんディレクションによるランバン コレクションのショースタイリングをという話が舞い込んだ。ランバン コレクションは日本だけで展開しているブランド。もちろんお受けしたのだが、そこへやってきたのが新型コロナの感染拡大である。当初、昨年の2月に予定していたショーは延び延びとなり、最終的には昨年10月にリモートコレクションとして執り行われた。このときはイタリアのアルカンターラ社がスポンサー。アルカンターラの生地を使った服をデザインするという機会も得た。本番までの待ち時間は期せずして長いものになり、精神的には立ち往生しているような状態にもなったが、新たな服作りとショーのモデルキャスティング、そしてリモートによる映像制作への参加もでき、素晴らしい経験となった。

そんなご縁から、今年の春にジョイックス社から依頼を受け、ランバン コレクションのクリエイティブディレクターをすることになりました。まず最初にスタートするのは、10月27日にGINZA SIXにオープンするポップアップストア。ここでは、2021年の秋冬モノを絞り込んで展開します。他店では従来のランバン コレクションが展開されていますが、僕の手がける新生ランバン コレクションは、このGINZA SIXからスタートします。12月9日までの展開なので、興味をもったら、ぜひ見に行っていただけるとうれしいです。

今回、イラストで僕が着ている服は、そのポップアップストアで展開する〈ミッドナイトブルーコレクション〉の一部。テーマに掲げたミッドナイトブルーは、ランバンの長い歴史の中で幾度となく取り上げられてきたキーワード。コロナ禍が続く今年の春頃、つまり、果たしてオリンピックが行われるのか否か微妙な時期に「秋にはコロナから解放されて、夜の外出も気軽にできるかも」というポジティブな願望のもとに取り上げたテーマだった。紺と黒のコントラストをラグジュアリージャカードで表現したジャケットとアンサンブルのベストは、今季を象徴する力作。シルク100%のボウブラウスは、イラストの紺のほかに黒もあり。滑らかな肌触りのシルクは極上の着心地が体験できる。ブラウスの袖口にはプリーツをきかせ、シルエットを美しく見せる工夫が。コートの素材はラグジュアリーミリタリーサージ。艶があって、イブニングな装い向きですが、防風性、防水性に優れているのでヘビーな状況にも対応できるのが魅力。ランバン コレクションらしいトレンチコートを追求しました。ストールは、伝統あるフランスのムーレイ社に依頼したもの。シルクの艶とフワッとした感触が最高です。ひと巻きするだけでエレガントな雰囲気になる逸品。これらのほかにも、白シャツやブラックスーツなど、こだわりを存分に詰め込んだミッドナイトブルーコレクションが完成しました。ぜひお試しを。

(左)ストールは裏が黒で表が紺。「さらっとひと巻き」の見え方にこだわって、幅や長さを決めました。カジュアルな装いに合わせてドレスアップ効果も。(中)コートは襟先にボタンをつけて、襟が立てられる仕様。ポケットの横にはプリーツがあり、手を入れるとシルエットに丸みが出ます。バケットハットはひさしを自由自在に作ってね。(右)今季の顔になる3トップス。ブラウスのボウは、ネクタイのように取り外し可能。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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