2022.11.29

「長いときは1週間や10日間、はき替えないこともあります」【アンダーウェアと向き合った大人の話#03】

たかがアンダーウェア、されどアンダーウェア。いつもはまったく気にも留めないけれど、いま一度、真剣に対峙してみたら深遠な価値観や哲学がそこにはあるのか、ないのか。

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長いときは1週間や10日間、はき替えないこともあります

山岳/アウトドアライター 高橋庄太郎さん

山岳/アウトドアライター  高橋庄太郎さん
「コロナ前だと、年間160~170日は、国内外の山を中心に海、河川に入り浸っていました」という筋金入りのアウトドアライフを送っている高橋さん。 「僕にとってアウトドアウェアは仕事着ですが、デザインによっては街着としても使います。ただ、同じウェアを山と街で着ることはありません。街で飽きたものが山用にシフトすることはありますが、自宅のウォークインクロゼットも左右のラックで街用、山用に分けています。アンダーウェアはどうか? 唯一、街でも山でも同じものを着用するのでちょうど真ん中に収納しています(笑)。アンダーウェアに関しては、普段から完全にアウトドアブランドしか身につけません。 最も気に入っているのはアイスブレーカー。毎年モデルチェンジされていますが、特にメリノウール素材のものは常に調子がよくて一年中重宝しています。メリノ羊の産地でも知られるニュージーランドを拠点とするブランドなのですが、本国で取材した際に自国の最高品質のメリノウールを独占的に用いていることを知って以来、愛用するようになりました。値こそ張りますが、コストパフォーマンスの高さはそれ以上。まず特筆すべきは天然の消臭効果の高さ。 僕は仕事で入山して1週間ほど帰れないこともざらにあるのですが、多少はき替えなくてもニオイが気にならない。この点、化繊で消臭効果をうたったものもありますが、下手なコットンよりヤバいものもあるので実は要注意です。 次に保温性が高く汗冷えしない点もいい。山岳ではとかく冬場でも気づかないうちに汗をかきやすく、体温の低下は命取り。その点、メリノウールは保温性に優れ、汗をかいても乾燥が早いので大変便利です。 ハイシーズンは荷物がかさばるので、極力、軽装でいられるよう、山の世界では入山中アンダーウェア一枚で通すことは当たり前。もちろん本当ははき替えたいとはいえ、最長で10日間同じ下着をはき通したことだってあります。ここまでくるとさすがに少しはにおいますが(笑)、単独行動で、見渡す限り大自然だけという極限状況ではもはや気になりません。 下山時に風呂に入って新しい下着に着替えるのが儀式のようなもので、そこでようやく僕の山岳活動は『終了』を迎えるんです」

Icebreakerのパンツ

Icebreaker M ANATOMICA COOL-LITE TRUNKS

動物由来のメリノウールと植物由来の機能繊維テンセルをブレンド。高い機能性に加えて、テンセルによる滑らかなタッチも魅力。軽量性や通気性にも優れ、ストレッチがきいて身体にフィット。ほかに黒とグレーを展開。


PROFILE
1970年宮城県生まれ。登山歴は35年以上。近著に『人力移動と野営術“無人地帯”の遊び方』(著・文・編集/グラフィック社)。



Illustration:Tom

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