AURALEE

オーラリー

カシミヤとシェットランドウールを混紡したミドルゲージの半袖ニット。柔らかくて、芯がある。緩いけど、しっかりしている。絶妙なバランス。¥35,200/オーラリー

年齢や立場が変わっても
いつもミドルゲージが隣に

 服の中でいちばん好きな存在。冬はニットしか着ていない気がします。比べられがちなスウェットとは異質なもの。柔らかくて軽くて、あとちょっと手の込んだ部分が見えるところに、ニットの奥深さを感じています。
 毎シーズン、たくさんデザインしていますが、触ったことのない質感を頼りにしています。ありそうで、ギリギリない。そのシーズンっぽい気分をもたせながら、次のシーズンも着られる耐久性というか、強さがあるものを意識しています。個人的な好みはミドルゲージのニット。繊細すぎず、かしこまってもないし、甘すぎもしない。ちょうどいい見え方が、自分のイメージに合っているんじゃないかと思います。年齢や立場が変わっても、ニットの選択は変わってません。自分以上に見せようとする気もないので。いちばん肌に触れて、いつも着ている服だからかもしれません。そう思うとニットとは、ファッションでもプロダクトでもあり、ただ自然なものであってほしいです。

AURALEE デザイナー 岩井良太さん

AURALEE デザイナー
岩井良太さん

1983年生まれ。2018年に「ファッション・プライズ・オブ・トーキョー」を受賞。’19年秋冬より、パリコレクションに参加。



HERILL

ヘリル

カシミヤの中でもほんのわずかしか生産されないゴールデンカシミヤ。自然な風合いを保つために加工はしない。パーカ¥176,000・パンツ¥143,000/ヘリル(にしのや)

古着を着続けることで知った
雑に着るカシミヤのよさ

 ヘリルを始める前は、デニムとかダウンとか、布帛関係のものを作ることが多くて、ニットはただただ自分で着るのが好きだった服です。イングランド製やスコットランド製の古着のカシミヤニットを、トレーナーのように普通に洗濯しながら着続けていくうちに、昔のカシミヤの素材のよさを体感していました。ヘリルをスタートしたとき、雑に扱えて、ガンガン着られるニットを作りたくて、それがただ僕の中でカシミヤだったということ。
 自分にとって繊細な生地ではなく、むしろ真逆で、素肌で不快なく着られる、日常的でカジュアルなもの。このまま寝たり、車も運転する。今となってはクリエイティブな服が着たいわけではなく、ただ何も考えなくても着られるいいものを追求したら、やっぱりカシミヤに辿り着くんです。今日着ているのは繊維が異常に長いゴールデンカシミヤ。これだけしっかり編んで目が詰まっているのに柔らかい。至って普通なのに、矛盾だらけのニットです。

HERILL デザイナー 大島裕幸さん

HERILL デザイナー
大島裕幸さん

1974年生まれ。某大手セレクトショップの企画を経験した後、2019年秋冬よりヘリルをスタート。カシミヤへの愛をものづくりに注ぐ。


BATONER

バトナー

袖口や裾などにリブを施さない、ラフな着心地と上品な見た目を兼ね備えた“ニットソー”。サイドのスリットもハイゲージならではのディテール。¥28,600/バトナー

高い技術で丁寧に編み立てた
大人の理想のハイゲージ

 40代も半ばを迎えると、素材もシルエットも主張を好まず、すっとシチュエーションに調和する服が、ニットに限らず心地よく感じています。年齢とともに、そして世の中の風潮とともに、訪れる場所や出会う人も、少しずつ広がっていく雰囲気を感じています。そうしたときにふさわしいニットを考えると、いかにもなニットより、上品で凜としていながら頑張りすぎていないニットを選ぶように。
 年を重ねると、ヘビーな生地よりも軽くて柔らかい生地を好みます。そして僕は毎週のように山形と東京の往復があるため、出張時のシワや摩擦によるピリングにとても気を遣います。そこで辿り着いたのが、世界でいちばんハイゲージ(32G)の織機を使った、バトナーの特徴である成型編みのニットです。あえてリブもつけず、縫い目も入れないすっきりとしたデザインで、適度な光沢があり、みすぼらしく見えません。どんな局面にも溶け込んでくれる、理想の一枚です。

BATONER デザイナー 奥山幸平さん

BATONER デザイナー
奥山幸平さん

1978年生まれ。奥山メリヤス3代目としてOEM中心の工場体制から自社ブランド、バトナーを2013年始動。山形のニット技術を広める。



KAPTAIN SUNSHINE

キャプテンサンシャイン

トッド&ダンカンは英国王室も愛用する老舗紡績メーカー。低速の織機で時間をゆっくりかけたラムズウールは柔らかで上品。¥50,600/キャプテンサンシャイン

服以外の興味から湧き起こる
インスピレーションを大事に

 近年は家具や建築だったり、旅先で目にした景色のパレットなど、服以外への興味が増えてきました。創業当時のキャプテンサンシャインはアメリカやイギリスのヴィンテージが服づくりの根底にありましたが、そうしたいろいろな要素を足したり引くことで、インスピレーション源を曖昧に表現することが年齢とともに増えています。
 ここ2年くらい、アートに近い感覚でボロボロの古いスウェットを着ていて、今季はその感覚で着られる普通のニットを作ってみました。アートピースとしてヴィンテージを買うことはあっても、着たいのは軽くて愛着が湧くもの。これは、創業150年の歴史をもつトッド&ダンカン社のラムズウールをブレンドし、オリジナル糸を作りました。カシミヤが有名なスコットランドの紡績メーカーですが、スコティッシュ独特のぬくもりが欲しくて。高級な糸や生地もたくさん試してきましたが、今は表情が豊かで、かさのあるニットをさらりと着たいムードです。

KAPTAIN SUNSHINE デザイナー 児島晋輔さん

KAPTAIN SUNSHINE デザイナー
児島晋輔さん

1976年生まれ。編集者からデザイナーに転身し、2013年にキャプテンサンシャインをスタート。白馬の麓で雪と育ったスキーの達人。



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Photos:Reiko Toyama[LESEN]
Composition&Text:Masayuki Ozawa[MANUSKRIPT]