2022.11.03

祐真朋樹の密かな買い物 |Vol.99 プラダのショーツ

3号前にも書きましたが、僕は今、ゴルフに夢中。よき師匠にも恵まれ、精一杯頑張っているが、なかなかスコアアップにつながりません…。そんな僕が意見できる立場ではないのだが、ゴルフのプレイ中や行き帰りの服は、なぜにもっとオシャレにならないのだろうか。探しても探しても、イケてるウェアがないのだ。そんな不満を胸に、ショーツを買いに出かけた。

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 春先から夢中になっているゴルフだが、スコアは一向によくならず、やればやるほど新たな問題にぶち当たる。というか、厳密には「一つ覚えると一つ忘れる」という愚を繰り返しているため、スイング一つとっても完成に至らないのである。当然のことだが、プレイ中に同じ状況は二度とない。失敗するたびに、身体と頭の対応が鈍ってることに気づき、落胆してしまう。が、こうなることは予想していた。わが人生5度目のゴルフブーム。今度こそは!と心に決めたので諦めるつもりはない。



 気晴らしにゴルフ用の服を買おうと、プラダの青山店へ出かけた。プラダにゴルフ用とうたった服はないが、実は、ドレスコードがややこしい日本のゴルフ場をクリアできる素敵なアイテムが揃っている。ポロシャツ、スラックス、ブルゾン、ニット、ジャケットと、オン・オフともに、品格のあるゴルフ用ウェアを揃えることができるのだ。色使いやディテールへの細やかな配慮にも、専門のウェアにはないファッション性が息づいている。果たして、こういうゴルフウェアへのこだわりがスコアをよくするのか?と問われれば、今のところ結果を出せていないから、答えはNO!なんだけど…。



 以前、一度ゴルフ発祥の地である、セントアンドリュースのオールドコースでラウンドさせてもらったことがある。当然スコアは散々だった。お世話になった方々には、大変申し訳なかった。散々なプレイではあったが、ゴルフ発祥の地とされるこのコースでは、ゴルフの神髄に触れる機会があった。それは、クラブハウスに飾られた数枚の写真。1800年代に撮られたそれらは、大勢のスタイリッシュなプレイヤーとギャラリー、そして荘厳なゴルフ場をとらえていた。プレイをする人たちのツイード素材のジャケットとパンツ、女性プレイヤーのロングスカート、そしてビシッと決めた帽子。ネクタイも当たり前のように締めてプレイを楽しんでいるそのエレガントな姿は、今見てもまったく古さを感じさせなかった。かつてゴルフは、紳士淑女が楽しむための社交だったということがよくわかる。今だってきっとそのはずだが、こんな気分に浸ったのは、後にも先にもこのときだけである。かつてゴルフはおしゃれして楽しむスポーツだった。これが僕のゴルフウェアに関する原体験となった。



 今回プラダではゴルフ用のつもりで長めのショーツを購入したが、買ってからそれが秋物と気づいた。ショーツといえども、秋冬素材は蒸し暑い日のプレイには厳しい。それではと、普段使いを考えた。合わせたのは、ランバン コレクション メンズの黒いタートルネックセーターとサコッシュ。足元はN.GW(エンネ. ジードッピョヴー)のUチップブーツ。この秋から立ち上がった新ブランドだ。1990年代後半、メンズファッションに一大ムーブメントを巻き起こしたシルヴァノ・マッツァの企画チームが約30年ぶりに復活! 見事なラスト(木型)と素材を用いて、エレガントな革靴を甦らせた。当時はどっぷりとその魅力にハマり、今も数足保管しているが、このN.GWにも、ハマりそうな気配。



 タートルネックセーターとショーツの組み合わせは、若い頃から好きだった。で、結局、このショーツをはいて、ゴルフをする日は来るのだろうか?

(左)Uチップのブーツは、カジュアルにもドレスにも使えて便利。エンネ. ジードッピョヴーとは、「真実の価値」という意味だそう。(中)ランバン コレクション メンズのタートルネックセーターは、ほかに、イエロー、グリーン、オレンジ、ネイビーもあり。サコッシュはメイドインイタリーで、色はほかに黒とグレージュ。(右)プラダのショーツは、丈の長さに惹かれました。サイドのフラップポケットのデザインも好き。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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