2022.07.24

【大人が選ぶべき3大ローファー】知っておきたい「オールデン」「ジェイエムウエストン」「ジーエイチバス」の歴史、人気モデル、着こなし術

アメカジやトラッドが脚光を浴び、ビジネススタイルもカジュアル化する時世。ON/OFFで活躍するローファーが欲しくなった人も多いのでは? そこでファッション界の3大ローファーの歴史、代表モデル、着こなしまでを深掘りしてみた。

【大人が選ぶべき3大ローファー】知っておの画像_1

ALDEN アメトラを代表するコードバンの高級ローファー



歴史

オールデン シュー カンパニーは1884年に、米国マサチューセッツ州ミドルボロウにてチャールズ H オールデンによって設立された。創業当時はオーダーやカスタムメイドで、高品質な紳士靴を生産。真摯なものづくりでオールデンは知名度を上げ、順調に事業を拡大。

ALDEN_オールデン_創業者のチャールズ H オールデン
▲創業者のチャールズ H オールデン。1931年に退職した後は、経営権をターロウ家が受け継ぐ。

トラディショナルなグッドイヤーウェルト製法で革靴をつくりながら、医療矯正靴の分野を開拓する。矯正靴製作が活かされたバリエーション豊富なラスト(木型)で、オールデンは履き心地も高く評価されるブランドになっていく。

ALDEN_オールデン_ミドルボロウでの創業当初の工場と従業員
▲ミドルボロウでの創業当初の工場と従業員。クラシックな装いにも歴史が。

オールデンのローファーがアメリカン・トラッドに欠かせない靴と言われるようになったのは、1950年代から1960年代にかけて、ブルックス ブラザーズのローファーを手がけていたことが大きい。また現在は希少な高級革と言われるコードバンを、1920年代から現在に至るまで使用し続けていることも有名で「オールデン=経年変化が美しいコードバンの靴」というイメージが確立している。

ALDEN_オールデン_職人たちをフィーチャーしたオールデンのポスター
▲職人たちをフィーチャーしたオールデンのポスター。写真は1932年頃のモカステッチを手がける職人の様子。

マサチューセッツ州の中で引っ越しを繰り返し、1970年代には再び創業の地、ミドルボロウへ戻る。近代的な工場の建設をきっかけに、オーダーメイドから既製靴メーカーへとシフトした。日本にオールデンを紹介したのは、1976年創業のビームス。1980年代のアイビーリバイバル(プレッピーブーム)のときに脚光を浴びる。



オールデンは1981年に映画『インディアナ・ジョーンズ』で主演のハリソン・フォードが履いたブーツでも話題を呼ぶ。その後も世界的なセレクトショップに選ばれ、アメリカの伝統的シューズブランドとしての地位をキープし続ける。日本では1994年からラコタが輸入総代理店となり、純正パーツによるリペアなどにも細やかに対応。


定番ローファー


ALDEN|Penny Loafer



ALDEN_オールデン_Penny Loafe_ローファー¥174,900
ローファー¥174,900/オールデン(ラコタ)

コードバンの艶も美しい日本仕様のローファー
モカ縫いがしやすいように改良されて1955年に完成した、VAN(ヴァン)と言われる木型でつくられるペニーローファー。アメリカ老舗ホーウィン社のコードバンを使用し、ロウ引きされた馬の尻尾を束ねてつくられる糸を用いて、熟練の職人によってハンドステッチで仕上げられている。インソールとアウトソールの間に練りコルクを入れるなど、足にやさしい天然素材にこだわっているのも特筆。日本人の足に合うように甲高で、ヴァンプが長く見た目も美しい。


今ならこんな着こなしに



ALDEN_オールデン_アメトラやジャケパンコーデを格上げしてくれるオールデンのローファー
ローファー¥174,900/オールデン(ラコタ) ニット¥35,200/ユーゲン(イデアス) Tシャツ¥17,600/ラファーヴォラ パンツ¥41,800/ブラームス ルーツストック(ワンダリズム) トートバッグ¥26,400/ディセンダント

文化系ミリタリースタイルを大人っぽく演出
アメトラやジャケパンスタイルを格上げしてくれるオールデンのローファー。カジュアルな着こなしにも合わせやすく、旬のミリタリーパンツとも好相性。武骨に振るのではなく、白T&ニットベストの重ね着で、文化系の雰囲気を漂わせて足元にオールデンというのが正解だ。キャンバスのトートバッグで抜け感を添えれば完璧。秋はこのスタイルにブレザーを羽織って、ブロークンアイビーを気取るのも悪くない。


こちらもおすすめ!


ALDEN|Tassel Moccasin



ALDEN|Tassel Moccasin_オールデン_タッセルモカシン
ローファー¥169,400/オールデン(ラコタ)

クラシックなルックスが魅力のタッセルモカシン
第2次世界大戦後にアメリカ人の俳優、ポール ルーカスのオーダーがきっかけで生まれたタッセルモカシン。1957年には踵に装飾品をつけた特別仕様がブルックス ブラザーズのコレクションに加わったことで、オールデンを代表するシューズになった。スコットランドの地名に由来するエレガントなABERDEEN(アバディーン)ラスト、ホーウィン社のコードバンを使用。


J.M. WESTON エレガントなルックスでフレンチトラッドを牽引



歴史

1891年にエドゥアール・ブランシャールが、フランスのリモージュ地方に靴工場を設立したのがブランドのルーツ。1904年、息子のユージェーヌが近代的なグッドイヤーウェルト製法を取得するために渡米。米国マサチューセッツ州ボストン郊外のウエストンで学んだことから、ブランド名をジェイエムウエストンにした。

J.M. WESTON_ジェイエムウエストン_リモージュの工場
▲リモージュの工場にて。アットホームなムードが漂う社員の記念写真。

グッドイヤーウェルト製法でつくられるシューズは評判を呼び、1922年にはパリのクルセル大通りにジェイエムウエストンの名前でブティックをオープン。

J.M. WESTON_ジェイエムウエストン_グッドイヤーウェルト製法を採用し、今もハンドメイドでつくられている
▲グッドイヤーウェルト製法を採用し、今もハンドメイドでつくられている。

1932年にシャンゼリゼ通りに2号店を出すころには、ゴルフやハントダービーのようなメゾンを象徴するシューズが完成していた。エレガントでいてアクティブに履けるジェイエムウエストンのシューズは、パリジャンを魅了した。

J.M. WESTON_ジェイエムウエストン_パリのクルセル大通りの第一号店
▲おしゃれな人々でにぎわうパリのクルセル大通りの第一号店。

第二次大戦が終わって開放的なムードがあふれる1946年に、ブランドを代表するシューズとなる「シグニチャーローファー #180」が誕生。エレガントでいて簡単に履けるこの靴は当時のパリでも注目を集め、1949年、フランスのファッション誌『Adam』にシグニチャーローファー #180の広告を掲載するまでにヒットした。

J.M. WESTON_ジェイエムウエストン_「シグニチャーローファー #180」の広告
▲「シグニチャーローファー #180」の広告。「長く履くためのよりよいシューズ」や「気品」といったキャッチコピーとともにシャンゼリゼ通りの住所が。

世界中で若者のカルチャーが花開いた1960年代。パリのシャンゼリゼ通りにもドラッグストアに集う「Bande du Drugstore(ドラッグストアのギャング)」と呼ばれる若者が登場。父親が履いていたジェイエムウエストンのローファーを、ジーンズで素足に履くことで、既存の秩序への反抗を表現した。この学生たちの運動が、1968年の5月革命へとつながり、「シグニチャーローファー #180」が伝説的なアイテムに。



1980年代に名門タナリー バスタン(皮革工場)を傘下に収め、グローバルな展開がスタート。日本でも1990年代初頭のフレンチトラッドブームの際に、アイコンアイテムとして人気を集める。1993年には青山に旗艦店もオープンし、フランスを代表するシューズブランドとして周知の存在になった。


定番ローファー


J.M. WESTON|Signature loafer #180



J.M. WESTON|Signature loafer #180_ローファー¥126,500/ジェイエムウエストン
ローファー¥126,500/ジェイエムウエストン(ジェイエムウエストン 青山店)

ボックスカーフが品格を添えるタイムレスな一足
ジェイエムウエストンの看板を挙げたユージェーヌ・ブランシャールによってデザインされた。1940年代から変わらぬフォルムのフラッグシップモデルは、ラグジュアリーなボックスカーフのアッパーにベジタブルタンニングレザーのシングルソール、グッドイヤーウェルト製法で今もリモージュの工場でつくられている。カモメのようなカッティングのベルトもアイコニック。


こんな着こなしに



J.M. WESTON|Signature loafer #180_ジェイエムウエストン_フレンチテイストを強調したいときに大活躍
ローファー¥126,500/ジェイエムウエストン(ジェイエムウエストン 青山店) シャツ¥27,500・パンツ¥33,000/ともにニューターム(ホワイト ロッジ) カットソー¥28,600/サバイ(ヘムト PR) メガネ¥42,900/ユウイチトヤマ(コンティニュエ)

フレンチテイストを強調したいときに大活躍
シンプルな白シャツ&ブルーのスラックスのコーディネートもバスクシャツを合わせるとフレンチ風のスタイリングに。足元をジェイエムウエストンのローファーにすれば、着こなしにさり気なくリアリティやクラス感が添えられる。フレンチアイビーを象徴する紺ブレ+ホワイトジーンズのようなスタイルも、ジェイエムウエストンを選ぶのがおしゃれ通としてのこだわりになる。


こちらもおすすめ!


J.M. WESTON|Signature loafer #180



J.M. WESTON|Signature loafer #180_ローファー_ビーチナッツ
ローファー¥126,500/ジェイエムウエストン(ジェイエムウエストン 青山店)

シグニチャーローファーのシーズンカラー
約150もの工程を経て完成するブランドのアイコンモデルには、シーズンカラーの展開がある。2022年春夏コレクションではこのビーチナッツスエードカーフとブルージーンズスエードカーフ、ホワイトカーフの3色をラインナップ。いずれも素足に履きたくなるような、軽快さが魅力。ビーチナッツはカジュアルスタイルにクラシックな落ち着きがほしいときに重宝。


G.H.BASS アイビースタイルを象徴するペニーローファー



歴史

ジーエイチバスは1876年、米国メイン州でジョージ・ヘンリー・バス(George Henry Bass)によって設立された。もともとは地元の農家や森で働く人のためのワークシューズを手がけていた。20世紀初頭は南極探検隊が着用したブーツや、アメリカ軍へのブーツサプライヤーとして名を挙げた。

G.H.BASS_ジーエイチバス_ジョージ・ヘンリー・バスの肖像写真
▲ジョージ・ヘンリー・バスの肖像写真が掲載された1936年のカタログ。

ノルウェーの伝統的なスリッパータイプのモカシンWeejuns(ウィージャンズ)に着想して、1936年にBass Weejuns(バス ウィージャンズ)としてローファーを発表。気軽に履ける革靴はまたたく間に、アメリカのアイビーリーグキャンパスに広まる。

G.H.BASS_ジーエイチバス_1930年代の広告
▲バス ウィージャンズが発売された当時、1930年代の広告には「一日の終わりにブーツを脱いで足を休めるのにちょうどいい」という内容が。

当時のアイビーリーグの大学は全寮制だったために、公衆電話用のコインをフロントのスロットに入れたことから「ペニーローファー(コインローファーとも呼ばれる)」と呼ばれるようになったというエピソードが。1960年代にはアイビーリーグを卒業した若者がビジネスシーンでもバス ウィージャンズを愛用して、ビジネスシューズとしてもブレイク。

G.H.BASS_ジーエイチバス_「ウィージャンズ」の1960年代の広告
▲ジーエイチバスのローファー「ウィージャンズ」の1960年代の広告のアーカイブ。

日本では1960年代にアイビーファッションで一世を風靡したヴァン・ヂャケット(VAN)が、バス ウィージャンズを紹介。1980年代にはプレッピー(ニューアイビー)がファッションとして世界的に注目され、バス ウィージャンズがアイビーのアイコンアイテムになっていった。



バス ウィージャンズを代表するモデルとしてローガン(LOGAN)とラーソン(LARSON)の2モデルがある。ラーソンはサドルの両端に巻き留め(その形状からビーフロールと呼ばれる)があるのが特徴で、ローガンはすっきりとしているのが特徴だ。

G.H.BASS_ジーエイチバス_マイケル・ジャクソンが愛用した靴
▲マイケル・ジャクソンが愛用した靴としても有名に。

バス ウィージャンズは銀幕のスターや影響力のある政治家も愛用したと言われているが、1980年代にはキング・オブ・ポップとしてリスペクトされたマイケル・ジャクソンがムーンウォークで履いた靴として脚光を浴びる。大ヒット曲『スリラー』のミュージックビデオで見せたローガンに白いソックスというスタイルも、当時ブレイクした。



1980年代後半から1990年代にかけては渋カジやキレカジのマストアイテムとしても人気が再燃。以後、メンズファッションの定番靴となって現在に至る。


定番ローファー


G.H.BASS|LARSON



G.H.BASS_LARSON_ジーエイチバス_バス ウィージャンズ
ローファー¥25,300 ※8月1日から¥29,700/ジーエイチバス(ジーエイチバス トウキョウ)

ビーフロールが印象的な“ラーソン”モデル
ハイシャインレザーの艶やかな光沢が魅力のバス ウィージャンズ。マッケイ製法でつくられており、軽量性と屈曲性の高さが特徴だ。サドルの端のビーフロールが特徴の“ラーソン”はカジュアルな印象が強いから、スーツよりもジャケパンに合せたい。アイビー感を強調するにも、ビーフロールは最適なディテールだ。現在のモデルはクッション性を向上させた新仕様で、履き心地が向上していると好評。


こんな着こなしに



G.H.BASS_ジーエイチバス_文化系アウトドアの足元にビーフロールがマッチ
ローファー¥25,300 ※8月1日から¥29,700/ジーエイチバス(ジーエイチバス トウキョウ) プルオーバー¥17,600/ビームス プラス(ビームス プラス 原宿) Tシャツ¥14,300/ザ・ノース・フェイス パープルレーベル(ナナミカ マウンテン) ショーツ¥9,900/グラミチ×ビーミング by ビームス(ビーミング ライフストア by ビームス 横浜ポルタ) バケットハット¥17,600/サバイ(ヘムト PR) ソックス¥2,200/シックストックス(ノーデザイン)

文化系アウトドアの足元にビーフロールがマッチ
フーデッドプルオーバーに、クライミングショーツというアウトドアよりのコーディネートには、ビーフロールスタイルのローファーがおすすめ。カジュアルレザーシューズ的なスタンスで合わせることができて、しかも大人っぽくまとまる。デッキシューズを合わせたくなるような渋カジ的スタイル、プレッピースタイルとも好相性。カジュアルなコーディネートにはソックスをプラス、ドレッシーなときはあえてノーソックスがバランスよし。


こちらもおすすめ!


G.H.BASS|BIT LOAFER



G.H.BASS_BIT LOAFER_ジーエイチバス_ビットローファー
ローファー¥20,900 ※8月1日から¥24,200/ジーエイチバス(ジーエイチバス トウキョウ)

一体成型のラバーソール仕様のビットローファー
ビーフロールタイプがベースのビットローファー。一体成型のラバーソールを採用してグリップ力や耐水性に優れいているのが特徴だ。トラッドスタイルをモダンに見せたいとき、あるいはモードよりのドレススタイルの足元にも、ビットローファーはマッチ。アッパーは光沢のあるハイシャインレザー。ジーエイチバスらしいバーガンディが、今また新鮮。



イデアス TEL:03-6869-4279
コンティニュエ TEL:03-3792-8978
ビームス プラス 原宿 TEL:03-3746-5851
ビーミング ライフストア by ビームス 横浜ポルタ TEL:045-444-0760
ジーエイチバス トウキョウ TEL:03-5843-0777
ジェイエムウエストン 青山店 TEL:03-6805-1691
ディセンダント https://www.descendant.jp
ナナミカ マウンテン TEL:03-6416-3012
ノーデザイン TEL:03-6303-0866
ヘムト PR TEL:03-6721-0882
ホワイト ロッジ TEL:03-6421-8084
ラコタ TEL:03-3545-3322
ラファーヴォラ TEL:050-5218-3859
ワンダリズム TEL:03-6805-3086

Photos:Naoki Seo
Stylist:Takumi Urisaka
Composition & Text:Hisami Kotakemori

RECOMMENDED