2021.09.25

祐真朋樹の密かな買い物Vol.88 ヤンチェ_オンテンバール×アナ スイのアロハシャツ|2021年10月号

かき氷と扇子、そして風鈴が鳴り響く縁側。蟬の鳴き声に囲まれて炎天下にいると、昔は日常であったはずの情緒に思いを馳せる。子どもの頃も京都の夏は暑かったはずだが、半袖シャツに半ズボン、手に団扇でも持てばなんとなく爽やかな気分になれた気がする。ああいう夏は、温暖化でもうかなわないのか。そう思うとちょっと寂しい、今年の夏である。

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2018年8月25日、帝国ホテルプラザにオープンしたヤンチェ_オンテンバールは、3周年を迎えた8月25日に、丸の内仲通りにリニューアルオープンした。今まで以上にパワーアップした商品ラインナップで、われながら手応え十分。ぜひ多くの皆さんに来ていただけたらと願っている。

新ショップの目玉になること間違いなしなのが、今回紹介するアナ スイとのコラボレーション。半袖シャツの生地には香取慎吾さんのドローイング〈ニューワールド〉が使われ、随所にアナ スイのアレンジがきいている。ほかにもドレスワンピやプリントTシャツなど、楽しいアイテムが並んでいる。

僕にとってのアナ スイは、1992年頃、マーク・ジェイコブスやスティーブン・マイゼル、リンダ・エヴァンジェリスタやナオミ・キャンベルといった面々とヴォーグ・イタリアに掲載されている姿を見て憧れたのが最初。当時の僕は、毎日ドルチェ&ガッバーナの服ばかり着ていて、ヴォーグ・イタリアとルオモ・ヴォーグをチェックしては、NYベースのアーティストたちがイタリアの雑誌で活躍する姿に注目していた。この頃、シアトル発のグランジブームが音楽業界だけではなくファッションの世界にも強く影響を与えていたこともあり、それまであまり関心がなかったNYコレクションにも興味が湧き始めていた。特に、アメリカ人だが東洋にルーツをもつアナ スイの存在が気になった。NYで活躍するファッションピープルの中にあっては独特で、彼女の勇猛果敢な活躍は同じ東洋人の僕にも勇気を与えてくれた。当時、ソーホーにあった店に初めて行ったときは、お香の香りが強烈すぎて一度店を出て大きく深呼吸をしてから入り直したものだ。オリエンタルなアクセサリーやインテリアにアメリカンヴィンテージの小物や服が渾然一体となって並ぶ店内。ミステリアスな雰囲気が漂っていた。アメリカで生まれ育ったにもかかわらず、しっかりと東洋のバックグラウンドをもったデザイナーの出現だった。そんな輝かしいキャリアをもつアナ スイとヤンチェ_オンテンバールのコラボが実現したことをこのうえなくうれしく思う。

合わせたブーツはカンペール。今度、僕が集英社のECサイト「ミラベラオム」で立ち上げる「MH」で取り扱う商品だ。このブーツ、ブラックは他店でも展開されるが、赤茶色は「MH」限定での取り扱い。キャラメル色のソールが特に気に入っている。このブーツに合うパンツが欲しくなり、高い位置にフラップポケットをあしらったジャングルパンツも「MH」で作った。イラストではいているのがそれです。発売は8月24日からスタート。ほかにも、ドレスTシャツ、クラシックシャツ、黒いタートルネックセーター、フレアパンツにパジャマ、それにトートバッグもオリジナルで作っています。この号でも紹介しているので(P.108〜113)、ぜひチェックしてください。

下の物撮りで紹介しているのは、グラニフが作ったマクドナルドのプリントTシャツ。ドナルドが中央で笑っている絵が好きだ。このTシャツを着たら、かれこれ10年以上食べていないビッグマックが食べたくなった。最近のニュースで、日本のビッグマックの価格は他国に比べて安いと言っていた。さて、これは日本にとっていいことなのか、よくないことなのか…。

(左)1990年代はパリのあちこちに店舗があった記憶がある。店の壁に大きくカンペールのロゴが使われていたのが懐かしい。このチェルシーブーツはシルエットが魅力的。(中)J_Oとアナ スイのコラボレーションアイテムの、半袖シャツとプリントTシャツ。秋もジャケットの下に着る予定。(右)マクドナルドにはいろんな思い出がある。息子が2歳の頃ハッピーセットを食べによく通った。目的はオマケ。あの戦略は心からすごいと思う。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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