“南貴之の頭のなか”が、買える!


ファッションブランドの企画・生産のほか、ストアディレクションやブランディングなど多方面で活躍するクリエイティブディレクターの南貴之(みなみたかゆき)による、私物大放出企画展が還ってきた。


約2年ぶりの開催となる『南貴之の頭のなか展』第2弾は完全予約制で、会期は本日7月31日から8月9日まで。



同企画展の会場は、南が手掛けるクリエイティブカンパニーの「alpha PR(アルファ ピーアール)」社内だ。


2019年秋の初開催時の会場は「HIBIYA CENTRAL MARKET(ヒビヤ セントラル マーケット)」内のいち区画だったが、今回は自社のテリトリーで大幅にスペースが拡張されている。取材に訪れた編集部員2人に、私物ひとつひとつに紐づく情熱的なヒストリーを説明する南。


“南貴之の頭のなか”を一緒に回遊しつつ、「大人男子にお勧めの逸品」を教えてもらった。



2回目となる本企画展のテーマは「頭のなかを整理する」。マニアックなヴィンテージオーディオや南がまだ20代だった頃に購入したアパレル、世界有数の家具、インテリア、オブジェなど、自身のクリエイティブのインスピレーション源として昇華させた収集物は多岐に渡る。


南:次々と搬入して、レイアウトを決めて、お客様を迎える姿勢になり、初めて頭のなかはスッキリ整理できました。すでに満足してしまったかもしれません。



①Dieter Rams:
BRAUN Atelier1 Radio/RecordPlayer ¥352,000



BRAUN社の1970年代のヴィンテージオーディオ「BRAUN Atelier1 Radio/RecordPlayer」は、マニア垂涎の代物。きちんと稼働する。


南がディレクションを手掛けるファッションブランド「Graphpaper(グラフペーパー)」の2020年秋冬シーズンに添えられたテーマが、BRAUN社のデザイン部門長として著名な、ドイツ工業デザインの巨匠である「Dieter Rams(ディーター・ラムス)」だった。



②WILHELM WAGENFELD:
Glass Vase ¥176,000~¥308,000



モノの価値は手にする人次第だとよく言われるが、本企画展は親切かもしれない。なぜなら、展示・販売されるすべてのモノが南のフィルターを通っているからだ。


南:これは「ウィルヘルム・ワーゲンフェルド」の花瓶です。花は飾らずにこのまま置いて眺めていました。一見すると、10万円もするとは思えないかもしれませんね。きちんと接客させていただきますよ。


作家やブランドは知らずとも、目利き・南貴之のリコメンドならば間違いない。値付も良心的とのこと。



奥のスペースでは、南の私物アパレルがラック掛けされている。雑多な展示はされておらず、個々のアイテムすべてが明確な意図をもってディレクションされている。


収集癖を発揮した対象は、メンズでは「HELMUT LANG(ヘルムート・ラング)」と「COMME des GARçONS(コム デ ギャルソン)」の2ブランド。収集家にありがちな、同じ系統のデザインのみに傾倒してる様が面白い。



②Helmut Lang:Denim Jacket ¥88,000



会期中の土日は、南自身が店頭に立って接客にあたるとのこと。本人と話したいなら土日がベストだ。


南:自宅にいる時間を余儀なくされる昨今、必然的に家の中のモノへと興味の対象が移ってきているように思います。私的な視点で集めたモノが、何かのキッカケになってくれたら幸いです。クレカも使えます。



④Helmut Lang:Paint Mods Coat ¥198,000



南の審美眼に適った、90年代後半の「ヘルムート ラング」黄金期がズラリ。一番のお気に入りは、三本ラインのペイントが印象的なモッズコートだ。


南:お金がなかった若いころに勢いで手放してしまったコートで、ずいぶんと後悔していました。大人になって余裕ができてから、親の仇のように買い直しましたけども。袖を通したことはありません。収集です。



⑤COMME des GARçONS HOMME PLUS:
Bias Jacket ¥176,000



一方の「コム デ ギャルソン・オム プリュス」では、これまた名作のバイアスジャケットに思い入れがあるという。


南:1996年か97年あたりに購入。バイアスというアパレル用語を店員さんから初めて聞いたジャケットで、えらい高かった。実際にバイアスアイテムを生産する今になって、その価値にようやく納得ができました。


ほかにも、黒のウールギャバジンを使った肩パッド入りジャケットやボンタンのように太いスラックスをピックアップ。80年代DCブランド黄金期を過ぎたあたりの、少しこなれたギャルソンが南の好みらしい。



隣はウィメンズのアパレル、そして家具・インテリアなど。デザイナーズチェアに関するこだわりは相当なものだ。


また、ウィメンズの「CELINE(セリーヌ)」に関しては、2008年から2017年までクリエイティブ・ディレクターを務めていたフィービー・ファイロ期のみの収集となる。



⑥Hermes by Martin Margiela:
Coat ¥264,000・V neck Shirt ¥132,000



ウィメンズのお勧めはこちらの2点。「HERMES(エルメス)」はマルタン・マルジェラがウィメンズを手掛けていた1997年から2003年までのものに限って収集。


南:未だにファンの多いマルジェラ期の「エルメス」。この2点で、服好きは夜通し語り合うことができてしまう。モノにまつわる背景を同志と共有したいですね。



⑦Pierre Paulin:
Orange Slice Lounge Chair ¥220,000



オレンジスライスチェアで小休憩。フランス人インテリアデザイナーの「Pierre Paulin(ピエール・ポラン)」が手掛けた、ミッドセンチュリー期を代表する逸品だ。



⑧Arne Jacobsen:
Stackable Wooden Stool ¥88,000



セブンチェアやアントチェアで有名なデンマーク人デザイナー「Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)」のスツール。三本脚のオリジナルデザインはレア。



魅惑の椅子、椅子、椅子の群れ。もちろんすべてが1点モノで、まるで深海魚のような佇まい。


果たして、デザイナーズチェアの一番のお気に入りは、入り口付近に何気なく置かれていた。



⑨Mario Botta:Quinta Chair ¥184,800



南:ここ5年ほどで様々なデザイナーズチェアに出会いましたが、こいつがホームラン王ですね。奇をてらわず、シンプルで、キャラが立っていて、なおかつ斬新。


南が慈しむように触れる椅子は、「Mario Botta(マリオ・ボッタ)」の名作である「Quinta Chair(クインタチェア)」。ポルトガル語で“Quinta”とは“農園”の意だ。



⑩Fulvio Bianconi:
Pezatto Glass Vase ¥528,000



艶やかな「Fulvio Bianconi(フルヴィオ・ビアンコーニ)」の花瓶は、なんと50万円超え。


南:ここのスペースは、まだ誰も見つけていないプロダクトを探すべく、オランダ、ベルギー、ドイツ、イギリス、フランスなど約4,000kmを車で巡って収集したモノたちが中心です。懐かしく思い起こされます。今は断然、イタリアにポストモダンの家具を買い付けに行きたい。コロナ禍が明けたらすぐにでも・・・。



⑪Mario Botta:Obliqua Sofa ¥880,000



最高額商品である「マリオ・ボッタ」の「Obliqua Sofa(オブリクア ソファ)」に腰掛けてラストショット。


南貴之:やはりホームは落ち着きます。コロナの影響で生活スタイルが一変した今、あえて第2回の開催をぶつけてみました。洋服が先に完売しそうですが、部屋に華を添えるような家具やインテリアも探している大人は増えていると思います。ぜひ、遊びに来てください。


⑫Ewe tribe of Thogo:
Wooden Statue ¥44,000



本日から8月9日まで開催中の「南貴之の頭のなか展」は、特設ウェブサイトでの完全予約制なのでお早めに。本人に会える8月の土日はまだ余裕がある。


南貴之のディレクターセンスに直に触れ、さらに自分の糧にできてしまうまたとないチャンスだ。




<問い合わせ>
『南貴之の頭のなか展』
会期:2021年7月31日(土)~8月9日(月)(※完全予約制)
会場:東京都渋谷区神宮前2-6-7 神宮前ファッションビル6階
TEL:03-5413-3546
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Photos:Hiroaki Horiguchi
Interview & Text:Takafumi Hojoh