オリジナルへのリスペクトを忘れない

柴崎智典さん
(ビームス メンズチーフバイヤー)の場合

年間、30~40件くらい別注企画を考えています。バイヤーとMD、ディストリビューターが半年に一度集まって二日かけて“別注会議”を行うのが通常ですが、今回のレッド・ウィングは2年前、ビルケンシュトックは1年前から進めていた企画です。ポストマンシューズ(1)は、ゴアテックスを搭載したものを作りたくて以前からお願いしていたのですが難航していました。

そうこうしているうちに、インラインで先にゴアテックス仕様のものが誕生。現状は、検査基準上、その革でないと実現が難しいと聞いて、だったらこの革の裏側を使ってみるのはどうだろう?と。1995年にビームスがレッド・ウィングに初めて別注したモデルも黒のスエードだったので、時を超えてうまくアップデートできました。どんなものでもそうですが、ブランドのことを知らない人が僕らの別注を見たときに「オリジナルってどうなんだろう?」と関心をもってもらえるものを作ることが大事です。

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brandRED WING × BEAMS
modelPostman Oxford Shoes GTX
price¥48,400

レッド・ウィングも硬派なブランドですが、ビルケンも硬派。昔は「別注なんて必要ない」ってムードをビシバシ感じていました(笑)。ビルケンに国内で別注できるのは今も数少ないブランドだけ。近年は別注が難しい時期も続きましたが、一昨年に久々に企画が通って、アリゾナを別注させていただきました。

以前からフルエクスクイジット(通常コルク素材のフットベッドをオールレザーで覆った仕様)が大好きで、別注をお願いしたかったんです。コルクのフットベッドはビルケンらしくてもちろんいいのですが、エクスクイジットなら、例えばセットアップにも合ってスタイリングの幅が広がる。表革を使ったものはそれまでもあったんですが、久しくスエードは見ていなかったので、2年前にアリゾナで、王道のトープカラーとビームス限定のチャコールグレーの2色を、フルスエードで作りました。

昨年は同じものをチューリッヒでも別注、さて3回目となる今回はどうしよう?と考えたときに「そういえば2モデルともインラインで黒のスエードモデルってほとんど見ないな」と。ブランドポリシー的に、黒スエードは色落ち防止の観点上、近年特に難しいらしいんですね。

粘って交渉して外側だけならいけるかもというので、フットベッドの上面のみスムースの合皮にして周囲をスエードで巻いてもらったのが今回の別注モデル(2)。もちろんチューリッヒも展開します。過去のトープカラー、チャコールグレーに続いて満を持しての無敵の黒。いい形で三部作を締められた。アリゾナとチューリッヒについてはやりきったので、いったんおしまいの予定です。

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brandBIRKENSTOCK × BEAMS
modelArizona
price¥20,900

三度目の正直コラボ!

向こうから颯爽と歩いてくる小森さんの姿を
見てたら、なぜかこの別注が頭に浮かんだ。

コモリの別注(3〜5)にも語りたいストーリーがあります。実はお声がけをしたのはこれが3回目。一度目も二度目も頓挫。それでも諦められず、三度、お願いすることに。ただ今回の別注のイメージが浮かんだきっかけは、その二度目の打ち合わせのとき。夕方に青山で待ち合わせした際に、表参道駅のほうから颯爽と歩いてくる小森さんを見たときに「うわっ、やっぱりかっこいい。こういう人にアメリカントラディショナルを作ってもらったらどうなるんだろう?」って思いがよぎって、頭に焼きついてしまったんです。そのとき持ち込む予定だったのは全然違う案件だったんですが(笑)。で、その後もコミュニケーションをとる中で「ブレザーやチノパン、オックスのシャツ…トータルではアメリカンアイビーなんだけど、通常のコモリの服も当たり前に合わせられる、今の時代の新しい服を作っていただけたら」と粘り強く熱意を伝え、めでたく実現に至りました。

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brandCOMOLI × BEAMS
modelOxford Shirt
price¥39,600

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brandCOMOLI × BEAMS
model2 Tuck Chino Pants
price¥41,800

上質な梳毛ウール + 控えめなメタルボタン + ゆとりあるフィット感 = 最強のブレザー

実はブレザーだけは最後まで難色を示されていたんですが、結果ものすごく素敵に仕上げていただきました。3シーズン着られる上質な梳毛生地、フィッティングはさすがのコモリ流でどんな体型でもふわっと包み込んでくれる。袖は長めでボタンはつけず、ラフに袖をまくれる。主張しがちなメタルボタンもひと回り小さめで控えめなアクセント。Tシャツでもオックスシャツでもハイゲージのニットでも何を合わせてもかっこいい最高の一着。また小森さんの服は着込むほどにいい味が出るのも魅力。ウールって霧吹きなどで60度くらいのお湯をかけて干すといい風合いになるんですが、このブレザーも軽く湿らせて一日おくだけでぐっといい表情になる。発売日には僕も店頭に立って、直接思いをお話しできたらと考えています。満足のいく別注には「待つ」忍耐力も必要。バイヤーになって10年、鍛えられました(笑)。

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brandCOMOLI × BEAMS
modelNavy Blazer
price¥77,000

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Photos:Yoshio Kato(Still) Takuto Yamasaki