AIが描く、自然のもうひとつの顔

2025年秋、シャネル・ネクサス・ホールで開かれるのは「AIアート×エコロジー」の最前線を探る展覧会。手がけるのは、リスボンを拠点に活動するアーティストのソフィア・クレスポと、彼女がノルウェー出身の研究者フェイレカン・カークブライド・マコーミックと組んだデュオ「エンタングルド・アザーズ」だ。彼らはいま、世界のアートとテクノロジーが交差するシーンで最も注目を集める存在といえる。

クレスポの作品は、AIと生命科学を融合させ、昆虫の翅(はね)や深海生物を思わせる“不思議な既視感”を持つビジュアルを生み出す。そこに映し出されるのは、AIが人間の観察を模倣しながら創造へと踏み込むプロセスだ。一方のエンタングルド・アザーズは、「もつれ合い」という視点から人間と自然の関係性を、データと想像力を駆使して再構築する。観測が難しい深海や植物の仕組みをデジタルエコロジーとして表現し、自然界を新しい角度から描き出している。

本展では、深海2000メートルの世界を探る「liquid strata: argomorphs」(2025)や、地球規模の湧昇現象をAIの視覚言語で表現した「specious upwellings」(2022-2024)、遺伝情報とデジタル構造を重ね合わせた「self-contained」(2023-2024)など、代表的な5シリーズを展示予定。
彼らの作品は、自然を模倣するものではなく、「人間が自然をどう見たいのか」という欲望の深層を映し出す。データと想像力が絡まりあうことで生まれるヴィジョンは、私たちの現実世界の見え方を静かに更新してくれる。
2025年10月4日(土)から開幕。彼らの世界に触れられるのは、この会場だけだ。
Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地
ソフィア クレスポ/エンタングルド アザーズ
会期:2025年10月4日(土)〜12月7日(日)
開館時間:11:00-19:00(最終入場18:30)
◉イベント開催時は変更あり、最新情報はウェブサイトをご確認ください。
会場:シャネル・ネクサス・ホール(中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F)※入場無料・予約不要
主催:シャネル・ネクサス・ホール
https://nexushall.chanel.com/program/2025/synthetic-natures