2025.07.14
最終更新日:2025.07.14

公共トイレをクリエイティブで刷新する「THE TOKYO TOILET」に新展開。写真家・森山大道とのアートプロジェクトが始動!【9月23日まで】

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Photo by Daido Moriyama

渋谷区の公共トイレに森山大道!

意識の高い文化系男子ならば、一度は利用したことがあるだろう。渋谷区内の公共トイレをデザインとクリエイティブの力で刷新する「THE TOKYO TOILET(以下、TTT)」が、柳井康治氏の発案により個人のプロジェクトとして発足してから早や7年。企画から資金提供までを行なう柳井氏と、ソーシャルイノベーションで社会課題の解決を図る先駆的な取り組みを支援するとともに、文化・芸術の育成と世界への発信を行なう包括連携協定を渋谷区との間で2017年10月に締結していた日本財団とのパートナーシップにより、2023年6月までに“性別・年齢・障害を問わず誰もが快適に使用できる”公共トイレとして渋谷区内の計17箇所が整備された。

現在、本プロジェクト「TTT」は日本財団から渋谷区へ譲渡されているが、新展開となるアートプロジェクトが始動。7月19日(土)から9月23日(火)まで、渋谷区の「TTT」全17箇所のうち11箇所のトイレを会場に、写真家・森山大道が撮影した写真をトイレ内で展示するアートプロジェクト「THE TOKYO TOILET / SHIBUYA」が開催される。

会場はコチラ

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①笹塚緑道公衆トイレ(渋谷区笹塚1-29)/小林純子 (建築家)
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②幡ヶ谷公衆トイレ(渋谷区幡ヶ谷3-37-8)/マイルス・ペニントン / 東京大学DLXデザインラボ (教授)
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③七号通り公園トイレ(渋谷区幡ヶ谷2-53-5)/佐藤カズー / Disruption Lab Team (クリエイティブディレクター)
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④西原一丁目公園トイレ(渋谷区西原1-29-1)/坂倉竹之助 (建築家)
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⑤はるのおがわコミュニティパークトイレ(渋谷区代々木5-68-1)/坂 茂 (建築家)
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⑥代々木深町小公園トイレ(渋谷区富ヶ谷1-54-1)/坂 茂 (建築家)
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⑦神宮通公園トイレ(渋谷区神宮前6-22-8)/安藤忠雄 (建築家)
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⑧鍋島松濤公園トイレ(渋谷区松濤2-10-7)/隈研吾 (建築家)
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⑨恵比寿公園トイレ(渋谷区恵比寿西1-19-1)/片山正通 / Wonderwall®︎ (インテリアデザイナー)
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⑩恵比寿東公園トイレ(渋谷区恵比寿1-2-16)/槇文彦 (建築家)
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⑪広尾東公園トイレ(渋谷区広尾4-2-27)/後智仁 (クリエイティブディレクター・アートディレクター / WHITE DESIGN代表)

森山大道氏が手掛けた写真を軸とするアートプロジェクトは、伊・ミラノ(2022年6月/ドゥオーモ地下鉄駅構内の公共トイレ内)、仏・パリ(2023年11月/国際写真フェアParis Photo 2023)に続き、グローバルには今回が第3弾。

ユニークなアプローチとして、画廊等は使用せず、「TTT」プロジェクトによって設置された11箇所の公共トイレ(①笹塚緑道公衆、②幡ヶ谷公衆、③七号通り公園、④西原一丁目公園、⑤はるのおがわコミュニティパーク、⑥代々木深町小公園、⑦神宮通公園、⑧鍋島松濤公園、⑨恵比寿公園、⑩恵比寿東公園、⑪広尾東公園)がそのまま会場となる。中でも「神宮通公園トイレ」には「TTT プロジェクト」や「THE TOKYO TOILET / SHIBUYA」の概要を発信する意匠が施されるほか、オープンスペースを備えた「幡ヶ谷公衆トイレ」には「TTT」写真を展示するギャラリーが出現。公共トイレの枠を超えたアートな施策になっている。

また、会場となる11箇所の各トイレには森山大道が手掛けた写真をプリントしたスペシャルなトイレットペーパーが設置される。一体どんなものなのか、これは催して駆け込んでからのお楽しみだ。

森山大道氏のコメント

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Photo by Daido Moriyama

用を足すという、生理現象を処理するための場所だった公共トイレは、いわば都会に潜むものとしてあった。しかし、このプロジェクトのそれぞれのトイレは、実に明るい印象を与えている。一種の憩いの場として陽が当たっている。トイレの存在そのものを変えたとさえ思う。街の片隅にひっそりと潜む場所であった公園も、存在そのものが明るみを持って中心になっている。日常の中で一瞬、誰にとっても安心できる場所になったということが、THE TOKYO TOILET の最大の成果だと思っている。渋谷区でぼくが撮った TTT の写真が、それらの公共トイレそのものに展開されることは、いわば街で撮ったものを街に返す、ということだ。作者の手を離れ、形を変えて外側へと広がっていくにしたがって、人の記憶の中で姿を変えていく。どんどんアノニマスなものになっていく。それが写真の一番の力だというのが、ぼくの思いである」と、写真家・森山大道氏はコメント。

渋谷区内の公共トイレを16人のクリエイターたちが改装し、映画『PERFECT DAYS』(2023年12月公開)の舞台となり、そして今回は森山大道氏が撮影した「TTT」写真を軸とするアートなインスタレーションを展開。これらエポックメイキングな試みには、「公共トイレをきれいに維持することで、利用者の『きれいに使おう』という意識を醸成したい」という思いが一気通貫している。

会場となる公共トイレを含む全17箇所の「THE TOKYO TOILET」の詳細とプロジェクトのいきさつは、記事下の関連記事でチェック。クリエイティブに敬意を払いつつ、きれいに利用しよう。

アートプロジェクト:THE TOKYO TOILET / SHIBUYA

開催期間:2025年7月19日(土)~9月23日(火)
開催場所:「THE TOKYO TOILET」計11箇所の公共トイレ(笹塚緑道公衆、幡ヶ谷公衆、七号通り公園、西原一丁目公園、はるのおがわコミュニティパーク、代々木深町小公園、神宮通公園、鍋島松濤公園、恵比寿公園、恵比寿東公園、広尾東公園)

※施工状況によって、一部、開催期間が変更になる可能性あり ※本プロジェクトのためのスペシャルなトイレットペーパーは数がなくなり次第終了

主催:渋谷区
撮影:森山大道
企画:MASTER MIND LTD.
協力:MATCH&CO / TANK / SKWAT / SWITCH

THE TOKYO TOILET プロジェクト

概要:2018年に柳井康治氏の発案により、渋谷区内の公共トイレをデザイン・クリエイティブの力で刷新する「THE TOKYO TOILET」が個人のプロジェクトとして発足。企画から資金提供までを行なう柳井氏と、ソーシャルイノベーションで社会課題の解決を図る先駆的な取り組みを支援するとともに、文化・芸術の育成と世界への発信を行なう包括連携協定を渋谷区との間で2017年10月に締結していた日本財団とのパートナーシップにより、性別・年齢・障害を問わず誰もが快適に使用できる公共トイレが渋谷区内の17箇所にて2023年6月までに整備された。現在、本プロジェクトは日本財団から渋谷区へ譲渡されている。

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