2026.06.21
最終更新日:2026.06.21

『独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記』悪戦苦闘に読み手もヤキモキ、40代マンガ家の婚活エッセイ

『独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記』

『独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記』の一コマ
Ⓒ中川学/集英社

悪戦苦闘に読み手もヤキモキ。
40代マンガ家の婚活エッセイ

エッセイマンガ『独りで死ぬのはイヤだ』の書名について、著者は「おわりに」で弁明しています。《この本を手に取った多くの方が、「このおじさん、独りで死ぬの(孤独死的なこと)がイヤだから婚活始めたんだ」と思われると思うのですが、私が婚活を始めた理由は、「独りで死ぬのがイヤ」だからではありません! 他人と深く関わってみたいと思ったからです!》

評者はバツイチ。二度と結婚したりしないよう注意深く生きているため、まったく共感しない題名です。むしろ独りで死にたい。それでも本書を興味深く読みました。

少し前にテレビ番組「ザ・ノンフィクション」が、見逃し配信のドキュメンタリー歴代最高80.75万再生の新記録を樹立しました。その回は「結婚したい彼と彼女の場合~令和の婚活漂流記2026~前編」。被写体となった低収入の31歳男性「久保」さん(仮名)のルックスや言動や人柄はXで連日のように語られ続けました。このコラムのしめきり日の朝には、ヒゲ脱毛して15キロ痩せ、32歳になった彼の「しゅっとした」姿がまたXで評判になっています。婚活は、それを実際にやっていない人にとっても、興味津々の話題なのでしょう。

このエッセイマンガのサブタイトルは、「年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記」です。もっと年収が低かった年もある評者は、マンガの仕事だけで年収200万円をキープしているなんて、ずいぶん立派だと感じてしまいます。そんなだから離婚に至ったのかもしれません。

著者・中川学氏とは面識があります。氏のデビュー作『僕にはまだ友だちがいない』がNHK・Eテレでドラマ化された際、エキストラ出演したりもしました。友達がいないと言っているわりには友達が多そうな人だと感じました。しかし、のちに、くも膜下出血で死にかけた(しかも倒れたのは性風俗の店)という実体験を描いた『くも漫。』(リイド社)を読み、小中学校の教師だったにもかかわらず失踪した話『探さないでください』(平凡社)も読み、「イメージより何倍も難儀な人生の持ち主だった!」と考えを改めていったのでした。

そんな氏の婚活は当然、難航します。あまりにも歯がゆい。このイラ立ちを本誌読者にも味わってもらいたいです。しかし何があっても結婚をあきらめない姿に、いつしか感動してしまいました。幸福を希求し続けることにも才能が必要です。いずれ新婚おのろけマンガを描く著者と再会したいと、心から願っています。

『独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記』

『独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記』
中川学/集英社
「集英社オンライン」において累計PV5000万突破の人気連載が単行本化。48歳で婚活を開始することを決意した著者の、体当たり実録エッセイ。

枡野浩一

歌人。『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集』(現在11刷)、漫画紹介本『漫画嫌い』(絶版)など、著書多数。タイタン所属。

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