映画『万事快調<オール・グリーンズ>』でダブル主演を務める南沙良さんと出口夏希さん。映画やドラマなど、多くの話題作に出演し、俳優としてもますます輝きを増しているふたりが、撮影現場でのことやお互いのことについて語る。
現場ではみんなもぐもぐすやすやでした
――今作で、南さんはラッパーを夢見ながらも、学校にも家にも居場所を見いだせず鬱屈とした日々を送る朴秀美を演じ、出口さんは陸上部のエースで社交的スクールカースト上位に属しながらも、家庭では問題を抱えている矢口美流紅を演じています。台本を読んでまずどんなことを考えましたか?
南 私は、原作を読んでから脚本を読ませていただいたんですけど、すごく疾走感があって、なおかつサブカルチャー愛があふれていて、見る人が見たらすごくハマるんだろうなと思いました。原作にはキレのある皮肉というか、そういうのがすごく多くて、それは脚本の中にもちゃんとあったので、お芝居するうえでテンポのよさみたいなところはなくさずにやりたいなということをまず考えました。
出口 台本を読んだ段階では、正直どうやって演じればいいかまでは考えられなかったです。とにかく私にとって挑戦的な役で、今まで演じたことがなかったから、「どうやって演じよう?」という思いのほうが先でした。
――現場ではどういうふうに過ごしていたんですか?
南 岩隈真子役の吉田(美月喜)さんを含めて3人で過ごすことが多かったんですけど、わりとおのおの好きなことをして過ごしていましたね。
出口 みんなもぐもぐすやすやでした。食べて寝ていました、休憩中は。
――お芝居について話し合ったりとかはなかったんですか?
南 あまりなかったですね。
出口 今回は説明台詞があまりなくて、本当にかけ合いが多かった印象です。しかも、監督からカットをなかなかかけてもらえなかったこともあったので、けっこうアドリブも多かったです。
南 たしかに多かった。あれはすごく楽しかったです。
――逆に、しんどいなと思う場面はあったんですか?
南 いや、ないですね。
出口 1回もなかったかもしれない。美流紅という役は演じていてすごく気がラクというか、自由にやらせていただけたので、楽しいことが多かったです。
南 監督からはとにかく面白いものにしたいという強い思いが伝わってきて、その感覚をスタッフさんも私たちも全員が共有できていたので、それはとても大きかったなと思います。本当に楽しい現場でした。
満足したことは1回もない
――今回演じてみて、自分の中で「ここがよかったな」と思う場面はどこかありましたか?
南 今回だけに限らず、満足したことは1回もないです。でも、そのときやれることは全部やったとは思っています。毎回全力は出していると思っているので、満足はしていないけれど、後悔はありません。
出口 私も沙良ちゃんと同じですね。全部にそうかもしれないです。
――では、お芝居をしていて、楽しいとかうれしいと思う瞬間はないんですか?
出口 お芝居って何が正解かわからないので、難しいなと思いますけど、自分自身は本当に楽しんでやっていますし、今回の『万事快調』でも3人でかけ合いをしたところはすごく楽しかったです。
南 正解がないというのはその通りで、ただ自分の想像を超えたものとか、その場にいる全員の想像を超えて出てくるものって絶対あると思っていて。そういう瞬間に立ち会えることがお芝居の魅力だし、映画とか作品をつくる魅力だなと強く思いますね。
第一印象とは真逆?!
――おふたりの関係性について伺っていきたいんですけど、お互いのことをどういう人だと思っていますか?
南 夏希ちゃんはすごくしゃべりやすいです。独特…な空気感があって(笑)。
出口 何々? 何で笑うの(笑)。
南 いや、話していてすごく落ち着くなと思います。何かふわふわした感じとか、あっけらかんとしたところとか、いろいろな一面がたくさんあって。
出口 うれしい。
――いろいろな一面があるんですか?
出口 ありますよ(笑)。
南 だから、もっと知りたいと思うし、一緒にいて楽しいです。
出口 私も沙良ちゃんといると落ち着きます。第一印象とは本当に真逆で(笑)。
南 えー、そうなんだ。
出口 第一印象はクールで一匹狼。
南 合ってるような気がするけど…?(笑)
出口 なんですけど、実はすごく自然体で。現場で1カ月ちょっと過ごして思ったのは、表情に全部出してくれるなって(笑)。楽しいときは楽しそうな顔して、退屈なときは退屈そうな顔して、眠いときは眠そうな顔して。本当に自然体でわかりやすかったです。
――そうなんですね。南さんはクールで、出口さんはニコニコ明るくて、対極みたいなイメージでしたけど。
出口 いやいや、実は私のほうがクールかもしれないですよ(笑)。
――今後また共演する機会もあると思います。次はどういう役をふたりでやってみたいと思いますか?
南 何があるかな?
出口 2人でもっと田舎のヤンキーをやりたい!
南 ハハハ。
出口 バカなことをしちゃうんだけど、ふたりで何かを頑張って、友情みたいなやつ。どう?
南 やりたいかも。
出口 じゃあ、決定で!
お互いに意外な一面がある
――演技の仕事をするうえで、大事にしていることって何かあったりしますか?
南 どうですかね。でも、想像力ってすごく大切だと思っていて。お芝居をするうえでもそうですけど、普段生活する中でも大切なものだと思っています。私は小説を読むのがすごく好きで、それは少なからず役に立っているんじゃないかなと。
出口 私は本を読まなくて。アニメはよく見ています。ただ、アニメは楽しいから見ているだけで、何かを取り入れようと思ったりとかはなかったです。お芝居の仕事はいつも作品ごとに新しい世界なので、現場に入ってから掴んでいくことが多いです。
――新しい世界に飛び込むのは楽しみですか?
出口 楽しみよりも、緊張のほうが強いです。私、クランクインの前日はあんまり寝られたことないです。意外ですよね。できないとしっかり落ち込みますし。落ち込んだりしているときも笑っちゃうことが多いから、勘違いされやすいんですけど(笑)。
――将来的に思い描いている姿や未来は何かあったりするんですか?
出口 考えたことはないかもしれない。もう目の前のことに精いっぱい過ぎて、1カ月後ですら想像できてないです。
南 私も具体的なところまでイメージできているわけではないですけど、このお仕事はずっと続けていると思います。映画がすごく好きなんです。それこそいい作品に巡り合えたらいいなというのはすごく思いますし、何か面白いものをつくっていたいなって。
――何をしているときが楽しいですか?
南 人と会っているときが楽しいですね。
出口 そうなんだよね。それはすごく意外だった。
南 本当?
出口 家で1人が好きかなと思ったら、さみしがり屋なところもあるんだなって。そのギャップがきゅんとしちゃいます(笑)。
南 何それ(笑)。夏希ちゃんはどうなの?
出口 私は2パターンあって。友だちと会ったり、家族と会って息抜きするときもあれば、1人で閉じこもって息抜きするときもある。
南 1人で閉じこもっているときって何してるの?
出口 本当に動かない。一歩も歩かないぐらい。ベッドとかソファでぽけーっとしてる。
南 それも意外。
出口 私たち、ギャップ女なんです(笑)。
2002年生まれ。17年、映画『幼な子われらに生まれ』で俳優デビュー。初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18年)で、報知映画賞、ブルーリボン賞ほか数々の映画賞を受賞。近年の出演作に、映画『この子は邪悪』(22年)、NHK大河ドラマ『光る君へ』(24年)、DMM TVオリジナルドラマ『外道の歌』(24年)、映画『愛されなくても別に』(25年)など。待機作として、主演映画『禍禍女』(2月6日公開)、香港映画『殺手#4(キラー・ナンバー4)』(今春公開)がある。
2001年生まれ。『ミスセブンティーン2018』に選ばれ、現在は『non-no』専属モデル、俳優として雑誌、映画、CMと幅広く活動中。近年の出演作に、映画『沈黙のパレード』(22年)、Netflixドラマ『舞妓さんちのまかないさん』(23年)、映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23年)、Netflix『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』(24年)、映画『赤羽骨子のボディガード』(24年)、映画『か「」く「」し「」ご「」と「』(25年)などがある。
映画『万事快調<オール・グリーンズ>』
2026年1月16日(金)公開
ラッパーを夢見ながらも、学校にも家にも居場所を見いだせず鬱屈とした日々を送る朴秀美(南沙良)。陸上部のエースで社交的スクールカースト上位に属しながらも、家庭では問題を抱えている映画好きの矢口美流紅(出口夏希)。未来が見えない町で暮らすどん詰まりの日々の中、朴秀美が地元のビートメーカー佐藤(金子大地)の家で×××を手に入れる。その出来事をきっかけに、同級生で漫画に詳しい毒舌キャラ岩隈真子(吉田美月喜)らを仲間引き入れ、同好会「オール・グリーンズ」を結成して、×××の栽培に乗り出す。人生を諦めるのはまだ早い! 自分たちの夢をかなえ、この町を出ていくには、一攫千金を狙うしかない!
監督・脚本・編集:児山隆
原作:『万事快調〈オール・グリーンズ〉』(波木銅[著]/文春文庫)
出演:南沙良、出口夏希、吉田美月喜、羽村仁成、黒崎煌代、金子大地ほか
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2026「万事快調」製作委員会