2025年後期のNHK朝ドラヒロインにも抜擢された最注目の若手俳優、髙石さん。日本を代表する名優たちとつくり上げた映画『夏の砂の上』での成長を語った。
確かにつかんだ、芝居が通じ合う感覚

単館上映でありながら大ヒットとなった映画『ベイビーわるきゅーれ』で鮮烈な演技を見せてから数年、NHK朝ドラ『ばけばけ』ではヒロインの座を射止め、破竹の勢いで俳優の道を駆け上る髙石あかりさん。朝ドラと同じくオーディションで役を勝ち取った『夏の砂の上』では、オダギリジョーや松たか子、満島ひかりといった名優に囲まれながら、複雑な役どころを堂々と演じ切った。

「映画の冒頭でみんなが一堂に会する場面があるのですが、その撮影日をずっと楽しみにしていて。本番も最高だったとしか言いようがないんです…。台本や演出上で決められた動線はありつつ、それぞれが人間らしく生き生きと存在していた。お芝居はなまものなので、先輩方の表情や動きをトレースすれば私もうまくなるといったものではありません。ただ、瞬間瞬間で変わり続けるお芝居が飛び交う撮影現場にいられたことは幸せでした」

ジリジリとした陽光が照りつける夏の長崎を舞台にした本作は、治(オダギリジョー)の家に、姪の優子が預けられるところから物語が始まる。その優子を演じたのが髙石さん。治と優子は、誰にもすがれない孤独を抱えながら、雨も降らない枯れた日常を共にしていく。

「優子の感情を理解するのに最初は時間がかかりましたが、長崎に入るとスッと馴染んで、撮影と現実の境目が曖昧な2カ月間を過ごしました。“リラックスしながら集中する”――そうした状態でいられたから、時にはカメラの存在すら忘れて相手役と想いを交感することができたんです。ある場面を撮り終えた後、オダギリさんが『今のはすごく映画的だった』とおっしゃって。私自身も確かに通じ合った感覚があったので、本当にうれしかったです。この感覚をまた追い求めたいと思える経験でした」
2002年宮崎県生まれ。’21年、『ベイビーわるきゅーれ』で映画初主演。’23年には第15回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞。主な出演作にドラマ『御上先生』『アポロの歌』、映画『遺書、公開。』『ゴーストキラー』、アニメ映画『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』など。Netflixシリーズ『グラスハート』への出演を控えるほか、今秋放送のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』ではヒロインを演じる。映画『夏の砂の上』は7月4日から公開。
映画『夏の砂の上』

© 2025 映画『夏の砂の上』製作委員会
2025年7月4日(金)全国公開
配給:アスミック・エース
【あらすじ】
雨が一滴も降らない、からからに乾いた夏の長崎。5 歳の息子を亡くした喪失感から妻・恵子と別居中の小浦治。働いていた造船所が潰れても新しい職を探さず、ふらふらしている治の前に、妹の阿佐子が、娘の優子を連れて訪ねてくる。阿佐子は、1 人で福岡の男の元へ行くためしばらく優子を預かってくれという。こうして突然、治と姪の優子との同居生活がはじまることに……。
【キャスト・スタッフ】
監督・脚本:玉田真也
出演:オダギリジョー 髙石あかり 松たか子 森山直太朗 高橋文哉 篠原ゆき子 / 満島ひかり/ 光石研