2025.10.13
最終更新日:2025.10.13

【山田杏奈インタビュー】ドラマ『シナントロープ』|毎回ただただベストな芝居ができたら

10月6日よりテレビ東京系で放送がスタートしたドラマ『シナントロープ』。大反響を呼んだアニメ『オッドタクシー』(2021年)の此元和津也が原作・脚本を務め、緻密な伏線や巧みな会話劇が織り成すノンストップ・ミステリー群像劇として早くも話題を集めている。本作で山田杏奈さんが演じるのは、主人公がひそかに想いを寄せるヒロイン、⽔町ことみ。撮影時の思い出や作品の魅力などについて話を聞きました。

鳥にはほんのちょっとだけ詳しくなりました(笑)

山田杏奈

――ドラマ『シナントロープ』は、2021年に放送され、緻密な伏線や巧みな会話劇が評判を呼び、毎話考察祭りとなったアニメ『オッドタクシー』の此元和津也さんが脚本を手がけています。本作で山田さんは、街の小さなハンバーガーショップ“シナントロープ”で働くヒロインの水町ことみ役を演じていますが、オファーがあってから、どのように作品を捉えていきましたか?

山田 台本を初めて読んだときは、もう本当に夢中になって読み進めました。此元さん脚本ということで、テンポ感や会話自体の面白さにすごく引き込まれましたし、人物それぞれの魅力もあって、どこかにずっと不穏な空気が漂っている感じがすごく面白い作品だなと思いました。いろいろネタバレになってしまうので、多くは語れないのですが、静かにまかれていた種が少しずつ芽を出し、点と点がつながっていって、すごく大きく揺らぐことになっていく……みたいな感じで(笑)、とにかく目の離せないストーリーです。

――キャストやスタッフとのやり取りで何か印象に残っている出来事はありますか?

山田 同世代のキャストが多いので、和気あいあいとやっているんですけど、此元さんの脚本ということもあって、「あれ? このせりふってこういうことだから、こう言っているんだよね?」というふうに、それぞれのキャラクター性だったり、せりふの意味に関して確認し合ったりしながらやっています。私が演じる水町をはじめ、みんなそれぞれ本当に役割があるキャラクターだから、お互いあれこれ言う時間がすごく楽しいです。

シナントロープ
©此元和津也/「シナントロープ」製作委員会

――まだ撮影中かと思いますが、水町という役を演じるにあたって意識していることや、主に演技面で成長したなと思えることはありますか?

山田 役を通して全体を見たときに、「こういう役割を果たしたいな」と思うことはあっても、「こうしてやろう」みたいな目標はなくて、毎回ただただベストな芝居ができたらなという感じです。水町は本当に気が強くて、こうすると決めたことに対してはまっすぐに向かって進んでいくような人で、それによって新たなトラブルを引き起こしたりするのですが、そこには何か彼女なりの信念がある。“シナントロープ”に集うメンバーは、みんなが個性的なので、その中でどうやったら水町というキャラクターが魅力的に見えるのか、といったことはすごく考えていますね。あと、演技に直接関係があるわけではないですが、水町は鳥が好きという設定で、同じ店で働く仲間を鳥の名前で例えるんですね。なので、鳥にはほんのちょっとだけ詳しくなりました(笑)。

山田杏奈 2

普通に楽しく人生を送っています

――今、お芝居するということは、山田さんにとってどういうものになっていますか?

山田 お芝居はずっと楽しいですね。きっとお芝居が楽しくなかったら、この仕事はできないと思います。今回の『シナントロープ』の現場はそれこそ同世代の方たちが多くて、久しぶりに再会する方もいれば、初めてご一緒する方もいて、お互い投げたものがどういうふうに返ってくるのかとか、そういうやり取りも楽しいですし、勉強になるなと思うことが多いです。好きなことがお仕事になっているのはとてもありがたいことですが、「仕事が人生のすべてです」とは思わないタイプなので、バランスよくできたらいいなと思っています。

――仕事以外で楽しいことって何ですか?

山田 どっちかが楽しくなるようにやっている感覚はなくて、仕事も仕事以外の普段の生活も同じように楽しいです。休みの日は「やったー! 休みだ!」ってなりますし、休みが続いたら「現場に行きたいな」と思うので、普通に楽しく人生を送っています、という感じですね。

山田杏奈 3
山田杏奈 4

――新たに挑戦してみたいことって何かありますか?

山田 今回会話劇に関わらせてもらって、すごく楽しいなと思ったので、コメディだったり、テンポ速く会話が進んでいくような作品に携われたらいいなと思います。でも、本当に何でもやりたいです。新しい役ができたら毎回楽しいなと思うので。

――いわゆる裏方というか、スタッフ的な仕事に興味はあったりするんですか?

山田 簡単なことではないと思うので、安易には言えないんですけど、現場でお芝居をするときも、「カメラがここにある」とか「監督はきっとこれをこうやってつなぎたいんだろうな」というふうに、全体のことを考えて捉えるのは好きです。ゼロから何かを自分で生み出せるかと言われたらまったくわかりませんが、違う役割で現場に入るという経験をしても面白いだろうなと思います。

山田杏奈 5

自分の居場所はここにあるんだな

――個人的に何かつくっていたりするんですか?

山田 つくっているというほどのものでは全然なくて、日々の暮らしの中で起きたことや思ったことをスマホのメモに書き留めることはしています。世に出せるような形ではないですし、お芝居以外の方法で自分の気持ちを表現したことがあんまりないので、これを人さまにお見せするなんてちょっと想像できません(笑)。

山田杏奈 6

――最近感動したことはありますか?

山田 どうしても現場の話になってしまうんですけど、今回の現場は同世代が多いこともあって、すごく自由な雰囲気で。待機場所の畳の上でおのおの寝転がっていたり、話していたりしていて、そういう光景を見るたびに、現場っていいなと思いますね。みんなで作品をつくっているんだなと思えるし、自分の居場所はここにあるんだなってことにちょっと感動しました。他愛もないことなんですが、すごくいいなって。

山田杏奈 7
トップス¥75,900・スカート¥57,200/マメ クロゴウチ オンラインストア(マメ クロゴウチ) イヤカフ¥23,800・右手リング¥48,900・左手リング¥42,500/トムウッド 青山店(トムウッド) シューズ¥253,000/アマン(ポール アンドリュー) タイツ/スタイリスト私物
山田杏奈

2001年生まれ、埼玉県出身。11年に『ちゃおガール2011★』オーディションでグランプリを受賞し、芸能界入り。その後は女優としてのキャリアもスタートさせ、18年には映画『ミスミソウ』で初主演に抜擢。23年、『山女』で第15回TAMA 映画賞最優秀新進女優賞を受賞。映画『ゴールデンカムイ』(24年)や『正体』(24年)での好演により、日刊スポーツ映画大賞・助演女優賞、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『正体』では日本アカデミー賞優秀助演女優賞も受賞している。公開待機作に『恋に至る病』(25年10月24日公開)、『NEW GROUP』(26年公開)がある。

ドラマプレミア23「シナントロープ」

ドラマプレミア23「シナントロープ」

2025年10⽉6⽇スタート 毎週⽉曜夜11時06分~11時55分 放送
【放送局】テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州

冴えない⼤学⽣・都成剣之介(水上恒司)のアルバイト先は、街の⼩さなハンバーガーショップ「シナントロープ」。都成がひそかに想いを寄せる⽔町ことみ(山田杏奈)たち8⼈のアルバイトが、やる気のないオーナーに代わって店を切り盛りしていた。そんなある⽇、突如お店が強盗に襲われる。⽔町らの必死の抵抗により、強盗は何も盗らずに逃⾛する。しかし、なぜかレジから現⾦が消えていた。絡み合う⼈間関係とスピーディなストーリー展開に翻弄されながら、謎が謎を呼び、すべての伏線は結末に向かって収束していく――。

監督:⼭岸聖太
脚本:此元和津也
出演:⽔上恒司、⼭⽥杏奈、坂東⿓汰、影⼭優佳、望⽉歩、鳴海唯、萩原護、⾼橋侃

RECOMMENDED