2026年に15周年を迎えるKis-My-Ft2。そのコンサート衣装を手掛ける玉森裕太さんの、初めての単独ドキュメンタリー番組『玉森裕太 MODE』がPrime Videoで世界配信決定。
UOMOのファッションストーリーでも華麗な着こなしを披露してきた玉森さんは、Kis-My-Ft2のコンサートにおいて衣装を監修。パリ、ミラノなど海外のファッションウィークからも衣装の着想を得ながら、生地やパーツを買い付けるために自ら韓国・ソウルまで足を運んできた。
衣装監修として舞台にいる玉森さんの素顔には、ファッションへの熱意とストイックな感性が溢れている。
「つくること。その難しさを身に染みて感じながら、できることは全部したい」
「もう8年目になったコンサートの衣装監修。やりたいと自ら事務所に掛け合ったのが始まりです。それまでは用意されたものを着るだけでしたが、もっとメンバーに似合う、かっこいい衣装が僕の中ではイメージできていた。衣装への妥協が胸の中にありながら、大勢の人に見ていただくステージに立っていいわけがないという葛藤があったんです」
「洋服づくりの右も左もわからなかった当初は、衣装製作の現場をよく見ることがスタート地点です。打ち合わせに参加して、自身のエッセンスを加えるためのコミュニケーションを繰り返しました。何度かコンサートの回数を重ねるうちに、ディテールの作り込みの難しさを実感し、素材を勉強するようになった。厚めの生地、たるむ素材、光る質感…とひとつひとつ手に取って触り、トライ&エラーで作ってきた。そうして追求していくほどに、予算と時間という制限がのしかかってきました。つくる仕事では、避けては通れない闘いですね」
「いいものをつくるとき、その裏には手を動かし続けている人がいます。例えば過去のコンサート衣装なら、カラフルに敷き詰めたビジューや、大量のロックピンを施したアートワーク。そういう手作業の細部をないがしろにすると、必ず仕上がりに現れる。遠目からも佇まいで分かります。衣装はコンサートという舞台演出において、一つの大きな要素。ファッションをなめてはいけないし、人件費と素材費はクオリティに直結します。生々しいけれど、制作現場に居続けたからこそ分かる。これを全体の制作に相談し続けることも僕の責任のひとつのように感じます」
「衣装の企画から仕上げまでを3ヶ月ほどで完成させなければいけない時間のシビアさもあります。そんな時に、口ばかりで手足を動かさない人は、信頼できませんよね。それも、もともと畑違いの僕が衣装チームに負担をかけるだけの存在にはなりたくなかった。思いをしっかりと伝え、使える時間をすべて注ぎ込み、綿密な準備をすることは大前提。さらに、素材・縫製・仕立てへの知識を補ってもらう立場として謙虚に学ぶべきだと思っています。より安価で良い素材を自分の足で探しに行き、衣装チームが根を詰めて作業をする日には共に過ごすことに努めた。僕の手で縫うことはできない分、差し入れをしたり雑談をしたりという些細なことさえも大切です。今も、衣装チームのモチベーションを上げ続けるために出来ることは全部したいと思っています」
「好きだという気持ちをエネルギーにする。緊張感はポジティブに変換できる」
「好きなことはずっと出来ますよね。 練習したり、勉強したり、探求したり……おのずと出来る。僕にとってはファッションがそうでした。たくさんの洋服に触れることはもちろん、日頃からアーカイブスを見て、歴史を学んで吸収する。デザイナーさんにお会いする時には、予期せぬ話を振っていただけるかもしれないから、その方のパーソナルな部分まで調べてみる。とにかく好きだという気持ちが、自然なエネルギーになっています」
「ただしプレッシャーもつきものです。日本での仕事に限らず、パリやミラノでのファッションウィークを訪れながら、いつでも緊張感を持っていました。洋服をデザインしたご本人の前に立ち、似合っていると喜んでいただけるのか。多くのセレブリティの方々と、しっかり対話が出来るのか。様々な雑誌の撮影で、その時々のムードを表現しながら洋服の良さを見せられるのか。誰かの期待に応えたいからこそ不安で、とにかく準備をしたくて、石橋を叩いて渡るような気質です。それがネガティブだと思う一方で、プラスにも捉えられるようになっている。 『緊張することは、ちゃんと本気になっている証拠』という木村拓哉さんの言葉があり、自分のあり方は間違っていないのだと救われました。緊張こそ楽しもうと思えるようになり、大切にしている言葉です」
「いっぱいやって、ちょっとだけ報われるのが努力」
「僕の仕事は、第一にアイドル。俳優や音楽家のように、専門分野がある方々の土俵で敵うことはありません。逆もしかりで、自分がしっかりと根を張った場所はアイドルであり、衣装監修はその地続きにある。実は以前、コンサートの曲が仕上がるのを待たずに、衣装から優先して作るという提案を受けたことがあります。『今そうすべきではない。違う。』と思いました。衣装の制作期間を伸ばせる利点はあるし、もしかしたら面白く取り組める日が将来的に来るのかもしれません。それでも、アイドルである僕が、ステージを成功させるために、曲と振付の世界観を踏まえて、最後に衣装をつくる。これが現状の正しい道筋だと思った。チャレンジには、確かな経験とプロセスが必要です。無謀なことを思い描きたくないし、何をするにも飛び級はありません」
「何か1つのことに集中して極めている人こそプロフェッショナルだと感じます。ストイックな人たちに囲まれながら志を高く持てる方が、僕にとっては居心地のいい環境。アイドルとしては、いただける仕事の幅が、有難いことに広いです。プロフェッショナルでありたいのに、やることが多すぎる…と弱音を言っていても始まらない。いつ、どの分野で、どんな機会がやって来るのか予測できない。その中でチャンスを掴むために、がむしゃらに準備をし続ける。何かしらの賞や指名をいただくような実感しやすい成功もありますが、10年を遠く振り返って、あの日の努力が今日報われたのだと気付くようなことだってあります。どんなことでも、いっぱいやって、ちょっとだけ報われる。それが努力。そういうことを信じています」
「時代は柔軟で軽やかになっているし、僕の考え方は古いのかもしれない。もっと効率よくステップアップできると言われたら心が揺らぐのかもしれませんが(笑)、なんだか、そういう気質ではなさそうです。正解がわからない狭間のなかで、一つひとつを限界までやり続けるのが、きっと僕の宿命。大変だけれど、そうしたい。きっとドMなんでしょうね」
1990年東京都生まれ。Kis-My-Ft2のメンバーとして2011年にデビュー。Kis-My-Ft2として2025年5月にアルバム『MAGFACT』、8月にデジタルシングル「A CHA CHA CHA」、12月31日にNewシングル「&Joy」をリリース。
『玉森裕太 MODE』
©Storm Labels Inc.
2025年12⽉1⽇ (月)0:00よりPrime Videoにて世界配信
玉森裕太、初の単独ドキュメンタリー。Kis-My-Ft2の衣装監修を担当する玉森裕太が手掛けた2024年ドームツアー、2025年のアリーナツアーの⾐装企画から完成までの約1年間に密着。ファッションの仕事で招かれたパリ・ミラノ、⾐装の⽣地・パーツの買い付けのために訪れたソウルなどを舞台に、アイドル、俳優、そしてひとりの⼈間として、どのように成長し、どのような⾐装を作り上げたのか、ファッションをキーワードに描く。