華やかなパリが映し出すのは、
未来のある才能と子どもという希望

ベル・エポックの時代のパリ。ニューカレドニアからやってきた少女ディリリが、パリで出会った最初の友人オレルとともに、町を騒がす少女たちの誘拐事件の謎を追いかける。エッフェル塔、オペラ座、ヴァンドーム広場など、パリの町を駆け巡り、事件解決にキュリー夫人やパスツール、ピカソ、マティス、モネ、ロートレック、プルースト、サラ・ベルナールら、19世紀末から20世紀初頭を彩った天才たちが協力する。ふたりは消えた少女たちを助けられるのか…。

1900年の万国博覧会に設けられた「人間動物園」(フランスの植民地から現地人を呼びレプリカ村で生活している様子を見せる展示)で知り合った、パリのイケメン配達員と、好奇心から自国を飛び出したキュートな少女。オスロ監督がこれまでも手がけてきた、人種や年齢、性別を飛び越えた博愛に満ちた作品であることを高らかに宣言するオープニング。本作は、さまざまな芸術が発展したベル・エポックという華やかな時代と、その裏にある女性やマイノリティへの固定概念を露わにする。少女誘拐事件の真相に迫っていくミステリーの要素を持っているが、その実、人間の多様性と未来を担う子どもたちという希望を描いた物語だ。一連の事件の黒幕、男性支配団を追いかける中で出会うのは、この時代が輩出した100人以上の色鮮やかな才能たち。さまざまな感性と価値観を有する彼らが、聡明で勇敢なディリリを対等に、応援する。そんな彼らの姿を見た彼女は、自分の将来の仕事とよりよい未来を夢想するのだった。

本作を彩る風景は、パリに住む監督自身が4年間かけて撮り溜めた写真と、CGアニメーションを織り交ぜている。緻密なコラージュは、現実世界に片足を置きながら、夢が広がる幻想的なファンタジーの世界に誘う。また室内装飾は、オルセー美術館やマルモッタン美術館などの協力を得て、監督の高い美意識によって選んだ調度品で再構成するなど、ビジュアルへのこだわりは相当。まさに1900年代のパリにタイムスリップをして、華々しい街並みを横目に、オレルやディリリと一緒に日常と隣り合わせの大冒険に出かけている感覚になる。パリが好き。芸術に関心がある。心温まる友情物語に目がない。そんな人は、ちょっと近所に出かける感覚で、ディリリと胸踊る旅に出てほしい。


『ディリリとパリの時間旅行』

監督:ミッシェル・オスロ
出演:プリュネル・シャルル=アンブロン、エンゾ・ラツィト、ナタリー・デセイ
2019年8月24日より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
© 2018 NORD-OUEST FILMS – STUDIO O – ARTE FRANCE CINEMA – MARS FILMS – WILD BUNCH – MAC GUFF LIGNE – ARTEMIS PRODUCTIONS – SENATOR FILM PRODUKTION

『ディリリとパリの時間旅行』公式サイト

Text:Hisamoto Chikaraishi