それは開けてはいけないパンドラの箱!?
笑顔の裏に隠された家族の本音

結婚50周年の金婚式を迎えたピエトロ&アルバ夫妻を祝うために、親戚一同19名がイタリアの美しいイスキア島に集まった。久しぶりに顔を揃えたファミリーの楽しい食事会もお開きになるころ、天候不良でフェリーが欠航。それぞれの家族たちは、二晩同じ屋根の下で過ごさなければいけなくなってしまう。常に顔を突き合わせているうちに、今まで抑えてきた感情や隠しごとなど、さまざまな秘密が露わになっていく…。

個性的な親戚の面々が一堂に会し、自分の中に沸き起こる情感をダイレクトに放つ。まさに心の表情が豊かなイタリア人だからこそ表現できるファミリー・コメディである。港で抱き合いながら久しぶりの再会を喜ぶ彼らだが、不慮のアクシデントで島に閉じ込められたことで、家族それぞれに流れていた時間が島の中に滞留し、ぶつかり合い、思わぬ真実があぶり出されてしまう。現在の妻と前妻の不仲に悩むカルロや夫の浮気癖を知りながら心を押し殺すサラ、夫と子を持つ遠い親戚に恋に落ちるパオロ、妻の出産を前に借金に首が回らないリッカルドなどなど…相関図を見るだけで興味を惹かれる人物設定とドタバタな展開が、ファニーな人間ドラマを次第に加速させていく。

原題の「A CASA TUTTI BENE」は“家ではみんないい感じ”という意味で、本作のパンフレットやポスターにあるメインビジュアルの写真と合わせて見ると、明るい大家族で過ごすハッピーな休日を想像させるが、ガブリエレ・ムッチーノ監督もいう通り「仮面を被って生きてきた大家族の化けの皮が剥がれるまでの状況」を表している、最大の皮肉なのだ。それゆえ、登場人物には脇役などおらず、「こんな人、うちの親戚にもいるな!」「これってもしかして私!?」なんて思いながら観ていると、最後まで“全キャラ主人公ドラマ”にあっという間に虜になっている(背景に映り込んでいるキャストの演技もつい観てしまう!)。徐々に浮き彫りになる秘密に泣き、笑い、取り乱し、いがみあう大人たちを理性的に見つめ、受け入れる子どもたち。その眼差しに、いびつで不完全な関係も家族のあり方なんだと、どこか希望も持てる。


『家族にサルーテ! イスキア島は大騒動』

監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ステファノ・アコルシ、ステファニア・サンドレッリ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ
2019年6月21日よりBunkamuraル・シネマほかにて全国公開
©2018 Lotus Production e 3 Marys Entertainment

『家族にサルーテ! イスキア島は大騒動』公式サイト

Text:Hisamoto Chikaraishi