金と野心と才能に恵まれた
若き投資グループの驚愕の実態を追う

1983年、高校の同級生だった金融の専門家ジョーとプロテニス選手のディーンは、上流階級の人々が集う商談の場で偶然再会を果たす。ディーンは、以前から計画していた金(ゴールド)で投資をする儲け話をジョーに持ちかけ、ビバリーヒルズ屈指の富裕層である友人たちを説得して「ビリオネア・ボーイズ・クラブ(BBC)」を結成する。カリスマ性と野心を持ったジョーは、投資家を騙しては資金を集めていた。しかし、彼らの贅沢な暮らしと大きな利益により、積み重なる詐欺に気づくものはいなかった。ロサンゼルスの社交界で有名になったジョーは、ついに敏腕トレーダーのロンからも融資金を騙し取り、さらなる成長を遂げるのだが…。

中流家庭育ちのジョーとディーンは、教育に熱心な親の意向でロサンゼルスの有名私立高校に通い、そして出会った。ジョーは頭は切れるけど冴えない生徒で、ディーンは愛想がよく世渡り上手で青春を謳歌するタイプ。ただ、お互い人とつるまないという共通点があった。卒業後、証券取引所で実直に働くジョーと、富裕層とセレブな生活をするディーンは運命的な再会を果たし、投資グループの構想を得る。“昨日の失敗を明日の成功に変える”「パラドックスの哲学」を唱え、ついにBBCを立ち上げた。しかし、最初の顧客で、のちのBBCの仲間となる友人についた、一発逆転を狙った小さな嘘からジョーとディーンの怪しい事業が加速していく。24〜5歳の青年が巻き起こす、笑いがとまらない儲け話は、本当に現実にあったことなのか疑ってしまうほど痛快で、危険だ(実話に基づく物語である)。

ジョーとディーンは自信満々に実業家の顔をまとい、会う人によって巧みに“投資”と“詐欺”を着替える。詐欺とはまず自分を騙すことから始まる。いたって冷静で聡明な人物だってそこから始まる(もしくは自己暗示かもしれない)。虚栄心と野心と才能を手にした若者たちがすべて悪事を働くわけではないけれど、自分がそうだったらどんな行動をするか…人は善人でいられるのか、自分を悪人だと冷静に見られるのか、つい考えてしまう。ジョーも一方で、家や学費を含めた巨額の投資に踏み切った男性の未来を心配する一面を見せる。かくして、BBCのメンバーは、生き馬の目を抜く振る舞いで(詐欺だけど…)成長を遂げるが、ある人物の裏切りでとんでもない窮地に追い込まれてしまう。後半40分、怒涛のような展開に、じわじわと心臓が早鐘を打つ。これは、勢いのある若者の詐欺事件にとどまらない。本作を観終わった後、いい投資話がやってきたとしても、当分は二の足を踏んでしまいそうだ…。


『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』

監督:ジェームズ・コックス
出演:アンセル・エルゴート、ケビン・スペイシー、タロン・エガートン、エマ・ロバーツほか
2018年11月10日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
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『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』公式サイト

Text:Hisamoto Chikaraishi